第十三話:いざ、実家(ギルドホーム)へ
わたくしの心に、再び火が灯った今、一刻の猶予もありませんでした。
王都での、甘っちょろい「情報収集イベント」は、もう終わりですわ。これから始まるのは、世界の存亡を懸けた、総力戦。そのためには、まず、わたくしの拠点へと戻り、戦力を整える必要があります。
翌日の早朝。わたくしは、夜明け前の薄闇に紛れ、誰にも告げずに王城を抜け出しました。エドワード王子が、わたくしのために用意してくださったという、山盛りのプロテインの差し入れにも、目もくれません。
目指すは、我が故郷、ツェルバルク家の本領、鉄砦城 。
王都から西へ約19日 。常人であれば、それだけの日数を要する道のり。ですが、わたくしは、文字通り、大地を蹴って、駆けた。己の筋力の限界を試す、最高の長距離トレーニングですわ!
道中、野盗に襲われれば、彼らを「経験値の低いモンスター」として、軽く一撃で沈黙させ、食料が尽きれば、森の魔獣を狩って、プロテインの代わりとする。
わたくしは、わずか数日で、鉄砦城の、あの武骨な城門の前へと、たどり着きました。
わたくしの、あまりに突然の帰還に、城内は、大騒ぎになりました。
大広間へと通されると、そこには、鬼の形相の兄ヴォルフ様と、そして、玉座に座る、我が父、ゴードリィ・フォン・ツェルバルクが、わたくしを待っていました。
「イザベラ!何の連絡もなしに、一体、どういうことだ!お前が、王都で、どれほどの騒ぎを起こしているか、分かっているのか!」
兄様が、いつものように、胃のあたりを押さえながら、わたくしを叱責します。
ですが、わたくしは、そんな兄様の言葉を、手で制しました。
「兄様、父上。そのような、些事は、もはや、どうでもよいのです」
「些事だと!?」
わたくしは、父と兄の前に、まっすぐに進み出ると、その場で、片膝をつきました。
そして、顔を上げ、これまでにないほど、真剣な、そして、燃えるような瞳で、二人を見据えたのです。
「父上、兄様。わたくしは、知りました。この世界が、今、未曾有の危機に瀕していることを。そして、その危機を救うための『神託』が、このわたくしに、下されたことを!」
わたくしの、その、あまりに突拍子もない言葉に、兄様は、呆然としておりました。
ですが、父上は、違いました。その、歴戦の古強者の瞳が、わたくしの覚悟の、その本質を、見抜いたようでした。
わたくしは、高らかに、宣言しました。
「これより、わたくしイザベラ・フォン・ツェルバルクは、この世界の、そして、ツェルバルク家の誇りを懸けた、『聖戦』を開始いたします!」
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次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。
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