予想外の変化 (人間に狙われる妖精 と 魔術師)
Twitterお題から。
「鳥飼泰さんは、「こんなふうに変わるとは思わなかった」という台詞と情という漢字からのイメージでハピエンになる作品を作ってください。」
#一台詞一字ハピエン
https://shindanmaker.com/941705
妖精は人間とほぼ変わらない見た目を持つ種族で、背中の美しい羽が珍重されるために狙われることが多い。
その日も、ひとりの妖精が数人の人間に追われて森をさ迷っていた。
衰弱した体でついに動けなくなった妖精が儚くなろうとしていたところへ、偶然通りかかったのは人間の魔術師。憎い人間の姿に、妖精は咄嗟に威嚇しようとしたが。
「は、妖精? え、なんか死にそう? と、とりあえず家に運んで……ぎゃっ、重い」
あまりに慌てる魔術師の様子に拍子抜けし、成り行きで世話を任せることになった。
それでも当初は、動けるようになったらさっさと逃げ出そうと考えていた。
だが最初の印象どおりどこかとぼけた魔術師に、すっかり情が移ってしまったのは予想外だった。
寝台で起き上がれるまでに回復しても、どうにも立ち去る気にならない。
「まさか、私がこんなふうに変わるとは思わなかったな」
魔術師が夕食を作っている優しい音が台所から聞こえて、妖精の表情も自然と優しいものになる。
最近は狙われてばかりの日々で、こんな気持ちになるのはいつぶりだろう。それも、よりによって人間を相手に。
(……たしか人間の使う言葉に、)
こういった感情を表すものがあったなと、思い当たった言葉が口をついて出た。
「あなたとの時間が愛しいよ、魔術師殿」
ふと振り返れば、ちょうど扉を開けた魔術師が顔を真っ赤にして固まっていた。
ツンツンしていた妖精がデレた瞬間。




