表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第三章:悪役令嬢イザベラ、王国の危機も筋力で踏み潰しますわ!
113/118

第三十六話:仕組まれた盤上遊戯

王都で全ての点が線となり、ヴァレリウスという黒幕の存在が白日の下に晒されたという報せは、すぐにドルム・ガンドにいるわたくしの元にも届けられました。

兄様からの緊急の魔導通信でしたわ。その声は長年の胃痛から解放された安堵と、巨悪の正体を掴んだという興奮に打ち震えておりました。


(ふふん。やりますわね、兄様たちも)


わたくしは満足げに頷きました。

これで敵の正体は割れた。あとはこのまま王都へと凱旋し、ヴァルシェード家へと正面から筋肉による最終通告を叩きつければ、このメインクエストも完全クリア。そう、思っておりましたのに。


ですが、あのヴァレリウスという男はわたくしが想像していた以上に狡猾で、そしてしぶといラスボスでしたわ。

兄様からの次の一報は、わたくしのそのあまりに楽観的なゲームプランを根底から覆すものでした。


『――イザベラ、聞け!追い詰められたヴァレリウスがとんでもない手を打ってきた!』


なんと彼は陰謀を暴かれたにも関わらず、一切動じなかったのです。

それどころか逆に国王陛下と貴族議会に対し、こううそぶいたのです!

「皆様、どうか冷静にお聞きいただきたい。今、我が国は外なる脅威ではなく、内にいるあまりに強大すぎる『英雄』によって危機に瀕しているのかもしれない、と」


彼はまず、わたくしの功績を賞賛してみせました。

「『赤き戦姫』イザベラ嬢の活躍は誠に目覚ましい。ですが皆様、お忘れか?彼女の一連の行動は、その全てが国王陛下の勅命も貴族議会の承認も得ずに行われた独断専行であるということを!」

「許可なく軍を動かし、同盟国とはいえ他国の内政に深く干渉する。その『力』は果たして本当に王国のためのものなのか?あるいはツェルバルク家という一つの家の栄達のために振わ-れているのではないか?」

「私は国を憂う者として、そのあまりに危険な力の暴走を密かに調査していたに過ぎぬ!」


そしてその上で、彼はこう提言したという。

「もはや言葉だけでは、どちらが真の愛国者か決められぬでしょう。ならば開くべきです。全ての当事者を集めた緊急のサミットを。そこで民衆が見守る中、全ての真実を明らかにしようではございませんか」と。


そのあまりに大胆不敵で、あまりに白々しい提案。

開催地として指定されたのは、彼の庭とも言える『自由都市リューン』。

兄様は「罠だ!断じて乗ってはならん!」と叫んでおりました。


ええ、ええ。分かっておりますわ。もちろん、分かっておりますとも。

ですがこの提案、わたくしは乗らざるを得ませんでした。


(やられましたわね…)


ヴァレリウスはわたくしが御前試合や鉱山での救出活動で手に入れた、「民衆の英雄」というこの『赤き戦姫』の名声を逆手に取ってきたのです。

彼が仕掛けたのは物理的な罠ではない。わたくしの「誇り」と「評判」を人質にした悪質な盤上遊戯。

このサミットからもしわたくしが逃げれば、どうなるか。

民衆はこう思うでしょう。「赤き戦姫も結局は、己の保身しか考えぬただの貴族だったのか」と。

わたくしが筋肉で、汗で、そして時には血を流してまで証明してみせたツェルバルク家の正義。その全てがただの「茶番」として地に落ちてしまう。


(強制イベントの発生ですわね)


わたくしのゲーマーとしての魂が警鐘を鳴らしております。

断るという選択肢はございません。

ここで逃げれば、それはわたくしの、そしてツェルバルク家の完全な敗北を意味するのですから。


わたくしは通信機の向こうの兄様に向かって、静かに、しかし力強く告げました。

「兄様。その挑戦、受けて立ちましょう」

「イザベラ!?」

「罠だと知っておりますわ。ですが、だからこそ行くのです」


わたくしの瞳には一点の迷いもございませんでした。

「わたくしの正義を疑うというのなら、その舞台の上で再び証明してさしあげるまでですわ」


わたくしは通信を切ると、傍らで静かにその時を待っていた我が筋肉信者ソルジャーたちへと向き直りました。

その瞳には既に、次なる戦いへの歓喜の光が宿っております。


「お聞きなさい、我が使徒たちよ!」

わたくしは高らかに宣言いたしました。

「次なるトレーニングの舞台は決まりましたわ!目指すは自由都市リューン!最高の盤上遊戯ゲームの始まりですわよ!」

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話等を更新しています。

作者マイページ:https://mypage.syosetu.com/1166591/

Xアカウント:@tukimatirefrain

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ