指輪の牽制 (四十代の文官 と 三十代の魔術師)
フェズ:四十代の文官
ラーナ:三十代の魔術師
「長期の調査任務、ですか」
恋人となってから、フェズとラーナは少しずつ関係を深めていた。
フェズは前のめりになりがちなラーナを宥め、お互いに無理のない速さで歩んでいこうと微笑んでくれる。理性を捨てたフェズがたまに余裕のないところを見せてくれるのも、ラーナにとっては嬉しいことでしかない。
そんな幸せいっぱいのラーナのもとへ、隣国での調査任務の打診がきたのだ。
「まだ、決定ではないのですね?」
「他にも候補はいるようで、同行する文官や騎士との調整もあり、もう少し経たないとはっきりしないそうです」
だがもしもラーナに決まってしまえば、しばらく隣国で過ごすことになるだろう。
「…………そうですか。こんなことなら、さっさと結婚しておけばよかったですね。そうすれば、おそらくラーナさんは選ばれなかっただろうし、私が夫としてついて行くことも可能だったかもしれません」
「………………」
たしかにそのとおりなのだが、フェズがごく自然と結婚後のことを語るのに、今さらながらラーナは頬を染めた。
「まあ、私はこの年ですから、待つのは慣れています。ラーナさん、休みが取れたら会いに行きますね。魔術便で手紙も送ります。だから、」
手を取られ、指輪を嵌めた指をゆっくりと撫でられる。
フェズとの恋人関係を示すこの指輪は、ラーナの宝物だ。
「この指輪、外さないでくださいね」
七夕の小ネタを書いていて。ちゃんと遠距離恋愛できそうなふたりって……と考えて、このカップルに登場してもらいました。
(こそっ)でもけっきょく、調査任務には他の魔術師が派遣されました(^^)
こちらのふたりは、短編「不惑の理性」からでした。
https://book1.adouzi.eu.org/n3055hf/




