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【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第三章:悪役令嬢イザベラ、王国の危機も筋力で踏み潰しますわ!
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第七話:血を流す人形

「さあ、始めましょうか! あなたの、その貧弱なステータスで、このわたくしの筋肉に、一撃でも入れられるものなら!」


わたくしは、セレスティーナ様を背後に庇い、黒装束の刺客に向かって、にこやかに言い放ちました。ええ、ええ、戦闘前の挑発は、相手の冷静さを奪うための基本戦術。悪役令嬢の嗜みですわ。


刺客の男は、わたくしの、その、あまりに場違いな余裕に、明らかに動揺しておりました。ですが、さすがはプロ。彼は一瞬で冷静さを取り戻すと、その狙いを、わたくしではなく、本来の標的であるセレスティーナ様へと、再び定めました。


「イザベラ様、お下がりなさい! わたくしが対処します!」


背後から、凛としたセレスティーナ様の声が響きます。振り返らずとも、肌を刺すような絶対零度の魔力が、部屋の温度を急速に奪っていくのが分かりました。彼女の周囲に、凍晶‐シアン系統の、無数の氷の刃が形成されつつある。見事な制御ですわ 。


(ほう。彼女も、自ら戦う意志があるようですわね。ですが、詠唱が、まだ甘いですわ!)


刺客は、セレスティーナ様の魔法が完成する、その一瞬の隙を突きました。

彼は、わたくしの脇をすり抜けるように、電光石火の速さで、セレスティーナ様へと肉薄します!


セレスティーナ様の瞳が、冷静な怒りに細められる。ですが、彼女の環流マナ術が放たれるよりも速く、一つの影が、動きました。


音もなく。感情もなく。

ただ、完璧な、合理性だけで。


メイドのリリアが、自らの主人を庇うように、その前に、滑り込んだのです。

そして、刺客が振り下ろした短剣を――その、細い左腕で、真正面から、受け止めました。


ザシュッ、という、肉を抉る、鈍い音。

短剣は、リリアの腕に、深く、深く突き刺さりました。鮮血が、純白のエプロンを、見る間に赤黒く染めていく。


「リリアッ!」


セレスティーナ様の、その声は、怒りと、隠しきれない動揺に満ちたものでした。彼女の周りに形成されていた氷の刃が、主の動揺に呼応するように、霧散していく。


ですが、当のリリアは、表情一つ変えませんでした。

その人形のような瞳は、ただ、目の前の敵を、無機質に見つめているだけ。


そして、信じられないことが、起こりました。

彼女は、腕に突き刺さった短剣を、逆に、自らの腕の筋肉で、ぐっと締め上げ、刺客の動きを、完全に、封じ込めてしまったのです。


「なっ…!?」


刺客が、驚愕に目を見開く。

その、一瞬の隙を、リリアは見逃しませんでした。

空いていた右手が、鞭のようにしなり、刺客の、無防備な首筋に、寸分の狂いもなく、叩き込まれる。


ゴッ、という、硬い音。

刺客の男は、白目を剥くと、糸の切れた人形のように、その場に、崩れ落ちました。


後に残されたのは、絶対的な、静寂。

そして、腕から、だらだらと血を流しながらも、無表情で、佇む、一人のメイド。

わたくしは、その光景にただ、感嘆の息を漏らすのでした。

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

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