表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

294/467

2柱



いきなり知らない人たちとダブルデートしませんかと聞かれて彩歌さんが来るわけ……来る、わけ…。


「初めまして!鳴海彩歌っス!今日は誘ってくれてありがとね!」


彩歌さんにダブルデートの件を話したところ、二つ返事でOKをもらいました。予想以上にノリノリで来ましたね。ふわっと可愛いワンピースが風に揺れて可愛いアンド可愛い。今日も俺の彼女様は可愛くて綺麗で最高でごわす。


永新(えいしん)。……どういうこと?もしかして私、寝てる?これ夢の中?」

「う、う~ん?どうだろ。これはもしや夢かもしれない。ちょっと(つね)ってみてくれ」

「わかった」


ぱぁん


「ぎゃお!……蒼葉(あおば)?ビンタじゃなくてよかったんだよ?めちゃ痛いんだけど」

「ごめ。夢かと思って、今までの恨みがうっかりこの右手に宿っちゃった。てへ」

「てへ、じゃなくて」


夫婦(めおと)漫才か?俺と彩歌さん、さっきからほったらかしなんだが…。


「あのー、井村?俺も自己紹介をしていいかな?」

「あ、わりぃ。ちょっと現実なのか夢なのかわからなかった」


頬をさすりながらも未だに驚きを隠せない様子の井村とその彼女に苦笑しながら、彩歌さんに続いて自己紹介をする。


「ハハっ、現実だよ。初めまして、井村と同じクラスの御子柴智夏です」

「みこしば、ちなつ……ツキクラとかの作曲をしてる人と同じ名前…」

「今度、ツキクラの劇場版が公開されるから、よろしくね」

「やっぱ本人か~い」


乾いた笑いを零しながら、現実を受け入れようとしている井村の彼女さん。目がぐるぐると回っている。


「井村の彼女さん、面白いね」

「面白くてカッコよくて可愛い、俺の自慢の彼女さ」

「うっさいっ」

「褒めるとこうして怒るところも魅力の一つだ」

「だーまーれー」


彼女さん、スラッとした見かけによらず、力が強いんだな。片手で井村の胸ぐらを掴んで持ち上げてらぁ。


「ふぁじめますて……、みこしゅばと同じクラスの井村、えーしんでず…」


胸ぐらを掴まれながらも自己紹介をしようと奮闘していたが、何を言っているかいまいち聞き取れなかった。しょうがないやつめ。


「彩歌さん、これは井村永新です。えっと、永新で合ってたっけ?」

「友達の名前くらい自信をもって言ってくれよ。まぁ、俺も田中の名前とか覚えてないけどな」


普段はみんな苗字で呼び合っているから忘れかけるんだろうな。たまには名前で呼んでみようか…。いや、想像しただけで鳥肌ものだな。


「お2人に自己紹介する日が来るとは思わなかったです…。初めましてお会いできて嬉しいです。私は久保(くぼ)蒼葉です」


肩より少し長い茶色の濃い髪色に、涼やかな顔つき。同性からモテそうな凛々しい顔つきをしているが、性格はだいぶ面白そうな人だ。それになんだか、ツンデレさんなところが秋人に少し似ているような気がして勝手に親近感が…。


クイッと袖を引っ張られたので、横を見ると彩歌さんがいたずらに笑った。


「浮気はダメ絶対っスよ?」

「しませんよ。それは彩歌さんがよくわかってるじゃないですか」

「ふふっ、たしかに」


浮気をするほど、心に他人が入ってくる隙間は無い。それほどまでに俺の彼女は魅力的すぎる。


「おーい、お2人さん。そろそろ行くぞ!」

「永新!あの2柱にタメ口で話しかけるなんて人類の恥だぞ貴様!」


2柱って。俺らは神様か。しかも井村のヤツ、彼女に人類の恥とか言われて落ち込んで………ないな。俺たちのことを神様扱いしたりするあたり、久保さんはもしかしなくてもアニメオタクさんだな?


「久保ちゃん、私たちのファンなんスね。でも今日は声優の鳴海彩歌じゃなくて、智夏クンの彼女の鳴海彩歌なの。だから仲良くしてくれると嬉しいっス。敬語もいらないから!」

「そうなの?わかった!彩歌(さいか)たんって呼んでもいい?」

「いいっスよ!」


順応速すぎかよ。切り替えの早さが匠の技だよ。そして見た目とのギャップすごいな。


「井村の彼女、距離の詰め方えぐいな」

「なんかごめんな?」

「彩歌さん、なんか嬉しそうだから全然いい。むしろ感謝してる」


ダブルデートとはいえ、デートに変わりはない。彩歌さんとの久しぶりのデートができて俺は幸せです。


ちなみに今回のデートのテーマは食べ歩きということで、結構有名な商店街にやって来ている。


俺たちの前を女性陣2人が楽しそうに話しながらクレープ、たこ焼き、串カツ……いつの間にかめちゃくちゃ買い込んでた。


「ダブルデートってさ、やっぱこうなるよな」

「こうって?」

「男子と女子で別れるよな、って話」


これじゃあダブルデートというよりか、友達と遊びに来たようだけれど。


「2人の顔を見てみなよ。楽しそうだからいいんじゃないかな」

「だな。……ところで御子柴くぅん?あなたとんでもない大物と付き合ってるね?」

「うっ…」

「仕事で知り合ったんだろ?告白はどっちからしたんだよ?」

「それは…。ていうか質問されてばっかりなのは不公平だ。井村こそ、どっちが告白したんだよ?」

「えっ?そりゃあ……秘密だよ」

「井村が言わないなら俺も言わない」

「えぇ~?」


彩歌さんたちを見失わないようにしながら、井村と彼女について語り合うのだった。



一方その頃、女性陣は…



~執筆中BGM紹介~

彼女、お借りしますより「君を通して」歌手:雨宮天様 作詞:やまし様 作曲:宮川麿様

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ