第二十話:令嬢たちの肉体改造
『学園フィットネス・クラブ』の人気は燎原の火のごとく広まりましたわ。
エリアーナが掲げた「自分の身は自分で守る」という革新的なスローガンと、その背後にあるわたくしのカリスマ性が、守られるだけだった令嬢たちの闘争本能に見事に火をつけたのです。
クラブの活動内容は日に日に本格化していきました。
「皆様!本日はコルセットをより美しく締め上げるための腹斜筋トレーニングです!」
エリアーナの少しはにかんだ、しかし力強い号令一下、令嬢たちは一斉に床へ寝そべり腹筋運動を開始します。その光景はもはや清らかな乙女の園などではなく、さながらスパルタの練兵場ですわ。
彼女たちは次々と新しいスキルを習得していきました。
重いドレスを優雅に着こなすための強靭な体幹。夜会で一晩中踊り続けても息が上がらない心肺機能。そして何より、しつこい男たちを撃退するための護身術という名のキックボクシングを。
ある日の放課後、学園の裏庭で一人の令嬢が他校の男子生徒にしつこく言い寄られておりました。
以前の彼女であればただ怯えて涙を浮かべるしかなかったでしょう。ですが今の彼女は違います。
「ごめんあそばせ!」
その可憐な掛け声と共に、彼女のしなやかな脚が空を切り裂きました。
男子生徒の顎にクリーンヒットした完璧な回し蹴りは、彼を三回転させて地面に沈めたのでございます。
そのあまりに鮮やかな一撃に、周囲で見ていた令嬢たちから割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こりました。
この一件で、学園の雰囲気は日に日にたくましく、そして、生き生きと変わっていったのです。
ええ、ええ。
わたくしがいなくとも、わたくしの筋肉の魂はこうして確かに受け継がれておりましたのよ。
実に素晴らしいことですわ!
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