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馬鹿なところも愛しい (側仕え と 武家の娘)

幼いころから共に育った側仕えの男が自分に思いを寄せていることは、なんとなく分かっていた。自分もそうだからだ。

だが、側仕えはその思いを口にするつもりはないようなのが、どうにも気に食わない。使用人という立場を気にしているらしい。

有能なくせに、そういうところが馬鹿なのだ。



「そのような格好で、だらしないですよ」

「お前しか居ないのだから、いいじゃない」

「俺しか居ないから、問題なのです」


暑いのだし、少し胸元を寛げたくらい構わないと思う。絵巻物で見るような女性たちは、もっと派手に肌を露出している。


「姫、……縁談が来ているそうですね?」

「あら、耳が早いわね」

「お受けになるので?」

「私に選ぶ権利などあるわけないじゃない」


武家の娘として、父からの縁談は断れない。だから目の前の男と添い遂げるためには、そろそろ決着をつけねばならないのだ。いっそ夜這いでもしてみようか。




そんなことを考えていた、その夜。

なにやら思いつめた様子の側仕えが部屋に忍び込んできた。


「あなたを奪いに来ました」


だからこの男は馬鹿なのだ。とっくに自分のものであることに気づかず、わざわざ奪いに来たなどと。

だが、馬鹿なものほど不思議と愛しいものだから、その胸元を掴んで引き寄せた。



主従の両片思い、大好物(^^)

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