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第154話 ゼーベル家のお屋敷へ行こう その2

「もう一つご用意した料理があるのですが、お作りしてもよろしいですか?」


 キュウリの一本漬けを喜んでもらえたところで提案をする。


「他にも準備してくれたのか?是非もらおう」


「ありがとうございます。二種類ございまして、冷たいものと、温かいものをお選びください」


「わしは冷たい物を」

「わたくしは温かい物をお願いします」


「かしこまりました。サラ、温かい方の準備を頼む」

「了解です」


 俺は屋台召喚でもう一つサラの分のキッチンを作ると、自分の作業に取り掛かる。


 収納魔法から、前もってタレに漬け込んだタイタイの切り身を取り出した。


 俺の作る冷たいタイタイ茶漬けでは、生のままタイタイの切り身を醤油のタレに漬け込むのではなく、一度湯引きの要領で熱湯にくぐらせてからタレに漬け込んだ。


 火を少し通すことで刺身を食べなれていない人にも食べやすく出来ると考えたからだ。


 タイタイの切り身を冷水で洗って冷やした白米の上に乗せ、細かく刻んた大葉とゴマを振りかけた。


 冷やしタイタイ茶漬けの完成だ。


「リュウさんこちらの準備も出来ました」


 サラの温かい方もこの前のタイタイ茶漬けに薬味を乗せてバージョンアップを図った。


「お待たせいたしました。冷やしタイタイ茶漬けでございます」

「レナーテ様には温かいタイタイ茶漬けでございます」


 俺とサラは同時にお出しした。


「美しい彩だ」

「綺麗ですね」


「このタイタイの身の下にあるものは……米か?」


 テイス様が皿を覗きながら聞いてきた。


「はい、私の故郷での主食です」


「なるほど、稀にこのケンドットの港にも入ってくるがあまり食べる機会がないのでな」


 へぇ、ここには米が入ってくることがあるんだな。


 それほど、遠くとも交易をやっているってことか。


「横にあるポットで汁を注いでお召し上がりください」


 2人はお茶碗にだし汁を注いでいく。


 ちなみに、テイス様の方はだし汁もよく冷やしておいてある。


「こんな料理は見たことがない……どれ、いただこう」


 テイス様が大きめのスプーンですくって食べる。


「!? なんと優しい味だ!」


 大きく目を見開きながらテイス様が叫んだ。


「タイタイの上品な味のスープが染みわたりますね」


 レナーテ様もほっと一息つく。


「それに、この上にのっているタイタイの切り身は生に近いようだが、生臭さを感じない。このような食べ方があったとは驚きだ」


「わたくしの方も熱い汁をかけることで、タイタイの切り身にほんのり熱が入ってとても美味しいです」


 工夫したところを褒めてもらえるのは嬉しいな。


「ところで、この切り身は何のソースに浸かっているんだ?」


「これは醤油と言ってダイズを発酵させた調味料です」


 日本が誇る万能調味料だ。


「わしの知らない技術や調味料を惜しげもなく使っているところに、お主の底知れない力が垣間見えるな」


 そうテイス様がうなった。


「もしよかったら一緒にキュウリの一本漬けを食べてみてください」


 サラが2人に対して勧める。


「ふむ、このポリポリした食感があるとこの茶漬けという料理の違った良さが味わえる……ひょっとして、ここまで考えてこの料理を選んだのか?」


 テイス様が俺に質問してきた。


「はい、そこから逆算して考えました」


「……セレド殿が惚れこむわけだ」


 テイス様が納得したように頷く。


「はい、ソフィア様の誕生日会でリュウ様とお会いできて本当に良かったです」


 レナーテさんが嬉しそうに笑った。



 ーーーーー


「素晴らしい料理を食べることができた。感謝したい」


 食べ終わった後、テイス様がお礼を言ってきた。


「いえ、こちらこそありがとうございました」


 自分が作った料理を美味しく食べてもらえるのは嬉しいからね。


「そして、この素晴らしい料理を作る料理人、いや商人に一つ渡したいものがある」


 そう言ってテイス様は胸ポケットから小さな筒状の物を取り出した。


「これは……」


 セレド様のところでも似たようなものを見たことがある。というかもらったことがある。


「我がゼーベル家の印章だ。本来すぐに渡すものではないのだが、あの料理を食べたら渡さないわけにはいかない」


 そういってテイス様は笑った。


「このような貴重なものをくださり、ありがとうございます」


 俺は深々とお辞儀をする。


 今になってはこの印章の凄さが分かるからね。


「何か力になれることがあったらいつでも言って欲しい」


「はい、その時には伺わせていただきます」


 俺とテイス様は握手をする。


「サラ様、またお話ししましょうね」


「はい!レナーテ様」


 サラとレナーテさんも仲良くなったみたいだ。


 どちらも貴族の娘だからな。気が合うところがあるんだろうな。




 こうして、ゼーベル家のお屋敷訪問は大成功に終わった。

今後の投稿についてお知らせです。


これまで、ほぼ3日に1回のペースで投稿しておりましたが、3月24日の投稿をもって不定期更新に移行させていただきたいと思います。


現在本作品の執筆に割くことのできる時間が減少してしまっており、今のペースを維持するのが難しいためです。



そのため、更新頻度は今より減ってしまいますが、これからも全力で頑張っていきたいと思います。


引き続き応援していただけますと幸いです。


よろしくお願い致します!

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