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魔王の娘の婿探し (側近 と 魔王の娘)
魔王である父に、そろそろ身を固めろと言われた。それで仕方なく、姫は側近に候補者を選別させて見合いをしている。
「どの相手もしっくりこないわねー」
「……姫は、どんな方が良いのですか?」
「そうねえ……」
姫は、ずっと自分を支えてくれている側近のことを信頼しているので、素直に言われたことを考えてみた。
「やっぱり、魔界の男らしく強いひと」
「それは当然ですね」
「……でも、馬鹿なのはイヤ」
「愚か者にあなたは任せられません」
「……女性には紳士でいてほしいな」
「なるほど」
「……あと、いちばん大事なのは、私のことを誰よりも愛してくれること!」
指折り数えていた姫の手を、側近の手がそっと握った。ここでようやく、姫は側近がすぐそばまで近寄っていたことに気づく。
「それでしたら…………」
膝をついて見上げてくるのは、姫が誰よりも信頼する男。
「あなたの目の前に、すべての条件を満たす男がおりますが?」
「…………」
「しっくりこない? 当たり前でしょう。俺以上に姫に相応しい者などありませんよ」
「………………それもそうね」
魔王の娘は、婿探しを終えた。
姫の相応しいのは自分しかいないと、気づいてほしかった側近。




