第四十八話:決着!これがツェルバルクの力ですわ!
静寂が、戦場を支配していました。
わたくしが放った一筋の光に貫かれ、あれほどまでに猛威を振るっていた伝説のグリフォンが、まるで時を止められたかのように、空中で動きを止めています。
ですが、わたくしは知っていました。あれは、ただの足止めに過ぎない、と。
この好機を逃せば、次はありませんわ。
わたくしは、今一度、大戦斧を握りしめました。
体内の魔力は、先ほどの一撃でほとんどを使い果たしてしまっている。ですが、問題ありません。わたくしには、まだ、この鍛え上げた肉体が残っているのですから!
わたくしは、再び大地を強く、強く蹴りました。狙うは、光に貫かれたグリフォンの胸元。そこに、全ての魔力の源である「核」が、今、無防備に晒されているのが、わたくしにははっきりと見えました。
(守るべきもののために、力を振るえ――!)
父上の言葉が、脳裏をよぎります。
そうだ。わたくしは、もう、この力を恐れない。この力に、迷わない。
わたくしの背後には、守るべき仲間たちがいる。
ならば、わたくしが為すべきことは、ただ一つ!
わたくしは、天高く跳躍しました。
そして、眼下にいる宿敵を見据え、ありったけの意志と、誇りと、魂を込めて、その名を叫びました。
「これが、ツェルバルクの力ですわッ!」
振り下ろされた大戦斧の切っ先が、寸分の狂いもなく、グリフォンの核へと吸い込まれていきます。
パリンッ――!
ガラスが砕けるような、澄んだ音が、戦場に響き渡りました。
わたくしの斧が、確かに、魔獣の核を粉砕したのです。
その瞬間。
混沌のグリフォンが、声なき声で、天に向かって咆哮しました。
「クァァァァァァァァァァァ――ッ!!」
その巨体が、内側から、まばゆい光を放ち始めます。混沌の象徴であった禍々しい体は、その輪郭を失い、美しい光の粒子となって、空へと溶けていきました。
やがて、轟音と共に、その巨体は完全に消え去り、後には、きらきらと輝く光の雪が、静かに、静かに、地上へと舞い落ちてくるだけでした。
戦いは、終わったのです。
わたくしは、ふわりと地上に着地すると、その場に、がくりと膝をつきました。
全身の力が抜け、指一本動かすのも億劫なくらい、疲労困憊でした。ですが、その心は、今までに感じたことのないほどの、達成感と安らぎに満たされていました。
あたりを見渡せば、エドワード殿下も、エリアーナも、そして、わたくしのチームの仲間たちも、皆、言葉を失い、ただ呆然と、この光景を見つめていました。
わたくしは、光の雪が舞う中で、静かに、勝利の息吹を味わうのでした。
ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。
次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。
活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)




