悩める青年 (真面目な騎士科二年 と 男装した魔術師科一年)
予備学校騎士科の二年に進級し、ひとりの魔術師科新入生と知り合った。
やけに馬が合って、後輩ながら親友と呼べるまでの仲になった。
学科が違うため常にというわけにはいかないが、空き時間や合同授業でしばしば共に過ごしている。
「あ。先輩、お昼ですか? 僕も一緒にいいですか?」
食堂でにこにこと嬉しそうに寄って来て隣へ座る後輩を、じっと見つめてみた。
親しい同性の友人……であるはずなのに、どうも最近、この後輩を見ていると妙な感情がわき上がることがある。
「こうして並んでみると、小さいな、お前」
そうだ、この後輩は男のわりには小ぢんまりとした体型なのだ。そのせいか。なんだか守ってやりたくなるのは。
「はあ? いきなり失礼ですね。先輩たち騎士科のみなさんが大柄なんですよ」
「そうか。まあ、そうかもしれないな」
「あ、それよりも先輩。忘れていませんよね? 明日、市に連れて行ってくれるという約束でしたよ」
「ああ。もちろん覚えている」
「……ふふっ。楽しみだな」
後輩の浮かべた柔らかい笑みが目に入った。
と同時に、だんっ、と拳を振り下ろす。
「え、あの、先輩? ものすごい音がしましたけど。大丈夫ですか?」
「…………………………ああ、問題ない」
断じて、自分に男色の趣味はない。
では、笑みを浮かべた後輩に触れてみたいと思うのは、どういうわけなのだろうか。
先輩は、後輩が男だと信じています。同性の友人にときめいちゃってる自分に焦って、あれこれ悩み中。(騎士科で男カップルを見たことがあるので、そういう知識はぼんやりある。)
後輩は自分の男装は完璧だと思っている。無邪気に先輩を慕っています。




