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【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第三章:悪役令嬢イザベラ、王国の危機も筋力で踏み潰しますわ!
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第三十三話:筋肉による“対話”

「わたくしの、この『力』が、あなた方の『力』に値するかどうか、見極めに来てさしあげましたのよ」


わたくしの不遜な言葉に、玉座の間の空気が凍りつきました。兄ヴォルメ様は、もう、何かを言う気力すら失ったのか、ただ、胃のあたりを押さえ、壁に寄りかかっております。


ですが、ドワーフの王と獣人の王の瞳には、侮辱された怒りよりも、むしろ、面白いものを見つけたという、好戦的な光が宿っておりました。

「…ほう。ならば、見せてみよ。その、細腕で、何を語るというのかを」


交渉は、成立ですわね。

ええ、ええ。力と誇りを重んじる、この国の王たちには、魂と魂、筋肉と筋肉の、直接的な「対話」こそが、彼らの心を動かす、唯一の道なのですから!


最初の対話の舞台は、火の気の消えた、大鍛冶場でした。ドワーフの王は、巨大な槌を手に取り、わたくしの前に、立ち塞がります。

「我らドワーフの魂は、この槌音に宿る!お前が、我らと語らいたいと申すなら、このわたくしと、夜明けまで、槌を打ち合ってもらおうか!」

「望むところですわ!」

わたくしは満面の笑みで、同じ大きさの槌を、軽々と持ち上げました。


カン!カン!と、二つの槌が金床を叩く音が、静まり返っていた鍛冶場に響き渡る。

王の一振りは、まさしく、山を砕くがごとき豪腕。ですが、それ以上に、そのリズムと、鋼を打つ角度は、寸分の狂いもない、まさに、職人の神業でした。

わたくしは、その、神速の槌音に、必死で、食らいついていきます。

一時間、二時間と経つうちに、わたくしの額には、玉の汗が浮かび、呼吸が、わずかに、乱れ始めました。腕の筋肉が、灼熱の鉄のように、悲鳴を上げている。

(素晴らしい…!この、負荷!この、痛み!わたくしの、僧帽筋と、三角筋が、喜びに、打ち震えておりますわ!)


兄様が、遠くから、ハラハラとした顔で、叫んでおりました。

「馬鹿者!ただ、力を合わせるな!相手は、生涯を、この槌に捧げた、ドワーフの王なのだぞ!そのリズムに、飲まれるな!」

ええ、ええ、兄様。分かっておりますわ。だからこそ、楽しいのではございませんか!


夜明けの光が差し込む頃。ついに、王は、ぴたり、と槌を置きました。わたくしも、それに合わせて、槌を置く。その腕は、もはや、感覚がないほど、痺れておりました。

王は、荒い息の下で、こう、呟いたのです。

「…見事だ。お前の、その魂、錆びついてはおらぬようだな」


次なる対話の相手は、獣人の王。舞台は、都市の外に広がる、険しい、狩猟場でした。

「我が同胞と認められたくば、このわたくしよりも早く、この山の主を、狩って見せよ!」

「最高の、有酸素運動ですわね!」


獣人の王は、まさに、風でした。その、しなやかな体は、獣道を、音もなく、駆け抜けていく。

ですが、わたくしは、道なき道を、ただ、まっすぐに、突き進む!木々をなぎ倒し、岩を砕き、最短距離を、その圧倒的なパワーで、作り出す!


やがて、洞窟の奥で、山の主である、巨大な洞窟熊と、対峙した時。

「グルアアアアアッ!」

それは、わたくしの、倍はあろうかという、巨体。その、振り下ろされる爪は、鋼鉄すら、切り裂くという。

王が、その俊敏さで、熊の側面を、切り裂く!だが、傷は浅い。

怒り狂った熊の、憎悪の瞳が、より大きな脅威である、わたくしを、捉えました。


「イザベラ!」

兄様の、悲鳴のような声が、洞窟に、響き渡る。

凄まじい勢いで、突進してくる、その、肉の塊。

わたくしは、正面から、その突進を、両腕で、受け止めました。


「ぐっ…!重いですわね…!」

足が、地面にめり込む。全身の骨が、軋む音を立てる。

ですが、わたくしの口元には、笑みが、浮かんでおりました。

(これですわ!これこそが、対話です!)


熊の、巨大な顎が、わたくしの頭上から、迫る!

わたくしは、その顎を、下から、拳で、突き上げ、体勢を崩すと、がら空きになった、その懐へと、潜り込みました。

そして、ありったけの、体重と、意志を込めた、渾身の、アッパーカットを、その、分厚い胸板へと、叩き込んだのです!


ゴッ、という、鈍い衝撃音。

巨大な熊の体が、くの字に折れ曲がり、数瞬の後、沈黙しました。


その日の夕刻。玉座の間に、再び集った時。

二人の王の、わたくしを見る目から、以前のような、冷たさは、完全に、消え失せておりました。

そこに宿っていたのは、ただ、一人の、揺るぎなき魂を持つ、「戦士」に対する、純粋な、敬意の光でした。

ええ、ええ。最高の「対話」でしたわ!

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話等を更新しています。

作者マイページ:https://mypage.syosetu.com/1166591/

Xアカウント:@tukimatirefrain

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