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【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第三章:悪役令嬢イザベラ、王国の危機も筋力で踏み潰しますわ!
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第二十四話:王都上空の不吉な兆し

あの日、ドルヴァーン家の伝令騎士がもたらした凶報は、王都を包む熱狂的な筋肉のムーブメントに、冷水を浴びせかけるには十分すぎるものでした。

貴族たちの間では、にわかに「エルフの森の病」と「霊脈の乱れ」についての不穏な噂が囁かれ始め、あれほど活気に満ちていた王宮ジムも、どこか落ち着かない空気に満ちております。


ですが、わたくしは、むしろ、この緊張感を歓迎しておりました。

ええ、ええ。平穏な日常パートが長すぎると、プレイヤーは飽きてしまいますからね。適度な緊張感と、次なる展開への布石。実に、よくできたゲームシナリオですわ。


わたくしが、王城のバルコニーから、そんなことを考えて眼下の王都を眺めておりますと、隣で同じく空を見上げていたエドワード殿下が、重い口を開きました。

「ライネスティア家の魔導技師たちが、総出で霊脈の観測にあたっているそうだ。だが、原因が全く特定できんらしい。まるで、世界の血管が、内側から詰まっていくような、悪質な症状だと…」

彼の顔には、一国の王子としての、深い憂いの色が浮かんでおります。


その、時でした。

わたくしの脳内に、あの、白氷城での悪夢を告げた時と同じ、無機質なシステムメッセージが、直接、響き渡ったのです。


【――均衡精霊より、警告アラーート。ワールドイベントの発生を検知――】


「…っ!」


わたくしは、思わず息を呑みました。

その声と、ほぼ同時に。


ゴオオォォン…という、低く、不快な唸りが、王都の、まさに中心から響き渡ったのです。

わたくしとエドワード殿下の視線が、同時に、その場所へと向けられました。


王都白銀城の中心に、天を衝くようにそびえ立つ、巨大な塔。

この国の、いえ、この世界の環流マナ術の全てを管理・制御する、秩序の象徴――『環流統制塔』。

その、いつもは青白い清浄な光を放っているはずの塔が、今、まるで、巨大な心臓が不規則に脈打つかのように、禍々しい光を、明滅させていたのです。


やがて、その明滅は、一つの色へと収束していきました。

それは、空が嵐を呼ぶ前の、あの、不吉な紫色。


「馬鹿な…統制塔が…!?」

エドワード殿下が、絶句する。

眼下の王都が、一瞬にして、パニックの坩堝るつぼと化していくのが、手に取るように分かりました。人々が空を指差し、悲鳴を上げ、右往左往している。


統制塔から放たれる紫色の光は、ただの色ではございません。それは、霊脈そのものが、深刻なダメージを受け、悲鳴を上げていることの、何よりの証拠 。この王都の、秩序と平穏が、今、まさに、根底から覆されようとしている、破滅の狼煙のろしでした。


わたくしの脳裏で、冷たい声が、続きます。


【――世界の霊脈に、深刻なダメージを確認。メインシナリオを、次のフェーズに移行します――】


わたくしは、隣で顔を蒼白にさせている王子には気づかぬまま、ただ一人、不敵な笑みを浮かべておりました。

さあ、始まりましたわね。この、世界の存亡を懸けた、本当のゲームが。

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話等を更新しています。

作者マイページ:https://mypage.syosetu.com/1166591/

Xアカウント:@tukimatirefrain

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