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第149話 一緒に住むことになりました

「さっきは笑ってごめんなさい」


 親子を見送った後、サラが笑顔で謝ってきた。


「別にそんな怒ってないからいいよ。それにしても、可愛い子だったな」


「純粋そうな子でしたね」


 喜怒哀楽がそのまま顔に出てて微笑ましい気持ちになったよ。


 その分、キュウリの一本漬けを食べたときのあの顔は忘れられないな。


「さあ、そろそろ片付けようか」


 日も暮れそうになってきたので、俺たちは屋台の片付けを始めた。


 桶を収納魔法にしまったり、使い終わったジョッキを洗ったりしていく。


 日の入りを過ぎると見えなくなるからテキパキとね。


 片づけをした後は屋台を消して、宿へと戻った。



 ーーーーー



「今日の売り上げはどれぐらいだった?」


 宿の俺の部屋に戻った後、部屋で作業しているサラに確認する。


「売り上げは好調でしたよ」


 サラによると、360本用意したうちの205本、ビールは120杯売れたそうだ。


「合計で99250クローネの売り上げですね」


 で、いつもの通り原価率はとんでもなく低いから90000クローネ強が利益となった。


「それなら、今後もうまく行きそうだな」


 キュウリの一本漬けも受け入れられれば、もっと売り上げを伸ばせるはずだ。


「はい、このメニューを選んで正解でしたね!」


 サラが嬉しそうに帳簿を閉じた。作業が終わったみたいだ。


「とりあえず、このまま屋台での営業を続けていくことにしよう」


「そのことでリュウさんに相談があるんですけど」


 サラが姿勢を正して俺の方を向く。


「どうした?」


 雰囲気的に真剣な話なのは伝わってくる。


 なんか緊張してきたな。


「あの……もしリュウさんが良かったら……その……」


「その?」


 サラの続きの言葉を待つ。


「宿を出て一緒に住みませんか?」


 一瞬の沈黙が流れた。



「え!?一緒に住むって……本当に!?」


 サラからの突然の提案に戸惑う。


 それって同棲ってことのなのか???


「お、お、落ち着いてください!詳しく説明させてもらいますから」


 サラが顔を真っ赤にしながら制止する。


「まず、この宿はそろそろ出た方がいいということです」


 サラの説明によると、このまましばらくケンドットに滞在する場合、これ以上宿に泊まるのはお金がかかりすぎるんじゃないかという事だった。


 確かに一泊6000クローネだからな。


 それも俺とサラの二部屋となると相当な出費になる。


「次に、別々に部屋を借りるのなら、一緒の部屋に住んだ方が効率がいいです」


 現時点でも、一本漬けの調理だったり、会計作業は俺の部屋でやっている。


 それならば、2つの個人部屋とリビングがある物件に引っ越した方が作業もしやすいだろうということだ。


「なるほど、早とちりするところだった」


 要はシェアハウスみたいな感じか。


 サラらしく合理的な考えだし、それだったら2人で暮らすのもありかもしれない。


「でも、俺と同じ家で暮らすことになって大丈夫?」


「全然大丈夫です。それに、誰も知り合いのいない街で一人で暮らすより、リュウさんと一緒に暮らした方が心強いですから」


 うん、そういう風に言ってもらえるなら断る理由がないな。


「じゃあ一緒に住むことにしようか」


「はい、よろしくお願いします!」


 こうして、サラと一緒にルームシェアをすることが決まった。



 割と勢いで決めてしまったが、いざ冷静になって考えると、誰かと一緒に暮らすのはかなり久しぶりだな。


 それに女の人と暮らすなんて家族以外の経験がゼロだ。


 ……サラに迷惑をかけないように気をつけよう。



 ーーーーー



 次の日の午前中、商人ギルドへと向かう。


「2人で住めるお部屋ですか」


 ミアさんに事情を説明し、物件を探してもらうことにする。


「現在ですと、こちらの部屋が空いてますね」


 ミアさんが見せてくれた図面によると、2部屋とリビング、そしてキッチンとシャワースペース、洗面所等がついていて、家賃は10万クローネだった。


「ここの部屋を見せてもらってもいいですか?」


「はい、それほど遠くないので、このまま行きますか?」


「お願いします」


 案内されたのは、商人ギルドから歩いて15分弱のところにあったレンガ造りのこぢんまりした2階建ての建物だった。


 部屋はそこの2階にあったが、日光が窓から入って明るく、清潔感もある。


 それに、南向きのベランダがあるのもいいな。


 ここで昆布の葉っぱを干せそうだ。


 また、ありがたいことに、前の人が残していったテーブル等の家具が残されていた。


 遠方に引っ越す場合、持っていく方がお金がかかることから、こういうことはよくあるらしい。


 気に入らなければ依頼して撤去してもらえるみたいだが、俺たちも何年も住むわけではないので、使えるものは使わせてもらうことにした。


「砂浜からそんなに遠くはないですし、ここは住みやすそうですね」


 サラもここが気に入ったみたいだ。


「じゃあ、ここにしようか」

「はい!」


 こうして、商人ギルドに戻って賃貸の契約を交わした。

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