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3話 数話後ぶち壊しになる話

 ふぅ……。一通り見終わったかな。

 一部、ギフトやスキルの欄が見えなかったけど、それ以外は見れた。

 最終決定までもう1フェーズあるので余裕があるといえど、残された時間は20分を切っていた。軽く一覧しただけなのに意外に時間がかかっている。



 さて、ここからどうするか。

 ポイントはわりと沢山あるけれど、考えなしに分配するのは悪手のような気がする。

 何も準備せずに山に登るようなものだ。



 まず、僕が異世界で何をしたいか。

 一番はそれだ。

 異世界で最強になりたいのならそれに沿うようにすればいいし、戦闘とは無縁、つまりダンジョンに潜りたくなければ、戦闘系にポイントを使わず、お金や家にポイントを使えばいい。

 


 世界観というか、戦闘を前提としている点で神の意思に反しているような気がするけど、自由にできるというのなら可能という話だ。

 

 

 何をしたいのか。

 一度目の異世界は逃げたかった。生き残るためには耐えるしかなかった。そのために魔王を倒した。地球に戻ったときは、もうどこも行きたくない。部屋にずっといたい。ニートでもいいと強く思った。学校も熱が出たと言ってサボった。まぁ、すぐに不登校になるのもまずいかと思って、しひ登校するようになったけど。

 そんな小心者の僕は二度目の異世界で何をすべきか。

 


 何もしたくないなぁ……。

 一番の本音が漏れ出た。怖い思いはしたくないし、安定して優雅な生活を送れれば、それが一番いいなと思う。

 ニートにクラスチェンジするにしても、お金がないといけないし。世の中、世知辛いのである。


 

 何もしたくないけど、何かをしなければならない。

 地球ならばネットがあれば時間を潰せたけど、異世界ではネットはないだろう。文明的に下の生活になる。

 働かなければ、ご飯もない。お金を最初に貰えるけれど、奪われたら終わりだ。日本的な治安を前提にしていたら死んでしまう。

 だからこそ、生きるために力がいる。



 生き残るためにどうするか。

 うん。しっくりきた気がした。

 生活をするにしても、生き残るにして力がいる。

 そのために力を得よう。

 


 前の異世界では後ろに縮こまっていたけど、カッコよく戦えるなら戦いたい欲もある。男の子なのだから、憧れがないとはいえない。

 積極的に、敵を殺すぜーヒャッハーとか言うつもりもないけど、戦わないといけないのなら戦うぐらいの根気はある。魔王を倒せという無茶振りではないんだから、それを考えたらダンジョンでの戦闘なんてイージーな任務に思えてくる。例えば、ヒーラーとかソーサラーの後衛職ならモンスターとの前線ガチバトルにもならないと思うし。命の危険は少ないんじゃないかな。



 プラス思考で自分を説得してみる。

 うん、だけど……。



 問題はパーティーを組む必要があるということだ。前衛がいなければ、後衛とか言ってられないもんね。ソロなら常に最前線だ。

 だからこそ仲間がいるわけど……。

 この場所に集められた人は10人程度で誰も知り合いがいない。その中でパーティーを組むとか……無理ゲーだと思う。



 例えば、後衛のクラスを選ぶとしても問題がある。

 社交性に自信もないのも勿論だけど、男なのに後衛がいいという人を女性はどう思うか。男女平等やジェンダーレスの社会だけど、こんな立場になれば男が前と言われると思う。

 そう言われても拒否感というか強く反論する気持ちがでてこないし。まだまだ日本の世の中にはジェンダーレスの意識が欠けていると世界から非難されるのもわかるね。

 わかるけど、ここでそれを十人以上いる前で主張したくないし。正論が正しいわけではない。空気を読むことが大事と言われる日本人として、今の日本の風潮に迎合していこう。



 まぁ、前衛をやるって言ってもパーティーを組めるかというと別問題ですけどね。

 全員の顔を見たわけではないけど、どの子も美男美女だった。カーストで言えばトップ層。神様が美男美女だけを選別したのではないかなと疑うというか、絶対そうでしょうと確信を抱くほど顔面偏差値が高い中。

 日本という全体の中で一般平均はあるかなと、少し不安になりながら言える僕は、パーティーを組むことができるだろうか(問1)。


 

 採点で別の意味で頑張りましょうと言われる自信があるね。

 人間顔じゃないという意見はわかる。すごいわかるけど、もう素の顔面偏差値が負けている時点で、周回遅れを取っているようなものだ。

 何か猛烈なメリットがないと、僕とは組まないだろう。

 逆の立場ならそうだもん!


 

 造形である程度イケメンにできるけど、素の顔が違うからどう頑張っても勝てる気がしない。



 僕の強みは何かと言われたら、異世界経験二度目ですという点だ。

 この転生者に選ばれた人たちは年が似たりよったりが多い。つまり、若い。だからこそ日本から出たこともない人が多数だろう。

 その中で海外どころか、異世界の生き方を多少なりとも知っている僕は強いかもしれない。

 逆の立場なら是非仲間にとお願いするところだ。



 問題はそれをどう伝えるかだけど。

 僕異世界に行ったことがあるんだと言う人を貴方は信じられますか。

 十中八九、頭がおかしい人扱いされるだろう。

 シリアスな状況、緊迫感があるもう生存が怪しいかもしれない危機的な場面なら僕も声高に叫ぶかもしれないけど。これっと安全にチートくれるっぽいものねぇ……。

 それなら、別に危ない橋を渡らなくてもよくない?

 思考が楽の方に流れるけれど、止める気もおきない。

 もし、異世界に行った経験が役に立たかなったら、追放されるだろうし、追放されたら絶対傷つく自信がある。耐えられないね!



 転生者同士でパーティーを組むのは難しいかもしれない。

 そのことを念頭に置こう。

 異世界で新たに仲間をつくることも、頑張ったら可能かもしれないし。

 仲間は欲しいけれど、ソロでも生きていけるように。

 半ば逃げの思考に支配されている気がするけれど、方針は決まってきた。


 

 異世界で生き残る。

 そのためには力がいる。ソロでもある程度いけるように。

 基本方針はそんな感じにいこう。

 では、それを前提にポイントの割り振りをどうするかが問題だ。

 幸いポイントは沢山ある。

 優先順位を決めて選択しなければいけない。



・種族 

・造形 

・クラス 

・主能力 

・耐性 

・魔法 

・アイテム 

・ギフト

・スキル 

・転移場所 

・パーティー 



 一番優先するのは転移場所だと思う。大都市か小都市どちらがいいかわからないけれど、ポイントに余裕があるので大都市にしておこう。他にポイントがいるなら小都市にするばいいし。

 家の所有や部屋は保留でいるなら取ればいいと思う。最悪、異世界で買うという選択もあるのだから。


 

 次にアイテムを。色々なアイテムが入ったオススメ詰め合わせセットとお金のセットを選ぶ。セットは個数を選べるみたいだ。とりあえず一個だけでいいか。

 最初のオススメ詰め合わせセットにもお金が入っているけど、お金はあるだけあれば選択肢が増えるので少し多めに。ダンジョンに潜るといっても序盤はお金を稼げなさそうだしね。



 次は種族かな。

 本決定するわけではないけど、2個ぐらい候補にあげておこう。

 うん。種族を個で数えていいのかわからないけど。


 

――――――――――――――――――――

●種族

 様々な種族がいるなか、有力な種族への変更が可能。


人族ヒューマン《10P獲得》

 他の種族に比べ特徴が薄い。

 能力値も種としてはこれといった特徴はないが、個体差によって能力差が激しい。

 女神の祝福を一番受けやすい。



・エルフ 《10P》

 耳が尖っているのが特徴。長命種。

 肌が褐色のものはダークエルフと呼ばれる。

 INTが高いものや運動能力に秀でたものがいたりと人間種と同じように個体差が強い。



・ビースト 《10P》

 動物の力を与えられた種族。耳とは別に複耳があり、種族によりビースト内でも様々な複耳の形を持つ。

 AGIやSTRが高いものが多い。


・ドワーフ 《10P》

 女性は背が少し低く胸が大きく、男性は高身長で筋肉質が特徴。長命種。

 STRが高いものが多い。


・ドラグニル(竜人族)《20P》

 竜の血が混じった種族。角があるのが特徴。

 あらゆる能力値が高い。


・有翼人 《20P》

 背中に魔力の羽を生やすことができる種族。その羽は有翼人の象徴であり、絶対的なものであると有翼人は考えている。それ故に、羽が生えていない種族を見下しており、他種族からは嫌われている。

 能力値は総合的に高く、特にRSTが高いものが多い。



――――――――――――――――――――

 

 

 ……なんでもいい気がしてきた。

 エルフは知的な気がしていいし、ドラグニルは竜の時点で格好良さがある。ビーストはケモノ耳が生えるので恥ずかしい。これはなしかなと。男に可愛さなんていらない。

 有翼族はステータスが高そうだけど、翼がどうなんだろう。翼を生やしたいとか思ったことがないので、翼に思い入れがないと言える。他の種族から嫌われているのもいただけない。消費ポイントの大きさから、無理して取る必要はない気がする。

 ドワーフは高身長で筋肉質という部分が、若干マイナスポイント。ドワーフになると補正が加わるのかアバターの身長と筋肉量が上昇する。

 するけど、ムキムキというわけでもない。これで筋肉質と言われたら首をひねってしまう。造形で自分で改造しろということだろうかな。わからないけれど、これが正しい気がする。

 まぁ、種族的に前衛に向いているので僕のやりたい方向と合致していなさそうなので選ばないけど。

 


 なので、僕の中で種族は人間、エルフ、ドラグニル、有翼人、ビースト、ドワーフの順になった。

 人間は今の種族ということでデメリットはなく逆にポイントを貰える。とりあえず無難じゃないかなで第一位。

 知的さでエルフ、格好良さでドラグニルが続く。


 

 なんでもいいと言いながらもえり好みしているけど、とりあえず人間種族に仮決定しておこう。

 



――――――――――――――――――――

●造形

 貴方の姿を思いのままに変更できます。

 *この時間で変更した造形設定と種族は初回キャラメイキング後もお試しとして適用されます。また最終キャラメイキング時もこの設定が適用されたままになります。

 

・背の高さ ▼

・スケール調整 ▼

・顔の詳細 ▼

・肌の色 ▼

・瞳の色 ▼ 


――――――――――――――――――――



「これだ……」



 最初見た時に優先順位が低いと言ってたのに、種族決めを急いだ理由。

 それは造形。

 アバターの姿が種族と連動するのだよね、これ。

 造形を先に決めてしまうと、種族によっては合わない顔になってしまう。なので、種族を先に決めるか同時進行にしないと最高の造形にならないのである。



 残り時間は15分とちょっと。

 その残り時間の大半をこの造形に費やす所存だ。



 クラスや身体能力補正や属性、耐性が残っているのに何を考えているのだと思うかもしれないが、生き残るという目的では外見も馬鹿にできない。

 イケメンや美女は生きやすそうと思ったことはないだろうか。持たざるものの僻みだけど、イケメンだったから得した場面は聞いたことがあるけど、逆にブサイクだから得したーという話は聞いたことがない。

 顔面に限らずスタイルの良さも同じことだ。良い印象を受けやすいのはスタイルが良い人だろう。見も知らぬ土地で助けを得やすいのはと考えたらポイント消費もありなのではないか。ついでに身長も伸ばすこともありなのではないかと、僕は考える。



 身長の伸ばしていくとある点からポイント消費が激しくなる! くそぅ!

 170センチ以上はポイント消費が激しいのは詐欺だ! とりえあず一時的に170まで振っておこう。

 他の部分もいじってみると、多少変えるぐらいならポイント消費は少ないけれど、大幅に変えるとなると消費ポイントも大きくなる。

 整形というよりプチ整形みたいな感じ。本人の顔の特徴を変えずに良くするのには消費ポイントは低いけど、特徴を変えるとなるとポイントは沢山必要になる。



 種族とにらめっこしながら、ポイント配分を考える。人間が第一希望だけど、エルフだとどうなるかと種族を変更しながら造形のバランスを考える。あと、ポイント配分。数ポイントならこの造形で、10ポイントならここまで弄くろうとかも大事だ。後半のキャラメイキングでどのくらいポイントが必要になるのかわからない。



 僕のポイントは193P。中途半端な数字でみんなと比べて大きいのか少ないのかわからないけど、主観的には大きいと思える。

 とりあえず、その約半分93ポイントはアイテム・種族・造形に入れてもいいと思う。実際にそこまでポイント費やすか不明だけど、限度だけは決めた方がいい。無駄遣いの恐れもあるのだから。


 

 クラスや身体能力補正を後回しにする理由はスキルやギフトが見れないからだ。クラスや身体能力をきっちり決めてもスキルや、ギフトの結果によって振り直しの可能性があるため。

 そして、スキルやギフトの消費ポイントの大きさも問題だ。向こうの世界では神の恩恵と言われるぐらいだから、ありがたい力なんだろう。なら、消費ポイントも多いのではないかと睨んでいる。



 造形はこのフェーズで弄ったものはそのまま残るということなので、この時間だけ費やして最終決定は能力に時間を取ろうと思う。


 

 その選択が間違っているか正しいのかわからない。

 能力にポイントを大部分振ればダンジョン攻略は簡単になるのかもしれない。もっとこのキャラメイキングの文章を吟味して考えるほうがいいのかもしれない。

 その考えがちらつきながらも、僕は造形を弄っていった。

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あけましておめでとうございます。 また作者さんの作品を読めて嬉しいです! 自分の場合で置き換えると、種族は人間でお得セットに水と食料とお金を少し足して、水魔法と土魔法に風魔法と精霊関連、後は許す限り…
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