ふんどしの作法 (娘さんを拾った青年 と 別の世界に飛ばされた娘さん)
2月14日は「ふんどしの日」だったと知りましたので、ふんどしです。
気がつけば、見知らぬ土地に立っていた。
幸いなことに、通りかかった青年に拾われ、共に町で暮らすようになって数ヶ月。親切な近所の人たちのおかげもあって快適に過ごしていた、ある日。
「……俺に、ふんどしを作ってくれない?」
なにゆえに隣人男性のふんどしを作らなければならないのか分からないが、もしかするとそれがここでの女性の仕事なのかもと、その場はあいまいに笑ってごまかした。
それから、その後も別の隣人たちから、ふんどしが欲しいと言われた。
(どういうこと? ここの作法か何か?)
こういうとき頼るのは、やはり拾ってくれた青年だ。
彼だけは、自分が遠い場所からの迷子であることを知っている、唯一の味方。
そう考えて相談したのに。
「ふんどしって……この馬鹿! ばーか!」
いきなり怒られた。
「いいか、絶対に作るなよ。絶対だぞ!」
「じゃあ、あんたにも作っちゃいけない?」
お世話になりっぱなしだから、彼になら作ってもいいかなと思ったのだが。
「俺に?」
そうだと頷けば、なぜか青年は頬を染めて息をのんだ。
「………………俺になら、作ってもいい」
ここの作法では、男性の下着を仕立てるのは妻の仕事。つまり、ふんどしが欲しいとは求婚されていたということ。
そして、女性からふんどしを作りたいと言えば、嫁にしてくれという意味だと、後で知った。
「はい、できたよ」
「お、おう。…………もらってやる」
って感じで青年はふんどしを受け取りました。
その後、青年はふんどしを隣人たちに自慢しました。それでご近所さんたちは、青年の思惑通り、ふたりが結婚したのだと認識しました。
事の次第に娘さんが気づくころには、すっかり外堀は埋まっていました(^^)




