魔導士はFカートの厄介事を知る
野営地へたどり着いたドレッド達は乗ってきた馬車の扉を開いた。
「よし、罪人どもをこいつに載せるぞ。」
よく見ると馬車の扉は内側に取手が無い。
馬車の中は薄暗く何もなくまるで牢獄の様だった。
「中身、無い?」
馬車の中を覗いていたルリエルがドレッドに尋ねた。
「ああ、この馬車は囮だ。本物は今頃到着しているはずだ。」
大金を輸送するにあたって安全に運ぶのと同時に盗賊を退治する計画だったと言った。
その為にそれらしい連中に情報を流していたのだそうだ。
「で、こいつは護送車に早変わり・・・と。」
オライオンが偽装を解くと馬車は窓に鉄格子のはまった護送車に変わった。
「よし、盗賊たちを順番に放り込んでくれ。」
ヤマトとヴァンガードが盗賊たちを順番に放り込んで行く。
数珠つなぎに引っ張り回された盗賊たちは疲れたのか抵抗するそぶりは見られなかった。
盗賊を護送車に詰込み終わるとドレッドはカイに
「あと、保護した人たちはこちらの馬車に。」
と指示を出した。
「いや、町に戻るのならFカートのままでも・・・」
「彼女らはリモーデへは行かない。心の傷が大きすぎる。」
「・・・そうか、大修道院か・・・。」
「ああ、おそらくそこで暮らすことになるだろう。
町へ行くにしても村に帰るにしても今のままでは・・・」
「では、このままFカートで大修道院へ・・・」
「それもだめだ。カイ殿。
あなたはそのカートの重要性を理解されていない。」
ドレッドはカイの方へ体を向けるとゆっくりと話し始めた
「今は扱うのに呪文を使う能力がいるのでしょう。
だがそれも解決する手段をお考えだ。」
「このFカートは御者台を入れると最大何人まで乗りますか?」
「・・・十人ぐらいでしょうか?」
「では、このFカートを大型化した場合は?」
「・・・精霊石の消費を考えないのであれば、50人ぐらいでしょうか。」
「私は元王国騎士団長だから判る。
“徒歩だけでなく馬車よりも早く、人を大量に運べる。”
これだけで戦場で優位に立てる。」
「このFカートは間違いなく王国以外に売ることは禁止されるだろう。
場合によれば、開発そのものが王国に徴発される。」
ドレッドの話は新たな厄介事を予想される物であった。




