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第151話 海鮮丼?

 それから3週間ほど経った。


「キュウリを1本頂戴」

「こっちは2本とビールを1杯」


「かしこまりました! サラ、ビールの方を頼む」

「了解です!」


 俺とサラはやってくる沢山のお客さんの応対をしていく。


 おかげさまで、キュウリの一本漬けは「一風変わった漬物」として砂浜で人気を集めるようになった。


 今では屋台の前に列が出来るほどだ。


 それに合わせてビールの売り上げも上々だ。


 やっぱりこの料理を選択して間違ってなかったな。




「今日は13万2200クローネの売り上げです」


 その日の夜、サラがリビングで作業をしながら笑顔で俺に報告してくる。


「了解、ありがとう」


 俺は明日の分の漬物の仕込みをしながら返事をする。


「私も手伝いましょうか?」

「ありがとう、昆布の葉っぱを茹でてもらってもいい?」


 3週間経って、サラとのシェアハウスにも慣れてきた。


 居心地もいいし、このまま続けられそうだ。


 まあ、もともとサラとは一緒にいる時間が長かったからね。


 だから楽なのかもしれない。




 ーーーーー




 次の日の午前中、俺がキッチンで作業をしていると、家の扉が開く音がした。


「おかえり」


 サラが商人ギルドから戻ってきた。


「ただいまです。ミアさんから連絡がありましたよ」


 ミアさんからの連絡によると、ゼーベル家のお屋敷に行く日が一週間後になることが決まったみたいだ。


 屋台での営業も落ち着いてきたタイミングに調節してくれたミアさんには感謝しないと。


「それと、領主様はキュウリの一本漬けに興味があるみたいです」


「了解、一本漬けを持っていこう」


「はい!」


「そのことで気になったんだけどさ」


「どうしたんですか?」


「領主様のところへ持ってくのがキュウリだけってどうなんだろう?」


 キュウリを持っていくことになるのは、なんとなく予想はしていた。


 ただ自分で作っておいて言うのもなんだけど、地味すぎはしないかな。


 いや、自分の漬物に自信はあるよ。


 領主様やレナーテさんに喜んでもらえるとは思っている。


 けど、レイの背中に乗ってケンドットにやってきたとき、ゼーベル家のお屋敷を見たわけだけど、あんな立派な建物に住んでいる人にキュウリ一本だけ持っていくのはなあ。


 少し気が引ける。


 それに初めてセレド様のお屋敷に行った時にはハンバーガーセットだったわけだし。


 比べると更に微妙に感じる。


「確かに、言われてみれば印象が薄い気もしますね」


 サラも頷く。


「別の料理も持っていこうか」


 よし、追加の料理を考えよう。


「何かこのキュウリの一本漬けに合う料理はありますか?」


「それはね、いっぱいある」


 漬物は優秀だからな。


 料理を注文した時に、小鉢に入った漬物が添えられているとそれだけで嬉しくなる。


 裏を返せばそれだけ選択肢はたくさんあるってことだ。


「では、この前の塩釜焼きのように魚を使った料理はどうですか?」


 ケンドットならではのものを使おうというサラの提案だ。


 和食かつ、魚を使った料理……


「海鮮丼……」


「それはどんな料理なんですか!?」


 サラが前のめりになって食いついてきた。


「ご飯の上に生の魚の切り身をのせる料理なんだ」


 俺が最も好きな料理の一つだ。


「魚を生で……」


 サラがゴクリと唾を飲む。


 めちゃくちゃ食べたそうにしているな。


 そういえば、ケンドットに来てからまだ刺身は食べてない。


 チャレンジしてみるか。


 こうして俺たちは市場に向かうことにした。



 ーーーーー



「ジーナさん、こんにちは」


 俺たちは市場に到着してまず、ジーナさんのいるお店へと向かった。


「あら、リュウさん。いいところに来たわ。はい、これ今週の分」


 ジーナさんは大きな袋を店の奥から持ってきた。


 大量の昆布の葉っぱだ。


「いつもありがとうございます」


 俺は代金を手渡す。


「いいのよ。こっちだっていつも買ってもらえてありがたいんだから。お互い様ね」


 そう言うと、ジーナさんは笑顔で代金を受け取った。


「そうだ。ジーナさんに聞きたいことが」


「何かしら?」


「この市場で売られている魚は生食出来ますか?」


「生食?珍しいことを考えるのね」


 ジーナさんによると、人魚族の人達は魚の生食を一般的にするみたいだが、地上に住んでいる人たちはほとんどしないらしい。


「とにかく、新鮮ならば、食べるのは問題ないわ」


「ありがとうございます」


 とりあえず生食は出来そうということは分かったが、地上の人たちは食べないのか……


 そうなるとそのまま海鮮丼を作っても受け入れてもらえない可能性がある。


 困ったな。


 メニューを考え直そうと思ったその時、ふとサラが持っていた昆布の葉っぱの袋に目がいった。


「リュウさん?」


 サラが不思議そうに聞いてくる。


 この時、俺は一つのアイディアが思い浮かんだ。


「そうだ。この昆布の葉っぱとタイタイがあれば、あれが作れる」


「あれってなんですか?」



「名付けてタイタイ茶漬けだ」

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