表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

112/165

第107話 サラが強いです

 ある日の朝、いつも通り朝のシフトを終えて会長室に戻ろうとしたとき。


「おはようございます」


「おお、リュウさん。おはよう」


 2階にいた常連のおじいさんおばあさんに声をかけた。


「今日もお元気そうでなによりです」


「そりゃあ、毎日をオブリナやっているからな。頭は使っているさ」


 オブリナとはこの世界で一番メジャーなボードゲームだ。


 基本は相手の王様を取ったら勝ち、取った駒は利用できるという将棋に近いルールだが、桂馬はチェスのナイトと同じ動きをしたりと駒の動き方は若干異なっている。


 要は将棋とチェスの中間みたいなゲームだな。


「そうだ、せっかくならリュウもやらんかね」


「いいんですか?」


 常連のおじいさんの1人であるクラウスさんに誘われた。


「もちろん。それじゃあここに座って」


 丁度休憩時間だったし、やってみることにした。


「会長からでいいよ」


「分かりました」


 俺が歩兵を動かしたところからゲームを始めた。


 その後はお互いに駒を取り合いながら進めていく。


「筋がいいね。本当に初心者かい?」


 クラウスさんが腕を組みながら唸る。


「似たようなものはしたことがありまして」


 たまたま俺の高校で将棋が流行った時期があって少しだけ勉強したんだよな。


 駒の動きは多少違うけど、オブリナならある程度応用できる。


 まさかその経験が異世界で役立つとは。



 一時間後


「参りました」


 俺の降参で試合が終わった。


 クラウスさんの勝ちだ。


「魔法使いを取られたのが痛かったです……」


 魔法使いは角のことだが、俺のミスで奪われたところで形勢が悪くなってしまった。


「また機会があったらやろう。今度もわしが勝つけどな」


「はい、お願いします」


 次は勝ちたいな。



「あれ、リュウさんオブリナですか?」


 たまたまサラがテーブルの前を通りかかった。


「サラはオブリナをやったりするのか?」


「はい、子供の頃よく遊んでましたよ」


「じゃあ今はやらないのか」


「そうですね」


 そんなことを話していると


「サラちゃん、わしと勝負しないか?」


 クラウスさんがサラに勝負を申し込んできた。


「いいですね。久しぶりにやってみたいです。明日やりましょう」


 サラが挑戦を受け入れた。


 これは気になるな。



 次の日、サラとクラウスさんが約束通り勝負することになった。


「わしはクラウスが勝つと予想する」

「私はサラさんだわね」


 常連のおじいさんおばあさんはそんなことを言いながら2人の周りをワイワイ囲っている。


「よろしく頼む」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」


 サラが先手番で始まった。



 20分後


「……参りました」


 結果はクラウスさんの負け、サラの完全勝利だ。


 駒の取り方的にはクラウスさんの方が有利だと思ってたんだけど、駒が多く動きが制約されることを利用してサラが最短距離でクラウスさんの王様をかっさらっていった。


「つ、強すぎる……」


 クラウスさんが頭を抱えていた。


「子供の頃で辞めたって言ってなかったか?」


 俺はサラに質問する。


 かなりのブランクがあると思うんだけどな。


「はい、勝ちすぎて私と誰も勝負しなくなったんですよね。それで辞めちゃいました」


 確実に村一番というか殿堂入りだな。


「サラちゃんはすごいな。今度は儂と勝負しないか?」

「何言ってるんだ、次は自分が勝負するんじゃよ」

「次は私だわね」


 常連さんたちがサラに詰め寄る。


「やりたいですけど、皆さん全員とは……」


 サラもみんなに言われて困った顔をする。


 とりあえず、サラとの試合はまた今度ということで、その場は収めた。


 ーーーーー


「サラ人気者だったな」


「そうですね。でも全員と対戦するのは難しい気が」


「あのさ、一つ思いついたんだけど」


「リュウさんがそういう時は大体私が想像してないことですよね」


「悪かったな」


「いえ、褒めてるんですよ!それで提案とは?」


「オブリナの大会を開かないか?」


 一日だけ店内を貸切にして、大会を開くことにすると面白いんじゃないかな。


「確かに面白そうですね」


 サラが俺の意見を聞きながら口元に手を当てて考え事を始める。


「例えば参加費をハンバーガーの購入とか、景品にハンバーガーの無料券なんかをつけたら店の宣伝になりますし」


 こういうアイディアをすぐに出してくるところ本当にすごいと思う。


「新しくそろえるものとしてはオブリナを購入するぐらいですからね。それほど高いものではないですし、費用もそれほどはかかりません」


 具体的な計算はしてみないと分からないが実現は十分可能とのことだ。


「前向きに考えてくれるか?」


「はい!私も出てみたいですから!」


「確かにサラにはいい機会になるかもな」


 俺もサラがどれぐらい勝ち上がるのか見てみたい。


「じゃあ、サート杯開催を目指して動くことにしよう」


 マイマイ村でイベントは成功させたし、今度はここソルーン・バーガーでイベントをやってみるのもいいはずだ。


 みんなが楽しめる大会に出来たらいいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ