いい夫婦 (白魔術師の夫 と 黒魔術師の妻)
休日の午後。
クロムは書斎に引きこもり、新しい魔術書を堪能していた。
黒魔術師は知識を蓄えることを好む。
スノウはこういった研究の時間をクロムに許してくれているが、白魔術師である彼は理論よりも感覚で魔術を扱うから、おそらく共感はしていないだろう。同じ白魔術師なら、魔術道具を自作するアイビーとの方がこういった話は盛り上がる。
スノウは、クロムの黒魔術師としての性格を尊重してくれているのだ。
ふと顔を上げて時計を確認し、少し休憩しようかと魔術書を置く。
クロムが伸びをしながら扉を開けると。
「あ、スノウさん」
ソファで夫が寛いでいた。
クロムの声に雑誌から顔を上げたスノウは、柔らかく目を細める。
その仕草だけでなんだか嬉しくなって、クロムも笑顔を返した。
それからスノウが雑誌を閉じて立ち上がる。きっと、お茶を入れてくれるつもりなのだろう。
「コーヒーがいいです」
スノウはこくりと頷いて台所へ消えていき、やがて豆のよい香りが流れてきた。
ふわりと湯気のたつカップを渡され、手の中のぬくもりにほうっと息を吐く。頭脳労働での緊張がゆるゆるとほぐれていく。
自分のカップを手に隣へ腰を下ろしたスノウへ、邪魔にならないよう気をつけながらそっと寄り添ってみる。
すると、スノウのご機嫌な気配が伝わってきた。
「ふふっ」
ひとりの時間もふたりの時間も、スノウとの生活は心地よい。
妻の仕事(趣味でもある)を尊重する夫。
でも、あんまり度が過ぎると書斎に乗り込みます(^^)
こちら、連載作品「クロシロ」のふたりでした。
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