王子様が来た (軍人 と 狐獣人の子)
軍で働く兄から、一通の手紙が来た。
いわく――しばらく他国へ行く事になった。ひとりにするのは心配だから、王子様を迎えに行かせた。嫁にもらってもらえ、と。
「王子様って…………?」
兄はたまに、突拍子もないことを言うからなと本気にしていなかったのだが。
数日後、ひとりの人間の男がやって来た。
色素の薄い髪に、意志の強そうな瞳を煌めかせて、立派な白馬に乗っていた。
(王子様だ………………)
ぽかんと見上げたままでいれば、男は話しかけてきた。
「もしや君は、獣人部隊長の妹さんか?」
兄は獣人部隊長を務めている。狐の獣人は珍しいので、自分を見てすぐに血縁だと分かったのだろう。
そうだと頷けば、男は片手で顔を覆って天を仰いだ。
「おいおい、こんなに幼い子だとは聞いていないぞ…………」
だが早口でよく聞こえなかった。まだ背が小さいから、男の顔との距離も遠いのだ。
「あー……、俺は君のことを、お兄さんに頼まれたのだが」
あの兄の手紙は本気だったのか。
ということは、このひとが件の王子様なのか。
(私、このひとのお嫁さんになるの……?)
「俺は軍で働く身だから、君に苦労はさせないつもりだ。一緒に来てくれるか?」
幼い狐獣人の背丈に合わせるため、しゃがんで尋ねてくれる男の目は優しく見えて。
狐獣人は顔を真っ赤にして、小さく頷いた。
狐獣人は、人間に狐耳と狐尻尾がついています。
軍人はとっくに成人していますが、彼女の見た目は幼子です。ちょっといけない感じの見た目になるカップル……。
次話、軍人視点で続きます(^^)




