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9話 壮大なフリをさせておいてそのままという

お待たせしました。風邪大分なおりましたので投稿します。



「ふぅ、さっき軽くしか触れなかったけど、ギフトやスキルを見ちゃおうっか」

「あ、はい……」



 先程の荘厳そから一転、親しみのある声で女神様は言う。

 僕はその空気の落差に対応できなかった。



「まさか、後悔してる? だから契約前に十分吟味しなさいって言ったじゃん」

「いえ、それは後悔ないですが……」

「じゃあなんなのよ」

「いえ、あのその……」



 言葉に詰まる。

 自分にも説明できない感情。何を言えばいいのかわからない。

 女神様は、珍獣でも眺めるように見ていたが、僕が何も言えないことを察すると肩をすくめた。



「ま、いいけど。話を戻すわ。貴方のギフトだけど」

「はい」



 <今は遠き理想郷マイホーム>を契約する時に、軽くギフトやスキルを見たが、ギフトの詳しい説明や取得するかとかはまだだった。



――――――――――――――――――――

●ギフト

 クラスやジョブによって獲得するスキルではなく、その人自身が持つ力。

 同一スキルでも効果量が違うことから、神から与えられたといわれるもの、恩恵と呼ぶものもいる。

 個々人や種族によってギフトは違い、また先天的なものや後から突然発生する後天的に発現するものもある。

 スキルも同様だが、主にダンジョン内において効果が発揮される。


・獲得済みのもの

――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――

●スキル

 クラスやジョブによって獲得するものの通称。

 ダンジョンを潜るために与えられた力。

 女神の祝福時に生まれることが多く、クラスの習熟度や本人の資質等によってスキルが身につくのに差がある。 


・スキル(コモン)

・スキル(レア)

――――――――――――――――――――



 ギフトとスキルの説明だ。


「向こうでは、ギフトとスキルはどちらも神から与えられる力と思われているわ」

「でもギフトは恩恵って言われてますね。スキルの方は恩恵と言われないのですか?」

「ある意味全ての人がスキルを得るチャンスがあるから、ギフトに比べ特別感がないから言われないみたい。あとギフトの方はちょっと難解で……」



 難解?

 女神様とギフトを見た時は難解さは感じなかったけど、どういう意味だろう。



「スキルは効能がそのまま名称となるけど、ギフトは願いが名称になるわ。例えば、<健やかななるもの>はHPの増加や病気になりにくくなったりするわ」

「なんとなく意味はわかりますが効果を正式に理解するのは難しそうですね」

「ね。だからあっちの世界では神官とかが読み取ったりするし。だからこそ、神の恩恵って言われてる理由の一端みたい。私的にはスキルとギフトでは担当する神が違うだけと思ってるけど」



 ついでに耐性や魔法はスキルに分類されているけど、分けたほうがわかりやすいだろうと分けられているみたい。



――――――――――――――――――――

●獲得済みのもの(スキル・ギフト)


 *ギフトの場合、名称は異世界で変わる恐れがあります。制限時間が決まっているゆえ、わかりやすさ優先にしています。


・威圧耐性

・精神汚染耐性

・身体異常耐性

・精神異常耐性

・魔力欠乏耐性

・忍耐力

・痛覚耐性

・気配遮断

・闇魔法

・老化耐性

・自然治癒力増加

・魔力自然回復力増加

・疲労減少

・戦闘術


――――――――――――――――――――



「あっちではたまに変なギフト名になるから、わかりやすさ優先で名称がそのまま効果を表すスキル名表示にしているわ。<かけっこ初心者>でかけっこに関係なく速さが少し上昇するとか、わけわからいものも多いからね、あっちは」



 ギフトを担当する神は遊び心満載だそうだ。神自身がつけているのではなくシステム化しているみたいだけど、その意を汲むようにギフト名が決まるとのこと。力が強くなるギフトでも様々な名称がつくという。



「しかし、改めて見ると怖いわね。こっちは学業とか仕事とかスポーツを頑張っている人にちょっと効能をつけようかなっていう意図でやってんのに。ガチが来たわ」

「神様に言われるとへこむのですが……」

「耐性が取得する必要がないくらいに揃ってるのに、攻撃系はほとんどない……」

「異世界に飛ばされたとき、魔王を倒すために色々ありましたからね……」



 護衛がいても、最低限動けるようにと戦闘訓練をさせられた。

 魔王がいても取り乱さないように、殺されないようにと向こうの高級なアイテムを湯水のように使われて耐性をつけさせられた。一部国宝級のアイテムもあったので、あちらの本気具合が表れていた。



「薬って苦くて不味くて飲みにくいばかりで苦労しました。でも薬って基本、副作用とかありますよね。薬剤師とか向こうの世界にいなかったので怖かったです。でも、そのおかげで魔王を前にしてもあまり怖くなかったですがね。ははっ」

「私は別の意味で怖いわよ。よく生き残ってるわね」



 怖いと怖いをかけたジョークだったけど、受けなかった。

 マジコイツという目線で見られて、言わなければよかったと後悔した。



――――――――――――――――――――

●スキル(コモン)

 一律10P。一人三個まで取得可能。



・鑑定

・生命力上昇

・魔力上昇

・STR上昇

・VIT上昇

・DEX上昇

 ・

 ・

 ・

・剣補正

・盾補正

 ・

 ・

 ・

・嫉妬心減少

・魔力感知

・気配察知

・罠感知

・重量軽減

・姿勢制御

・走力強化

・暗視

・方向感覚

・暗算

・集中

・時間把握

・短睡眠

・薬草の声

・生存本能

・ギフト表示

・絶倫

 ・

 ・

 ・

・パワーアタック

・スラッシュ

 ・

 ・

 ・

――――――――――――――――――――



「多いですね」

「実際あちらの世の中にあるものだからね。だからコモンという意味で名称付けてるわ。コモンだからって有用なものも多いから馬鹿にしない方がいいわよ」

「例えば、鑑定とかですか?」



 スキルの欄の一番上にあり、創作物とかの中でも猛威を奮っていることが多い鑑定スキル。僕たちが行く異世界でも活躍するのだろうと期待させるものである。



「あ、それは罠として置いておいたの」

「ふぁ!?」

「鑑定の魔法があるんだけど、それを覚えられるの。魔法だから練度とかもあるし、集中して対象に使わないといけないので即効性的なものはないわ」

「ひどい!」

「有用ではあるけどね。人に使っても弾かれるけど、アイテムの鑑定とかには使えるし。ダンジョン攻略が嫌になったら鑑定を使って別の道を見つけられるし」



 そう聞くと、罠と言いながら温情のように思えてくる。

 ダンジョンを潜らないといけないけど、苦手な人もいるわけで、その人のためのものかもしれない。問題は説明してくれないとわからないことだけど。



 鑑定の下はパラメータ上昇や武器の扱いに補正がついたり、ダンジョンを潜る際に有用そうなスキルばかりだった。ダンジョンが神の恩恵として扱われる世界だし、試練とも呼ばれるので、神から与えられるギフトという力は



――――――――――――――――――――

●スキル(レア)

 


・経験値獲得上昇 《30P》

・パーティー内経験値上昇 《50P》

・必要経験値減少 《30P》

・パーティー内必要経験値減少 《50P》

・消費魔力減少 《20P》

・ドロップ率上昇 《20P》

・レアドロップ率上昇 《20P》

・宝物への嗅覚 《20P》

・矢避けの加護 《10P》

・モンスター寄せ 《10P》

・威圧 《20P》

・闘争本能 《20P》

・生活魔法 《20P》

 ・

 ・

 ・

・ドMの星 《28P》

・解説 《100P》


――――――――――――――――――――



「いつ見ても多いわね」

「え、そうなのですか? コモンより大分少なく感じますが」



 多いと言えば多いけど、スクロールするのも嫌になるほどの量があったコモンに比べたら天と地の差だ。感覚がバグっただけとも言えるけど。



「レアスキルはコモンよりもその人独自のものなの。ユニークスキルと言えばわかりやすいかもしれないわね。だから、レアスキルがない人もいるわ。それは可哀想ということでみんな一律で獲得できるものをいくつか入れたけど」



 これも異世界に行った影響だろう。地球に戻ってからの生活は異世界に飛ばされる前に比べても変わりなく、異世界での訓練やアイテムドーピングの影響が少しあるからぐらいだったので無自覚だったけど……もしかして僕は恵まれているかもしれない。

 才能があるとか強いとか言わないけど、なんというかこう、あれだ。すごいのかもしれない。



「AIが勝手に判断してレアなものを決めているけど、消費ポイントも多いので説明が入っているわ」


 

 説明もAIが自動で入れているけどと神様は呟く。

 項目を長押しするとポップアップが出現する。



――――――――――――――――――――

・経験値獲得上昇

 女神の祝福を受けるための経験値をダンジョン内限定で上昇させる効果を持つ。

――――――――――――――――――――



「ま、倍率とかは教えてくれないし、大切なことは教えてくれない仕様だけどね」


――――――――――――――――――――

・生活魔法

 妖精族が使える魔法。

――――――――――――――――――――



「相変わらず説明がそっけないわねー」

「スキル名からなんとなくわかりますが、説明が説明になってなくて逆に取っていいのかわからなくなりますね。罠ですか?」

「や、そんなことはないはずよ。有用と言えば有用だし」



 灯火を創るトーチ。小さな水玉を創るウォーター。光源を創るライト。体の汚れを取り去る魔法など。

 小さな魔力で効果を発揮するこれらの魔法は、体の小さい妖精族という種に与えられた恩寵と言われ妖精族の自慢だという。ダンジョン攻略でも有用なものもあり、パーティーに入れるところもあるという。



「妖精族は体がちっさいからねー。人間基準の生活だと大変だからある程度自立できるように生活魔法ができたんじゃないかと私は思ってるけど」

「そんな魔法を僕が使えるってなったら問題になりません?」

「………………」



 目を逸らさないでください。



「ギフトって言い張ればいいのよ、あ、そっかー、いいなーってなるので大丈夫よ。きっとうん多分」


 その適当さに不安を覚えるのですが……。



 そして、目を逸らし続けた項目を長押しする。



――――――――――――――――――――

・ドMの星

 痛みを快楽に変換し、自己治癒力を大幅に強化する。

 痛みのみが友達となり、恋人となり、生涯のパートナーとなる。

 スキルレベルが上がれば妄想でダメージを発生させ、他者を介さずとも自分のみで完結する。勿論、オンオフ可能。

 今なら30%値引き中。

 

――――――――――――――――――――



「……………………」

「……………………」

「壊れているじゃないですか、このシステム」



 今までのそっけない説明から一転。

 これが有用であるとばかりに押入れをかけてくる。

 スキルの値引きとか初めて見た。



「元々の貴方の素質をAIが評価している可能性もあるわ。拷問の経験とかがほらさ、新しい扉をね。そんなひどいことがあったら自分を守るために……ね? 防衛機能と呼ばれるものよ。貴方が悪いんじゃないの。世の中が厳しすぎるのが悪いのよ」

「気を遣ってもらってありがたいですが、そんな事実ありません。拷問もされたことなかったですし」



 これ以上この話題を掘り進めてはいけないと、次の項目へ。

 解説スキル。

 鑑定がある以上名前からでは違いがよくわからない。

 が、それ以上にわからないのが消費ポイントだ。これだけ異常に高い。

 もしかして鑑定の上位存在で、一瞬で鑑定ができるとかそういうのだろうか。



――――――――――――――――――――

・解説

 それは闇夜の中、灯される小さな光。

 闇が覆う世界で歩くとき、明かりこそが道しるべに見えるだろう。

 だが、安心してはいけない。

 虫が光を憧憬し、業火にその身を焼かれるように、

 火の存在は時として、恐ろしきものに変わるのだ。

――――――――――――――――――――




「女神様、解説! 解説!」



 説明が説明していない。五行もあるのに意味がわからない。

 怖い!

 これ神様の仕込み?



「ええっ……こんなスキル説明だったかしら」

「やっぱりこのシステム壊れてますよ!」



 わちゃわちゃしていたらポップアップウィンドウが消えてしまったため、再度呼び出してみる。

 もう一度よく読んで、吟味しないと!



――――――――――――――――――――

・解説

 イザリスの王は幻想の事実を嫌い、真実を求めてしまった。

 おびただしい血と屍の先に王は見いだした。

 そして絶望し、その生命を捨てた。

 その生涯に意味があったのか。

 何故、事実ではいけなかったのか。

 誰もが偽りの幻想にいる。ギフトも同じではなかろうか。

――――――――――――――――――――



「……………………」

「……………………」

「さっきと説明変わってませんか?」

「……変わってるわね」

「仕様ですか?」

「まさか。してもこんな意味わからないようにはしないわよ。イザリスってどこよって言いたいわ」

「女神様、ウイルスチェック! ウイルスチェック!」

「……ウイルスハ ハッケンサレマセンデシタ……ピピッ!」

「嘘だっ!」



 その口調が嘘っぽい。

 女神様は失礼ねと言いながらも、



「そもそもシステムがおかしいのは貴方だって悪いんだから喧嘩両成敗だわ。他の人の表示は普通だし。つまり被害者は私達なの。これだって解説文が二種類あって、交互に表示されてるってオチなだけだと思うし」



 ポップアップを消し、再度表示させる。



――――――――――――――――――――

・解説

 瞬時に物事を読み解く始原の力。

 一日に使える制限回数がある。

――――――――――――――――――――



「……………………」

「……………………」



 女神様が何度かポップアップを消し、再表示させても、最後に変わってからは変化しなかった。



「RPGとかのゲームで、NPCに話しかけると最後は同じことしか言わなくなるアレね!」

「そんな解説をつけられても……」



 困るけど、本当に困るのは……。



「けど、有用そうなスキルよね? 鑑定の上位スキルっぽい感じがして」

「はい」



 そうなのだ。

 この文章だけで判断すると、有用っぽい感じがするのだ。

 少し意味はよくわからないけど。



「基本的にレアスキルは消費ポイントが高いほど有用度が高いとシステム的に判断されるわ」

「だとすると、このギフトは有能な可能性が高いと」

「そう言えるわね」



 この文章だけが表示されるならノリで取ってしまえとなってしまうけど、怪しい文章の数々を見たあとだと躊躇してしまう。

 消費ポイントが多いだけに。



「とりあえず全部見ただろうし、決めちゃいますか!」

「そうしますか!」



 僕と神様はとりあえず現実逃避しながらも、キャラメイキングをあーだこーだ言いながら決めていくのだった。


ちょっと自分自身すんなりいってない部分があり、9話の設定は変更する場合があります。ダンジョン部分書き始めたらこっちのほうがいいやになりそうですし。

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更新ありがとうございます。 それにしてもシステムの遊び心よ()
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