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第155話 打ち上げをしました

 その後、再び馬車で家まで送り届けてもらった。


「では、リュウ様、サラ様これにて失礼します」


「レナーテさんありがとうございました」

「レナーテ様、またお会いしましょう」


 レナーテさんが馬車に乗って屋敷へ帰っていくところを見届ける。


「ふぅ」


 俺は緊張から解放されてほっと一息つく。


「うまくいきましたね!」


 サラが声を弾ませながらそう言った。


「出来すぎだよ」


 テイス様にも料理を満足してもらえたし、ゼーベル家の印章もいただいた。


 これ以上望んだら罰が当たりそうだ。


「今日は、ぱーっと飲みましょう!」

「いいね、何か美味しい物を食べようか」


「やった!」


 サラが小躍りする。


「何か食べたい物ある?」

「そうですね……」


 サラが帳簿を書いているときと同じぐらい真剣な顔で考えている。


「この前言っていた海鮮丼を食べてみたいです!」


 そういえば、そのままタイタイ茶漬けを作ったから海鮮丼は食べていない。


 今日はそうするか。


「分かった。それを作ろう」


「ありがとうございます!」


 サラはガッツポーズをした。



 ーーーーー



 その後、市場に行って魚を買ってきた。


 今回見つけてきたのは、カッツォという赤身系の魚だ。


 まあ、カツオに近いかな。


 今回は身のみを使う予定だから、市場で三枚におろしてもらってきた。


 このまま刺身にしてもいいんだけど、せっかくだからもうひと手間加えることする。


「よし、始めるか」


 俺はリビングに屋台を一台召喚した。そして、フォルムチェンジでキッチンに切り替える。


「なぜここで屋台を?キッチンを使えばいいじゃないですか」


 ソルーンバーガーへの手紙を書いていたサラが俺の方を向く。


「今回の料理はこっちの方が都合がいいんだよね」


 俺はサク状のカッツォに金串をさしていく。


 そして、この状態でコンロの火の上にカッツォをさらした。


 そして、高火力で表面をこんがりと焼いていく。


 後はさっと冷たい氷水にくぐらせてカツオのたたきの完成だ。


「お、いい焼き上がりだ」


 切ってみると、いい感じに火が通っている。


 ちなみに、この作業を屋台の方でやったのはカッツォの油が家のコンロに飛んだら掃除が面倒そうだからだ。


 屋台なら消滅させればいいからね。


 たたきを切ったところでご飯の準備に取り掛かる。


 俺は大きな木桶を取り出すと、その上に白米をよそった。


 サラの食べる量を想定したらこれぐらい準備しないとな。


 そこに砂糖、塩を溶かしたお酢をご飯にかけ、空気を含ませるように切りながらかき混ぜていく。


 ある程度熱が取れたら酢飯の準備は終了だ。


 皿にご飯をたっぷりとよそい、上にたたきと大葉、すりおろした生姜をのせてカツオのたたき丼の完成っと。


「サラ、ご飯が出来たぞ」

「待ってました!」


 一瞬で支度を整えたサラがテーブルに座って待っていた。


 もうビールとグラスを用意してある。


 用意周到だな。


「そういえば、禁酒は?」

「こういう時は例外です!」


 そう言ってサラが胸を張った。


 これを例外にしたらもう意味ないんじゃないかと思ったけど、一緒に飲みたかったし何も言わないことにした。


 ーーーーー


「では……仕事の成功を祝して……乾杯!」

「乾杯!」


 俺とサラは家で打ち上げを始めた。


「……やっぱり仕事終わりビールは最高です!」


 サラがジョッキのビールを一気に飲み干した後、そう叫んだ。


「相変わらず気持ちいい飲みっぷりだな」


 元の世界だったらCMの依頼が舞い込んでくるレベルだと思う。


 ……ひょっとしてサラが美味しそうに食べているところを見てもらえれば、宣伝になるのではないだろうか?


 大食い系アイドル?


「リュウはん、どうひはんへふは?」


 サラが海鮮丼を食べながら聞いてくる。


「いや、なんでもない」


 俺は首を横に振って邪な発想を振り払った。


「海鮮丼の味はどうだ?」


「この魚の身をあぶっているのが香ばしくていいですね!」


 サラが贅沢に二枚とご飯をすくって頬張る。


「それにお米も普通のと違って酸味がありますね。おかげで無限に食べられます」


 本当に無限に食べそうな勢いだから怖いよな。


 桶一杯に酢飯を作って正解だよ。


「あーやっぱりうまい」


 刺身と白いご飯はもちろん相性がいいんだけど、やっぱり酢飯って特別感が出るんだよな。


 それに、これを作ったのなら寿司までチャレンジしてみたいな。


 ーーーーー


「そういえばリュウさん、これからどうしていきますか?屋台も順調ですし、規模の拡大を考えてもいいと思いますよ」


 ビールを飲んでいると、ふとサラが切り出してきた。


「そのことだけど、まだ決めきれていないかな」


 今のところ商品としてはキュウリの一本漬けだけだから。


 それこそ、今回作ったタイタイ茶漬けも評判だったしその辺から糸口を見つけるのもありかも。


「ま、ゆっくり考えていこう」


 今でも十分利益が出てるし、焦る必要もないかな。


「そうですね!楽しんでやりましょう」


「じゃ、もっと飲むか」


「はい!」



 こうして打ち上げを楽しんだ。


 ちなみに今回もサラはしこたま飲んで酔っ払ったが、隣の部屋に運べばよかったので楽だった。


 これが宅飲みの良さだな。すぐ寝られるし。

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