表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第一章:悪役令嬢イザベラ、ざまぁ婚約破棄を筋力で踏み潰しますわ!
44/118

第四十四話:嵐の遭遇

「全力前進ですわ!」

わたくしの号令一下、チーム・イザベラは、咆哮が聞こえた方向へと、森の中を突き進んでおりました。やがて、木々が途切れ、目の前に開けたのは、古びた石材が散乱する広大な空間――わたくしが先日、「攻略本」を入手した、あの古代遺跡の中心部でした。


ですが、その光景は、わたくしが知る静かな遺跡とは、あまりにもかけ離れておりました。

遺跡の中央、かつて祭壇があった場所は巨大なクレーターのように陥没し、そこから、天を衝くほどの巨体を持つ魔獣が、その威容を現していたのです。


黄金の鷲の頭と翼、そして、白銀の獅子の胴体。その体からは、まるで陽炎のように、空間を歪ませるほどの混沌としたエーテルが立ち上っている。


「グリフォン…??」



誰かがそう呟きましたわ。

しかし、その禍々しい姿は、わたくしの伝え聞く、それとは全く異なっている。


そして、その周囲には、既に地獄のような光景が広がっておりました。

わたくしたちよりも先に駆けつけていたであろう、いくつかの生徒チームが、グリフォンの圧倒的な力の前に、なすすべもなく打ちのめされていたのです。


「凍晶よ、穿て! Crystallus・In…Hold…Out!」

「灼閃、驟雨と為れ! Ignis・In…Hold…Out!」


生徒たちが、環流マナフォースループの循環詠で必死に魔法を放ちます 。ですが、そのいずれの魔法も、グリフォンに届く前に、その巨体から放たれる圧倒的なエーテルの圧力によって、術者の環流ループそのものが乱され、霧散してしまいます 。中には、術の逆流障害によって、小さく吐血する生徒すらおりました 。屈強な騎士科の生徒が振るう剣は、その鋼の羽毛に弾かれ、赤子を相手にするかのように、いともたやすく吹き飛ばされる。


「くそっ、攻撃が全く通じん!」

「だめだ、撤退しろ!」


学園の教官たちが放つ、より複雑な循環詠による上位魔法ですら、この伝説の魔獣には、ほとんど効果がないようでした。


グリフォンは、そんな人間たちの抵抗を嘲笑うかのように、ゆっくりと、その巨大な翼を広げました。

ただ、一度、力強く羽ばたいただけ。

それだけで、凄まじい衝撃波が発生し、周囲の木々をなぎ倒し、生徒たちの防御魔法陣を紙切れのように引き裂いていきます。


「うわあああっ!」

「もうだめだ、逃げろ!」


恐慌状態に陥った生徒たちが、次々と戦線を離脱し、森の奥へと敗走していく。

教官の一人が、苦渋の決断を下しました。

「全チームに告ぐ!現時刻をもって演習は中止!これは訓練ではない、実戦だ!生存者はただちにこの場から撤退せよ!」


その命令が、この戦いの絶望的な結末を、決定づけました。


エリアーナは腰を抜かし、クレメンティーナとダフネも、血の気の引いた顔で立ち尽くす。リョーコ殿ですら、その額に汗を浮かべ、静かに武器を握りしめている。


誰もが、この圧倒的な「嵐」を前に、逃げることしか考えられない。


そんな中、わたくしは――歓喜に打ち震えておりました。


(素晴らしい…!これですわ!これこそが、わたくしが求めていた、骨の髄まで楽しませてくれる、最高の相手ですわ!)


皆が背を向けて逃げ惑う中、わたくしは、ただ一人。

その嵐に向かって、一歩、また一歩と、足を踏み出しました。

そして、大戦斧を担ぎ直し、その切っ先を、天に座す混沌の王へと、まっすぐに向けたのです。


「――さあ、始めましょうか。雌雄を決する、本当の『演習』を」


敗走していく者たちの喧騒を背に、わたくしたちチーム・イザベラだけが、その場に、仁王立ちになっておりました。

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ