第二十一話:王都を揺るがす令嬢旋風
『学園フィットネス・クラブ』が巻き起こした小さな熱風は、やがて学園という鳥かごを飛び出し王都の社交界へと届きました。
きっかけは令嬢たちが長期休暇を利用して実家へ帰省したことでした。
久しぶりに我が子の顔を見たと喜ぶ親たちでしたが、彼らはすぐに娘たちの驚くべき変化に気づきます。
「まああなた、以前よりも姿勢が良くなったのではなくて?」
「おや本当だ。ドレスの着こなしがまるで別人じゃないか」
令嬢たちの変化は一目瞭然でした。
背筋はピンと伸び、その立ち姿は一本の美しい花のようです。重いドレスを着ていても足取りは驚くほど軽く優雅に見えます。何よりもその表情が以前とは比べ物にならないほど、生き生きと自信に満ち溢れていました。
その秘密を問われた令嬢たちは誇らしげに胸を張って答えるのです。
「ええ、学園で少し嗜んでおりますの。フィットネスという新しい教養を」
その噂は王都のサロンからサロンへと瞬く間に駆け巡りました。
「最近、学園の令嬢方がやけにたくましく、そして生き生きとしているらしい」
「なんでもフィットネスとかいう新しい嗜みが流行っているとか」
王都の若い貴族たちの間で価値観が静かに、しかし確実に変わり始めていました。
これまで美徳とされてきた儚げな華奢さや守ってあげたくなるようなか弱さ。それらに代わって健康的で引き締まった肉体美が、新たなステータスとして注目され始めたのです。
ええ、ええ。
わたくしが蒔いた筋肉の種は今や王都という豊かな土壌で、大きく花開こうとしていたのでございます。
実に素晴らしいことですわ!
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