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4つのチーム

今回から新章「四界戦争編」スタート!



5月上旬。


「えー、では只今より10月スタートのアニメ『四界(しかい)戦争』のスタッフ、演者顔合わせを始めたいと思います。まずは人間族(ヒューマン)チームから…」


とあるアニメ制作会社でアニメ『四界戦争』の初顔合わせが行われていた。この現場はバラエティ番組で作曲バトルをして勝ったご褒美的なノリでもらった仕事である。見知った顔に初対面の顔、さまざまな豪華な顔ぶれがこの場に集まった。


『四界戦争』は、4つの種族が世界の覇権をめぐって争う、よくあるオリジナルバトルアニメなのだが、他のバトルアニメと絶対的に違う点がいくつかある。


まず一つ目に。


人間族(ヒューマン)チームの制作を担当するスタジオスカイブルーです。よろしくお願いします!」


4つのチームの作画・制作を4つのアニメ制作会社がそれぞれ手掛けるという点。


「人間族チームの主人公リンネを演じる茂木孝直です!他の種族に負けないよう頑張ります!」


4つのチームそれぞれに主人公、ヒロインが存在する点。


「人間族チームの音楽を担当する氷雨(ひさめ)です。よろしくお願いしますね」


4つのチームごとにサウンドクリエイターが違う点。


これらが通常のアニメとは異なる点である。制作会社が4社合同で1つのアニメを作る、という前代未聞の試みに、かなり注目度が高い作品となっている。


声優さんたちはそれぞれのアニメ制作会社のスタッフと、このアニメの総監督であるベテランの大熊二郎氏がオーディションで厳選した選ばれし人たちがこの場に集まっている。


そして俺たちサウンドクリエイターはバラエティ番組で共に作曲した4人が選ばれたわけだ。


人間族(ヒューマン)チーム

制作会社→スタジオブルースカイ

主人公→茂木さん

音楽→氷雨さん


制作会社のブルースカイは大手ではないものの、手掛ける作品はほぼヒットすると言われる実力のある会社だ。主人公を演じる茂木さんは、『ツキクラ』にも出演してくれている人気声優の1人。そして氷雨さんはサウンドクリエイターの先駆者と呼ばれるほどの実力者。


獣人族(ビースト)チーム

制作会社→Aデスク

ヒロイン→井馬(いま)若奈(わかな)

音楽→佐久間(さくま)ルン


Aデスクは独特な世界観のアニメ制作が得意で、作品を制作するたびに毎度高い評価を受けている。獣人族チームのヒロインの声に選ばれたのはこの作品が初めてのメイン役となる新人声優さんだ。そしてBGMを手掛けるのは関西弁でお馴染みの佐久間さん。


妖精族(フェアリー)チーム

制作会社→センターサークル

ヒロイン→愛羽カンナ

音楽→AFLO(アフロ)


センターサークルは制作会社4社の中で一番の若手ながら実力も兼ね備えた勢いのある会社だ。ヒロインは言わずもがな、カンナが担当する。今回の仕事で役の幅を広げる、と意気込んでいた。そして音楽制作にはAFLOさんが携わる。


魔人族(デーモン)チーム

制作会社→ドリームボックス

主人公→横浜(よこはま)真澄(ますみ)

音楽→御子柴智夏


魔人族チームの制作は我らがドリボ、そして音楽は俺が担当する。劇場版の『ツキクラ』の制作もあらかた終わったので、こうして新しい仕事に着手できた。そして主人公を演じる横浜さんは今をトキメク人気俳優さん…らしい。たしかにカッコいいし背が高いし余裕の表情だし……うっ、眩しい!



一通りの顔合わせが終わり、『四界戦争』の打ち合わせ、イメージのすり合わせ、大まかな流れなどを4社の代表たちが話し合う。ちなみにドリボの代表でやって来たのは香苗ちゃんだ。社長も来たがってはいたのだが、『ツキクラ』の取材が入っていたため不参加だ。


それにしてもこの豪華なメンバーをよく集められたものだと思う。一体どれほどのお金が動いて……


「智夏氏~おひさであります」

「AFLOさん!ご無沙汰です」


ゲスな考え事をしていたら、妖精族チームのAFLOさんが話しかけてきてくれた。


「思ってた以上にスケールの大きい話で腰を抜かしたであります」

「俺もまさか4社合同だとは思いませんでした」


白熱している4社の話し合いを見ていると、突然、後ろから誰かの手に目隠しをされた。


「だ~れだ?」

「お久しぶりです。佐久間さん」

「あったり~。少し見ん間に大きくなったんとちゃう?」

「え!ほんとですか!?」

「気のせいかも」

「え!?」


佐久間さんが笑いをこらえている姿を見て、ようやく揶揄(からか)われているだけだと気付く。再会早々手玉に取られる俺ってチョロすぎないか。


「相変わらず、賑やかね」

「氷雨さん!」

「ふふっ。元気そうね」

「はい!氷雨さんも相変わらず眠そうですね」


目が半分くらいしか開いていない氷雨さんは、相変わらず睡眠不足っぽい。


「朝日が眩しい…」

「朝じゃなくてもう昼ですよ」

「こういう会話懐かしいわ~」

「ホームに帰ってきたって感じですな」


とAFLOさんが言うと…


「ホームですか…?」

「違うと思うわ」

「AFLOは黙っとき」


三者三葉の返事を返す。


「これぞホームって感じですな!」


AFLOさんの不屈の精神も相変わらず健在のようだった。





魔人族チームの主人公役の横浜真澄君は危険なかおり編187話「ずっと妹みたいに思ってた」に登場してます。実は今回で2回目の登場。

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