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悪評高き騎士、異国の王女と共に未来を切り開く  作者: 小笠原ゆか


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王女と共に歩む未来

一方、鬼燈国に渡ったアイヴァンは幸せに暮らしていた。

リンレイ王女との日々は穏やかで、二人の間には深い愛情と信頼が育まれていた。


アイヴァンとリンレイ王女の結婚式は鬼燈国の宮殿で盛大に行われた。華やかな装飾が施された広間には、国中から集まった貴族や賓客が詰めかけ、二人の誓いの言葉に耳を傾けた。式は厳かな雰囲気の中で進められ、多くの祝福を受けた。


ヴェリアスタ王国からの参列者はいなかったが、それは二人にとって些細なことであり、彼らの絆は揺るがなかった。


「アイヴァン、ここでの生活はどう?不便はないかしら?」


リンレイ王女が心配そうに尋ねると、アイヴァンは優しく微笑んで答えた。


「君が側にいてくれるお陰で、毎日が幸せだよ」


彼女の手を取り、そっと唇に触れる。その温かさと柔らかさに、アイヴァンは心からの安堵を感じた。


「毎朝、君の笑顔で目覚めることができるなんて、夢のようだ」


リンレイ王女はアイヴァンの言葉に微笑み返し、その目に深い愛情を宿した。


「私も同じよ。貴方と一緒にいることで、毎日が特別なものになるの」


互いに見つめ合い、微笑み合う二人の間には言葉にできないほどの温かな絆がある。アイヴァンは彼女の頬に手を添え、その瞳を見つめた。


二人の生活は愛情に満ち溢れていたが、国の務めも欠かすことはなかった。


アイヴァンは鬼燈国の宮廷でも、その誠実な人柄と正確な実務能力を発揮していた。彼は人族の感覚や文化を理解し、それを鬼燈国との外交に生かすことで多くの信頼を得ていた。


「アイヴァン、そなたの手腕には本当に感謝している。そなたのお陰で、我が国の外交関係は非常に良好だ。特に人族との交流がここまで円滑に進むとは思ってもみなかった」


リンレイ王女の父親である鬼燈国の国王もまた、アイヴァンの能力に満足していた。


「陛下、そのような御言葉を頂けるとは光栄です。私も、この国に尽力できることを誇りに思っております」


謙虚なアイヴァンに国王は頷き、続ける。


「そなたは既に我が国の大切な一員だ。これからも頼りにしているぞ」


アイヴァンは国王の言葉に胸を打たれた。自分の能力が認められ、必要とされる喜びを知った彼は、ますます職務に邁進するようになった。


毎日のように宮廷での会議や外交の場に立ち、彼の知識と経験を生かして、重要な決定に関与した。大臣や役人たちからの信頼も厚く、アイヴァンの存在は鬼燈国内でますます欠かせないものとなっていった。


ある日、仕事を終えたアイヴァンに、ジンフイ王子が声をかけた。


「アイヴァン。いくら仕事が楽しいからといって、姉上を放っておかないでくれよ」


思いもよらない言葉にアイヴァンは驚いたようにジンフイ王子を見た。


「いえ、そのようなつもりは……」


ジンフイ王子は笑って肩を竦めてみせた。


「分かっているさ。でも、少し休むのも大事なことだ。君は働き過ぎだ」


そう言って、ジンフイ王子はアイヴァンとリンレイ王女に休暇を兼ねて地方の視察に行くよう提案した。


「姉上も君と一緒に、もう少しゆっくり過ごしたいと思っているんじゃないか?新婚なんだからね」


リンレイ王女とアイヴァンに与えられた宮に戻ると、アイヴァンは早速視察の話をした。すると王女の顔はぱっと明るくなった。


「アイヴァンと一緒に出掛けられるなんて、本当に楽しみだわ!」


リンレイ王女は嬉しそうに笑い、アイヴァンの手を取る。

そしてジンフイ王子が提案した行先を伝えると、彼女は更に喜びを露わにした。


「きっとアイヴァンは気に入るわ。ヴェリアスタで訪れた、あの農村のように穏やかで素敵な場所よ」


アイヴァンはリンレイ王女の言葉に驚きと嬉しさを感じた。

かつて親善訪問で訪れた農村の風景が好きだとアイヴァンは言った。彼女はそれを覚えていて、アイヴァンが気に入るだろうと喜んでくれたのだった


「私の好きな風景を覚えていてくれるなんて、とても嬉しいよ」

「もちろん覚えてるわ。貴方と好きなものは全部」


二人はお互いの温かな気持ちを再確認しながら、視察の旅を楽しみにするのだった。

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