駅
ごめんなさい!今回かなり短いです!
今日は学校に行って先輩や後輩、そしてクラスメイトからバレンタインのチョコやお菓子をもらい、放課後にはLuna×Runaの2人からワンホールのケーキをもらった。
こういうのは数じゃない。気持ちが大事なんだ。…って、わかってはいるけど、やっぱりたくさんもらうと嬉しい。
Luna×Runaの2人と別れ、ワンホールケーキが崩れないように駅に向かうと、ホームでわかりやすく頭を抱えて落ち込んでいる香織がいた。
やっぱり酔っ払ったことを悔いているんだろうか。あれはお酒入りのチョコだと知らなかったし、お酒にめっぽう弱いことも知らなかったんだから防ぎようがなかった事故だ。
慰めの言葉をかけようと近寄っていくと、ぶつぶつと小声でなにかを懺悔しているようだ。だから周りに人がいなかったのか。
せっかくの美人がもったいない。
「、、、」
「香織」
「はぁ…なんで渡せなかったんだろう」
「香織」
「………あれ?幻かな?帰ったはずの智夏君が見えるや」
「幻じゃないよ、香織」
「またまた〜」
ほんとに香織は面白い。本人が否定してるのに俺のことを幻が何かだと思ってる。
だから、ちょっといたずらしてみることにしたのだ。普段の俺だったら絶対にしないようなこと。今日の成果に浮かれていたからこそできた行動。
「ちょいと失礼します」
と言って、2月の冷たい風に冷えた香織の耳を、手袋に包まれて温かいはずの俺の手でつまむ。
「ふぁ!?あっ、あったかい!?」
「これで本物だって信じてくれた?」
「う、うううううん!」
これは肯定の「うん」なのか否定の「ううん」なのかどっちだろうか。多分、肯定の方だろうと信じて話しかける。
「こんなに冷えてなにをそんなに落ち込んでたんだ?」
「智夏君に」
「俺に?」
俯いていた香織が、パッと顔をあげて何か言ったと同時に、ホームに電車がやってきて、
「智夏君に本命チョコ渡したくて…」
声がかき消されてしまった。
「香織ごめん!いま、なんて言った?」
電車から降りてくる乗客の喧騒に負けじと大きい声で聞き返したが、香織は首を左右に振った。
「なんでもないよ!こっちこそごめんね!わざわざ声をかけてくれてありがとう!じゃあ、私この電車だから、また学校で!」
俺の返事を聞くことも、振り返ることもなく香織が発車寸前の電車に乗った。
ちらりと見えた横顔は、涙を堪えるかのような表情に見えた。
だから、
「香織、もしかして体調悪い?」
俺も反射的に香織の乗った電車に飛び乗った。目の前にいる俺を見て、香織の大きい瞳が驚きに見開かれる。よかった、泣いてはいないみたいだ。
「な、んで?この電車じゃない、よね?」
「なんでって…。香織が泣いてるように見えたから。まぁ、早とちりだったみたいだけど」
恥ずかしくなってハハハーっと笑っていると、香織が顔を両手で塞いで何かを呟いた。
「……こんなの、好きになっちゃうじゃん」
「香織?」
「ふふっ、なんでもなーい。あ、そうだ思い出した。智夏君にバレンタインまだ渡してなかったよね?」
いま思い出した、といった様子でカバンの中から可愛らしいラッピングがされたカップケーキのようなものを出して、渡された。
「ありがとう、香織。大切に食べるよ」
「うん!」
勢いで飛び乗った電車の次の駅で降りて、香織と別れる。
香織が乗った電車が発車した途端に、普段使わない駅のホームのベンチにへなへなと座り込んだ。
「香織……さっき好きって言った!?」
・作者のお知らせ(言い訳2)
皆様の予想通り自宅のWi-Fiが復旧しませんでした!これはもう買い替えどきですね!テレビ、電子レンジもガタが来てるので出費がてぇへんだぁ!




