第117話 レイの凄さを知りました
それからはマイマイ村の今を聞いたり、サラの昔話を聞いたりしながら夕食を楽しんだ。
現在はレイからもらった勇者の剣の噂を聞いた人が村の教会まで見に来るようになっているらしい。
この前、新メンバーの歓迎会でジェフもそんなことを言ってた気がするな。
それで今は見に来た人向けに村の郷土料理の小さな店を開いたりと少しずつ観光にも力を入れているようだ。
新しい収入源になるかもしれないとジャスティンさんも嬉しそうだ。
「何か力になれそうなことがあったら言ってくださいね」
「はい、困った時には是非相談させてもらいます」
これからもマイマイ村と関わりを持っていけたらいいな。
「そういえば、この前ここでオブリナの大会を開いたんですよね」
俺は大会でサラが優勝したことや、セレド様がベスト4に入ったことなんかを話す。
「さすがは私の娘だ」
アモードさんが誇らしそうに言う。
「やめてよお父ちゃん」
サラは恥ずかしそうだ。
「そういえば……こんなことがあったわね」
メリッサさんによると、サラが小さくてオブリナを覚えたばかりの頃。
同い年の男の子にオブリナで負けて泣きながら家に帰ってきたことがあるらしい。
それが悔しくて独学で勉強をしたか結果、村で一番強くなったみたいだ。
「負けず嫌いだったんだな」
「確かにそんなこともありましたね」
サラが昔を思い出すように言う。
そういうことが出来るからこそ、サラの才能は開花していったんだろうな。
こんなことを話しながら、夕食会は楽しく過ぎていった。
そしてみんなが夕飯を食べ終わってゆっくり話している頃
下にいたハンナが俺のところにやってきた。
「どうした?」
「セレド様がいらっしゃいました」
またポテトでも買いに来たのかな?
「ただ、セレド様は焦っている様子だったので気になります」
何かあるみたいだな。
「すいません、少し用が出来たので抜けさせてもらいます」
みんなにそうお願いした後、サラに目配せをして下へと降りた。
サラも察してか、頷いてついてくる。
一階に行くとセレド様が待っていた。
「リュウ!突然呼び出してすまなかったね!」
「そんなことよりどうしたんですか?」
「リュウはレインドラゴン様がどこにいるか知っているかい?」
「レイの事ですか?知っていますよ」
「ちなみに場所は」
「ちょうど今2階にいますよ」
「やはりか……」
俺がそう答えた瞬間セレド様はより深刻な表情になった。
「申し訳ないんだが、お会いさせてもらうことは出来ないか?」
セレド様によると、入り口の衛兵がレインドラゴンを名乗る少女を通過させることを渋ったという情報が巡り巡ってセレド様のところまで届いたそうだ。
報告者的にはそんなことありえないだろうけど一応ということで報告してきたらしい。
ただ、セレド様は俺がレイと竜の契約を結んでいることを知っていたから本当にレインドラゴンの可能性があると思って直感を頼ってここに来たみたいだ。
「いくら知らなかったとはいえ、領主として謝罪する必要があるからね」
「分かりました。案内しますね」
俺はセレド様を連れて2階へと向かった。
「「セレド様!」」
2階にいた人達がセレド様が現れた瞬間、みんな立ち上がってお辞儀をする。
その間もレイだけはおかわりのカレーバーガーを食べ続けていた。
その横にセレド様が真っ先に移動する。
「レインドラゴン様でしょうか?」
「そうじゃぞ」
レイが軽く返事をする。
「フストリア領が領主。セレド・フストリアでございます。この度は誠に申し訳ありませんでした」
そういってセレド様が事情を説明し頭を下げた。
カレーバーガーを飲み込んだレイがセレド様の方へと向く。
「妾は別に怒ってなどおらぬ。それに衛兵は仕事を全うしただけじゃ。お主が謝ることなどないぞ」
レイがそんな風に言った。
「そういっていただき感謝いたします」
セレド様が再び頭を下げた。
そして、ほっとしたような表情になる。
「それに、お主の名前はリュウから聞いておった。色々リュウを助けてくれたらしいの。妾はリュウの恩人を無下になどせぬ」
「私の名前をご存じでいてくださったとは!光栄でございます!!」
セレド様が感激している。
「今後もリュウを頼んだぞ」
「はっ!承知いたしました」
「うむ、では妾はかれーばーがーをもう一つ食べるぞ!」
レイは笑顔で俺に言ってきた。
「はいはい、用意するから少し待ってて」
こうしてセレド様の謝罪は特に問題になることなく無事に終わった。
それにしても、こういうやり取りを見ていると、レイがこの世界でいかに影響力を持っているかがよくわかるな。
セレド様がこんな風な態度をしているところを俺は見たことないし。
横にいたアモードさんとかジャスティンさんも驚いた顔をしていたから、俺と同じ気持ちなんだろうな。
あと、レイがセレド様に俺の事を頼むと言ってくれたのは嬉しかった。それだけ俺の事を考えてくれているってことだからね。
いい友達を持つことが出来たよ。




