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第105話 発想を変えました

 次に6号サイズのケーキを作ることにした。


 同じ要領で材料を用意して型に生地を注ぐ。


「オーブンに入れていこう」


 これもさっきと同じように焼いていく。


「リュウさん、もう少し炎を強化してください」


 クトルがオーブンを覗きながら指示をくれる。


 中心部の温度があまり上昇してないみたいだ。


「了解」


 レバーを調節して温度を上げる。



 しばらくオーブンで投下した後


「そろそろ焼きあがったかな」


 オーブンから取り出す。


「あれっ!?」


 取り出したケーキの表面は真っ黒だった。


 中まで火を通そうとした分、表面が焦げてしまったらしい。


 もう一回作り直しだな。



 今度は焦げないように慎重に温度を上げていく。


 その結果


「生焼けか……」


 表面こそはいい焼き上がりだったが、中がベチャついた状態だった。


「温度は上がってたと思うんですけど……」


 クトルが肩を落とす。


 温度は上昇していても、その時間が足らなかったんだろうな。


「切り替えて次だ」



 それからしばらく試行錯誤を繰り返していく。


 やっぱりサイズが大きくなると難易度が上がるんだな。


 とはいえ、たくさん作るうちにコツもつかんできた。


 そしてついに


「出来た……」


 完璧な火の通り具合のケーキが完成した。


 切り分けて味を確かめてみる。


「美味い……」


 スポンジがしっとり丁寧に焼きあがっている。今までで一番の出来だ。


「ここまで美味しいものを我が創造できるなんて!」


 クトルがケーキを頬張りながら感動している。


 これだけ試作を繰り返したら今後はケーキ作りをクトルに任せることが出来るだろう。



「でも、これ以上大きなケーキを作るのは難しいよな……」


「え、これ以上巨大なものを作るんですか?十分巨大なような」


 クトルが驚いている。


 確かに今までが3号のケーキだったからこれでも大きく見えるかもしれない。


 でも、俺の感覚からすると巨大なケーキとまでは言えないんだよな。


 やっぱり、特大と言うからにはウエディングケーキレベルの大きさの物を作らないと。



 とはいえ、今回やってみてこれより大きなものは不可能な気がした。


 6号より大きなものを作ろうってなると俺たちには技術が足らない。


 困ったな。


「あの、ひとついいですか?」


 マノンが遠慮がちに手を挙げた。


「どうした?」


「これより大きなケーキを作らなくても、大きなケーキを作れるのでは?」


「え、どういうこと?」


 言っていることがよく分からない。


「小さいケーキを重ねていけばいいと思います」


「なるほど、そういうことか」


 小さくて薄い、同一サイズのケーキを重ねれば高さは出る。それに横もクリームを塗っていけば形は一つの大きなケーキだ。


 ホール型にこだわってたからその発想が出なかったけど、長方形に発想を転換すればいいってことだな。


「よし、その作戦で行こう」


 いい考えを教えてくれたよ。



 まずは試作品ということで、縦15㎝、横10㎝、厚さは2㎝程のケーキを沢山焼いてみた。


 今度は分厚くない分、中まで火が簡単に通る。


 それを横に並べた上で、クリームを丁寧に塗っていく。


 ここを丁寧にやらないと全体の高さが均一にならなくて不格好になるからね。


 スライスした果物を挟んで、スポンジケーキでサンドしていく。


 最後に全体をクリームで覆って完成だ。


 6号のケーキよりだいぶ大きなものを作ることが出来た。


 この要領ならこれより大きなケーキも作ることが可能だ。


「これより後の事はクトルとマノンに任せて大丈夫か?」


「はい、我に任せてください!」


 デザインを含めたケーキの設計はクトルに頑張ってもらうことにしよう。



 こうして、スポンジケーキ開発は無事に終えることが出来た。



 ーーーーー


 スポンジケーキ開発を終えた後、俺は通常業務に戻った。


 クトルは引き続きケーキ工房の方で作業をしている。


 マノンはサポートだから、ソルーン・バーガーとケーキ工房を行き来している感じだ。



 あと、一つ変わったことがある。


「リュウさん、おやつ食べませんか?」


 昼休憩で会長室にいると、サラがケーキを持ってやってきた。


「食べようか」


 俺はサラからケーキの乗った皿を受け取った。


 クトルが練習のために試作品を作るようになったおかげで、収納魔法の中にケーキが収納されるようになった。


 ケーキの予約販売ですべてが売れるわけではないので、毎日順調に増えている。


 まあ、収納魔法は時間経過があるわけじゃないから気にする必要はないけど、余らせるのはもったいないからね。


 ということで、サート商会のメンバーは、試作品のケーキを好きに食べて良いということになった。


 みんな俺の想像以上に喜んでくれたよ。


 まあ、一つ4000クローネの物を無料で食べれるんだからそれもそうか。


 高級品ではあるけど、俺のスキルでいくらでも作れるから無料で配っても仲間内なら全く問題はない。


 ほんと良いスキルに恵まれたよ。


「で、この場になんでケーキが4つあるんだ?」


 今部屋には俺とサラしかいない。


「いや、それは……」


 サラがオドオドしはじめた。


「ったく、ほどほどにするんだぞ。じゃないとケーキをサラだけ禁止するからな」


「……はい」


 うん、サラだけは俺が見張ったほうがいいな。

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