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Data.74 俺の名はハッカク!

 俺の名前はハッカク!

 年齢はナイスミドルにゃまだ早い32歳だ。


 職業はストリーマー。いわゆるゲーム配信者って奴ね。しかも、今はソロじゃなくてチームでやらせてもらってる。名前は『SpicieS(スパイシーズ)』! イカしてるだろ?


 昔はソロでブイブイ言わせてたし、チームを組んでからもソロ時代のファンがある程度ついて来てくれている。おかげさまで今でもストリーマー1本で食っていけるってわけよ。


 え? 『昔はブイブイ』ってことは今はそんなに人気がないのかだって? ハハッ、痛いところを突かれたなぁ~。


 じゃあさ、ハッキリ言っていい? 今もそこそこ人気だよ! でも、全盛期と比べると勢いが落ちてるのは明白というか……認めざるを得ないというか……はい、いわゆる落ち目だね。


 というか、そうじゃなければ今でもソロで気楽にやってるよ。チームを作ればファンを囲い込みやすいけど、トラブルだって起こりやすくなる。リーダーとしての責任も出てくるさ。それでも、チームを作らないと人気を上げるどころか、維持すらできないと思ったんだ。


 ただ、そんなことになってしまった原因の分析はしっかりできている!


 まず第一に年齢だね。ソロ活動を20代から始めたんだ。流石に30代に差し掛かると既存のファンの卒業が多い。新規の若い子は若いストリーマーの方に流れて行っちゃうから、こればっかりはどうしようもないね。


 それに男としては誇らしいが、人としてはアレな女性関係の炎上も起こしてる。それも1回や2回じゃなかったり……。まっ、俺は清廉潔白(せいれんけっぱく)な純情派アイドルみたいな売り方はしてなかったから、まだ影響はマシな方だけどね!


 ただ、女性問題ってのは女性ファンだけじゃなくて男性ファンも嫌がる人は多い。そりゃそうだ。それがまともな人間としての感覚だと思う。


 というか、なんでこんなに問題を起こしてる男のファンをやめようとしないのか不思議に思うよ。30過ぎたまともじゃないオッサンがゲームとか雑談垂れ流すのを見てて楽しいかね?


 ……おっと、楽しんでくれるファンがいる以上、これは絶対に口に出しちゃいけないことだな! まあ、そういう奴らのおかげで俺は特に反省することもなく毎日楽しく過ごせてるわけだし!


 でもさ、生活できるくらいの人気が今あるとして、これからもあるとは限らない。人間っていうのは減っていく貯金に耐えられるようにはできてないらしいからさ。ここから一発逆転返り咲きなんてのを、一時代を築いた男としては狙っていきたいわけよ。


 そこで俺が目を付けたのは『電脳戦国絵巻』というゲーム! ここ最近に出たゲームの中じゃトップクラスに人が集まってて、これからさらに大きく盛り上がる気配がある和風VRMMOだ!


 大VR時代と呼ばれるほどVR技術が進歩したこの世界じゃ、VRゲームもたくさん作られている。たくさん作られれば作られるほど一か所に集まる人数は分散し、『これぞ!』と言える大人気ゲームは出にくくなる……と思うじゃん?


 実は逆なんだなこれが!


 SNSが発達してどのコンテンツに人が集まっているかが一目でわかるようになっちゃったもんだから、この時代のコンテンツは一握りの強者と無限の弱者みたいな構図になっている。


 そんな中で『電脳戦国絵巻』は中間にいるんだ。古の時代、口コミで神ゲーが全国に広まっていったように、リリースから少しずつ人気を獲得している。そういうゲームは本当に貴重だ。


 バズったコンテンツは勢いこそあるが、流行が去った時の悲惨さは目も当てられない。とはいえ、その初速すらないコンテンツに軸を置いたら、ゲームと一緒にストリーマーとしての底辺から抜け出せなくなってしまう。


 でも、じわじわと地盤を固めて人気になったコンテンツは長く残るし、それに寄生……おっと失礼、便乗させてもらう俺たちストリーマーも長く美味い汁を……えっと、長く共にコンテンツを盛り上げていける!


 要するに『電脳戦国絵巻』はずっと探していた一発逆転返り咲きの『リ・デビュー計画』にふさわしいゲームというわけだ!


 リ・デビューに最適ということはデビューにも最適なので、ストリーマーを夢見るキッズは以上のことを頭のメモに刻み込んでおこう!


 さあ、善は急げと俺は仲間と共にこのゲームに乗り込み、今日でちょうど1週間が経過した。


 キャラクターの装備や技能は仲間たちをこき使って……あ、上手く協力して鍛えたので、満足いくものに仕上がっている。その過程を撮影したプレイ動画の再生数や、生配信の同時接続者数も思ったより好調だ!


 久しぶりに順風満帆……! 体という名の帆に強い風を受けた気分だぜ!


 人間ってのは結局他人から肯定されないと自分で自分を肯定できないからな……。『電脳戦国絵巻』を選んだことに自信はあっても、実際に結果が出るまでは不安で仕方なかった……。


 だが、今は自信を取り戻したぞ! 仲間や技術スタッフのみんなには辛く当たることもあったけど、もう俺は晴れやかな気分なので水に流そうじゃないか……!


 さて、ここからは俺を支えてくれた使える……あっと失礼、頼りになる仲間たちを紹介するぜ!

新章開幕……!?

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― 新着の感想 ―
[良い点] ハッカクさん好きですw 一見ゲスに見せかけて実はまともに考えてる…ように見せかけて漏れ出るゲス感が最高w これは配信でこそ輝くタイプの人ですね 画面の中なら尖った個性が人気を呼びそうです…
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