第108話 オブリナの大会を開こう
後日、オブリナの大会の件でサート商会会議を開くことにした。
今回のメンバーも前回同様俺、サラ、ハンナ、カイン、クトルの5人だ。
俺の中ではこの4人が商会の中でのまとめ役になっていると思うし、今後も会議はこの形を継続していこうかなと思っている。
クトルにはこの前ケーキ工房の責任者になってもらったからな。もちろん、その分クトルの給料もアップさせてもらった。
みんなに大会を開くことを提案してみる。
「面白そうっすね、賛成するっす!」
「あたしも賛成します」
「我もです」
うん、みんな賛成してくれたし実際に準備をしていこう。
話し合いを進めた結果、何人かでグループ予選をやって、その上位者が決勝トーナメントに進む形式とした。
人数は48人先着順を想定しているが、あまりにも多くなるようなら抽選にしようと思う。
まあ、そんな公式の大会じゃないからね。初回だし、様子見ということでこれぐらいの規模にしておこう。
参加費 好きなバーガーセットを購入
優勝 賞金10万クローネ ソルーン・バーガーの商品を3ヶ月食べ放題
準優勝 賞金3万クローネ ソルーン・バーガーの商品を1ヶ月食べ放題
それより下の人には成績に応じて商品の無料券を渡していこうかなと思う。
参加費の合計と賞金の総額を見比べたら分かると思うが、今回は最初からこの大会そのもので黒字にしようとは考えていない。
参加費や景品でうちの商品を宣伝することが今回の目的だ。
だから広告費の一部と考えて今回は予算を組んでいる。
サラにおおよその試算はしてもらったけど、許容範囲内に収まるとのことだ。
「ちなみに、今回は大会を運営するだけじゃなくて、参加したいサート商会のメンバーも参加できるようにしようと思っている」
折角なら自分たちも楽しみたいからね。もちろん、運営側も必要だから、そこの調節は必要だが出たい人はみんな参加できるようにはしたい。
「俺はいいっす。あんまりオブリナは得意じゃないっすから」
カインは運営側に専念してくれることになった。
「あたしは参加します!」
ハンナが手を挙げた。得意なボードゲームとのことだ。
まあ、この手のゲームは元々戦をモチーフにしているからな。
スキル「軍師」と相性はいいのかもしれない。
これはサラに強力なライバルが現れたな。
「ふっ……我の出番がやってきました」
クトルも手を挙げた。
「この古の魔物より授けられた目で駒のすべてを見通してあげましょう」
左目にしている眼帯を押さえながらそんなことを言い出す。
……なんか久しぶりにクトルの中二病な面を見た気がするな。
サーモグラフィーだから見通す力はないけどなと思いつつ、あえてツッコまないことにしておこう。
その後は大会のために必要なもの、スケジュールやオブリナのルール等を確認していった。
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会議を無事に終えた結果、俺、サラ、ハンナ、クトルの4人がエントリーすることは分かった。
他のメンバーにも参加したいかを聞いてまわる。
その結果
アレンとジェフ、カミラの3人が大会に立候補をしてくれた。
トータルで7人、まあちょうどいいところかな。
ところで、カミラはサート商会中では現時点で唯一のエルフだ。
オブリナはエルフが生み出したゲームが起源らしく、カミラの村では一番の娯楽だったみたい。
これは期待大だな。
ちなみにメンバーの種族構成で言うと、人族以外でカミラともう1人、ブランドンがヤギの獣人だ。
といっても頭の角と耳ぐらいしか外見の差はないけどね。
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会議をもとに、2週間後と日時を正式に決めた上で店内の壁に大会のポスターを張り始めた。
「会長、大会をやるってのは本当なのじゃな?」
常連のクラウスさんが聞いてきた。
「はい。是非参加してみてください」
「うむ、参加の申し込みをしようかの」
俺はおじいさんに申込書を手渡した。必要な情報を記入して提出してもらうことで参加の扱いとなる。
「大会までにさらに腕を磨いておこうかの。サラちゃんとももう一度戦いたいからな」
こんな感じで常連のおじいさん、おばあさんたちはみんな申し込んでくれた。
それ以外の常連客の人や、新しいお客さんの中でも申し込んでくれる人がたくさんいた。
オブリナはこの世界でメジャーなボードゲームだからね。好きな人も多いはずだ。
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ポスターを張り始めてから3日ほど経った夜
夜番でカウンターにいると
「リュウ、申込書を持ってきたよ」
と言いながらセレド様がカウンターにやってきた。
来る回数が増えてきて最近登場の仕方がナチュラルになってきた気がする。
まだ入って日の浅いニールは隣で緊張していたけど、その隣のアレンなんかはセレド様に会釈する余裕すらある。
「あの、申込書はどこから?」
「サラがモードンに渡してくれたよ」
「なるほど」
「はい、これが申込書」
律儀に「セレド・フストリア」等丁寧に記載してある。
「大変嬉しいのですが、セレド様が参加されて大丈夫ですか?」
大会に参加したら普通に騒ぎになるような気がする。安全面の問題もあるからね
「その点については大丈夫だよ」
そう言うとセレド様が胸ポケット入れてあった眼鏡をかけた。
「え!?」
セレド様の顔の形が変わって別人になった。
「これは人の認識を変える魔道具さ。これを使えばまずバレない」
「なるほど、そういうことなら参加できますね」
安全面については迷惑の掛からない範囲で護衛を連れてくると言っているし問題はないだろう。
「それじゃあ、楽しみしているよ。あ、それとポテトを一つよろしく。お持ち帰りで」
「かしこまりました」
こうしてセレド様の参加も決定した。
その後挨拶に来たサラとの会話
サラ 「その眼鏡を使えばこれまでもソルーン・バーガーに簡単に来られたのでは?」
セレド「それだと目立てないじゃないか」
サラ「……」




