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Sランクギルドを追放された魔導士、田舎でスローライフもくろむ・・・が?!  作者: 士口 十介
暴走ダンジョンを攻略せよ

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魔導士は攻略の準備をする

「魔導士のカイ殿の工房はこちらで良いのか?」

白銀の鎧に身を包んだ壮年の男が訊ねてきた。

対応に出たフィリアが見た所、かなりの実力者に見える。

「確かにここは魔導士カイの工房ですが、どちら様でしょうか?」

「おお、これは失礼した。私はフェールズのギルド長、ドレッドと言う者です。」

ドレッドはフィリアに対して華麗にお辞儀をした。


「失礼しました。ダンジョン攻略のリーダーですね。

あいにくカイさんは睡眠中で・・・」


あれから三日三晩、不休で開水路の工事と精神回復薬マナポーション回復薬ヒーリングポーションの作成に加え、

活力向上薬スタミナポーション思考活性化薬マインドポーションを作成した。

思考活性化薬で無理やり起きていたことが祟って、現在爆睡中である。


「睡眠、そうか!では、仕方ありませんね。

カイ殿が起きたのであれば、“明後日、ダンジョン最深部の攻略を行う”とお伝えください。」

と、ドレッドはメッセージをフィリアに託すと戻っていった。

ダンジョン攻略の総仕上げの準備があるのだろう。


結局カイはその日は寝室のある三階から出てくることは無かった。

出てきたのは翌日、日も高く上ったお昼ごろである。


「ふぁぁぁぁ、よく寝た・・・久しぶりに熟睡したよ。」

カイがあくびをしながら工房がある一階まで降りる。


「おはようございます。」

受付をしていたフィリアがこちらを向いて挨拶をする。

「おはよう・・・といっても、もう昼だから、こんにちはだな・・・」

「ふふふ、そうですね。」


「あ、カイさん。

カイさんがお休みの時にフェールズのマスターが来られて伝言を預かっております。」

「フェールズの?」

「はい、明日、ダンジョン最深部の攻略を行うそうです。」

「そうか、明日で五日目だから・・・ほぼ予定通りだな。」


「となれば、明日の為に用意が必要だな。」

工房がある二階へ移動する。


「カイさん食事はどうなさいますか?」

フィリアが階下から顔を覗かせ問いかける。

「後で、何か軽い物が良いかな。」

「はい、判りました。出来上がったら呼びますね。」

「ありがとう。助かる。」


カイが工房に上がると、ルリエルやドワーフのグメルとガミラが後片付けをしていた。

「おはよう、カイ。食事おわり?」

「おはよう、ルリエル。食事はまだだ、後で食べる。」

「ま、ワシ等の場合だと酒があればよいがな。」

「違いない!」

「「がはははは!」」

ガミラとグメルもいつも通りだ。


「さて、ダンジョンだとあれを持って行かなくてはならないな。」

「・・・あれ?」

「こんな事もあろうかと開発しておいた“ダンジョンコア割機”だっ!!」

と言うと工房の片隅に置かれていたくるみ割り機の大きくなったような物を指さした。


「これがあるとダンジョンコアを綺麗に割れます。」

「カイ・・・大きい?」

「うーん。そうだねぇ。

確認されているダンジョンコア最大の物より少し大きいぐらいかな?ただ・・・」

「?」

「大きすぎて僕の力じゃコアを割れないのがね・・・」

カイは一般的な魔導士と同じく非力であった。


「これと、麻のロープ、煙幕、目くらまし・・・。」

「逃げる為の装備が多いのう。」「多いのう。」

「一応、魔導士だからね。防御力はあまりないからね。」

カイはこう言ってはいるが、一般的な魔導士より防御力はかなり高い。

(と言っても、軽戦士より低いのだが・・・)


あれやこれやと準備をするカイ。

結局、食事に降りてこない為、心配になったフィリアが呼びに来るまで続けられた。



十分な睡眠と万全の装備を整えて、カイはダンジョンにやって来た。

いつものギルドメンバー、ルリエル、ディンカ、スタン、バハル、ニライも同行している。


「瘴気の沼が広がっているな。」

走空車グエルの中でディンカがカイに現状説明をする。

「一応、水が流れ込むのを止めてくれたおかげで拡大は防げたが、

雨が降ると少しずつではあるが川に流れ込む。」

「そうか・・・その為にもダンジョンを攻略しないとな。」


そう言うカイの前に現れたダンジョンは少し様子が違っていた。

「入り口が思ったより大きいな。」

「ああ、当初より倍以上の大きさになっているらしい。」

走空車グエルでも入っていけそうだな。」

ディンカからの答えは驚くモノだった。

「入ってゆけるぞ。」

「な、なんだって!」


ディンカの説明によると、ダンジョン内には階段が無く、スロープになっている。

途中の道幅も広く天井も高い。

ボス部屋の前まで走空車グエルで移動できるそうだ。


「ダンジョンがそんな状況なので移動には走空車グエルを使うことになった。」

「ダンジョン内の運転は任せてくれ。最速で最下層から脱出できるぜ。」

とスタンが答える。

ダンジョン脱出にも走空車グエルを使うつもりらしい。


「各部屋の扉も無い、変わったダンジョンだよ。」

「ドロップや宝箱はどうだったのだ?」

「先行組がしらみ潰しに探索したおかげで宝箱は残っていないが結構いい物が出たらしい。

ドロップは肉だな。」

「ボスの様子は?」

「まだ観察していないな。取り敢えず軽く戦ってみて、どんな敵か調べるそうだ。」

「もらった情報によると“グレンデル”の様なだが・・・変化しているかな?」



カイ達が地上で待つ頃、ダンジョン最下層のボス、ダンジョンマスターと戦っている者たちは窮地に立たされていた。


「何だ!こいつは!傷が簡単に再生するぞ!」

「魔法が効かない!あの鱗に弾き返される!」

「不味いな。よし、撤退するぞ。」

偵察を任されているだけあり、彼らは素早かった。


「ぐへへへへ。ムテキ!ムテキ!オレ様はムテキだぁ!」

撤退する彼らの後ろから巨人の笑い声がこだましていた。


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