諦めましょう (同僚が可愛くて仕方ない魔術師 と 気づかない同僚)
女神に魔力を封じられた。
突然のことに困惑していると、同僚の魔術師の声がした。
「それ、私が女神様にお願いしたの」
両手を腰に当てて得意げな顔をしている同僚は、いつにも増して可愛い。
どういうことだと目線で問えば、にんまりと笑った。
「あなたが私に意地悪するからよ」
「…………俺が、お前に?」
全く心当たりが無い。
この同僚のことは、いつも全力で愛でている。
「昨日も、私が友達と楽しくお喋りしていたら邪魔してきたじゃない」
「あの男は、危険だ」
にこにこと笑って近づく男など、下心があるに決まっている。
なにしろ同僚はこのとおり、とても可愛いから。
「彼は友達だってば! あと、素材の採取に友達を誘ったのに、あなたがなんだかんだ言いがかりをつけて、けっきょく私ひとりで行くはめになったわ!」
「俺を誘えば良かっただろうが」
なぜ俺を差し置いて他の人間を誘うのか、理解に苦しむ。俺は誰より役に立つのに。
「……とにかく。魔力を封じられて懲りたでしょ。もう私のことは放っておいてね」
「それは無理だ」
魔力を封じられたくらいで、これだけ可愛い同僚から目を離せるわけがない。
「ぐぅ……女神様、お願いします。この男の魔力をすべて奪ってやってください! ……え、そんなことをしても無駄? もう諦めろ? そんなっ、女神様!」
わりと気軽にお願いを聞いてくれる女神様。
でも男の様子を見て、「これは無理だわ」と思いました。




