表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/165

第96話 新メニューが出来ました

 次の日の朝、シフトに入るために店に向かう。


 今日からまた頑張ろう。


「会長おはようございます!」


 店に着くと、エマが俺に挨拶をしてきた。


 今日はエマと担当が同じみたいだな。


「おはよう。何か俺が行く前と変わったことってある?」


 もしかしたら何か変化していたりするかもしれないからね。


「そうですね、ほとんど変わりませんが一つだけ、新メニューがあります」


 そう言えば、カインが手紙でそんなことを言ってたな。


「折角だし、試食させてもらおうかな」


 今なら開店前だしちょうどいいと思う。


「はい!了解しました!」


 エマが返事をすると、早速厨房の方へと向かった。


「クトル!リュウさんが新メニューの試食をしてみたいって!」


「会長が?承知した!」


 調理場の奥からクトルの声が聞こえる。


「あれ?カインが作るんじゃないの?」


「実は、今回の新メニューを考えたのはクトルなんです」


「え、本当に!?」


 どんなものが出てくるんだろう。


 クトルがこっちにやってきた。


「それではこれから我の魂を移した、至高の料理を会長に捧げます」


 そう言うと、クトルが収納魔法からスポンジケーキを取り出した。


 このスポンジケーキは俺の調理魔法の中にあるうちの1つで、シンプルなものだ。


 ホールとしてはかなり小さめのサイズだ。3号ぐらいかな。


 これをクトルは水平に2等分した。


 その2枚の間に薄くスライスしたイチゴとキウイを挟んでいく。


「完成!この料理はフルーツバーガーという名です」


「甘い系のバーガーか」


 今までなかったからね。いい方向性だと思う。


「それじゃあいただくね」


 普通に美味い。スポンジケーキの控えめな甘さがイチゴとキウイの酸味と相性がいいな。


「うん、これなら勝負できるよ」


 この世界は甘味が貴重だ。だから甘いものとなると果物が中心になる。


 そこにこのスポンジケーキと組み合わせればかなり売れるはずだ。


「会長に喜んでもらえるのなら我も与えられた使命をこなせたと思います」


 クトルが笑顔になる。


「これがメニューとして追加されたってことね」


 エマに確認を取る。


「はい、そうです」


 これなら、対処できそうだな。


 それ以後は通常通り、営業を頑張った。


 最初の2時間ぐらいは手間取ったけど、それ以降は感覚を取り戻すことが出来た。


 これで今後は大丈夫そうだな。


 クトル開発のスイーツバーガーは主に夕方と夜に売れていた。


 価格は650クローネでおやつとしては少し高いが、マダムっぽい人が購入してくれているから新しい客層のゲットにつながっていると思う。


 となると、これに合わせて飲み物とかのセットを作れると面白いかもしれない。


 いい新メニューを開発してくれたよ。



 ーーーーー


 俺がソルーン・バーガーに戻ってから10日ほど経過した。


 もう完全に元の生活に戻ったな。


 前と変化があったとすれば、新しい従業員が増えたことか。


 今回ハンナが新しく雇ってくれた人数は6人。


 内訳は男性3人、女性3人だ。


 顔合わせは済ませたから、みんな俺やサラの顔は分かってくれたと思う。


 俺も6人の顔は覚えたから、これから仲良くなれたらいいな。


 これでサート商会のメンバーは15人になった。


 規模が大きくなってきたな。


 嬉しく感じるのと同時に責任感も増してくる。


 これからも頑張っていこう。



 ある日、閉店前の人のいない頃、俺は厨房にクトルを呼び出した。


 今後の事を考えてサラとカインも招集する。


「会長。何か我が負の波動でも発していました?」


 戻って来て思ったのがクトルの中二語が若干マイルドになったな。


 いい傾向なの……か?


 それは分からんな。


 クトルが心配そうな顔をしている。俺がクトルの事を呼ぶなんてなかなかないからね。


「フルーツバーガーの事なんだけどさ」


「もしかして……気に入りませんでした?」


 クトルが素に戻りながら聞き返してくる。


「いやいや、そんなことはないよ」


 むしろ、いいアイデアだったと思う。おかげでやってみようと思うことが出来た。


「そしたら何故?」


「フルーツバーガーを進化させようかなと思ってね」


「進化?フルーツバーガーは個として完全体であるような」


 クトルが不思議そうな顔をする。


「これからケーキってものを作ろうと思う」


 作るのはショートケーキだ。作り方もスポンジケーキがあるならそんなに難しくないし。


 まず、収納魔法からあらかじめ作っておいた生クリームを取り出す。


 そこに、三温糖を入れていく。


「あとはこれをひたすらかき混ぜていくんだ」


「混ぜる?」


 クトルが興味深そうにのぞき込んでくる。


「面白い変化が起きるから待ってて」


 俺は一生懸命ボウルに入れた生クリームをかき混ぜていく。


 やっぱり機械を使わないと、泡立つまで時間がかかるな。


「もしよかったら俺がやるっすよ」


「すまん、交代で頼む」


 カインはボウルを受け取ると、ものすごい勢いでかき混ぜ始めた。


 俺がやるよりも数倍速い。


 これならば最初からカインに任せてもよかったかもな。


 数分後


「なんか固まってきたっす!」


 カインが驚きの声を上げる。


「よし、そこからはかき混ぜるスピードを抑えてくれ」


 混ぜすぎるとクリームが固くなりすぎるからね。


 俺の指示したところでカインに作業を止めてもらう。


 少しだけ指でクリームを取って確かめてみる。


「よし、これでクリームの完成だな」


 砂糖を三温糖にしたおかげで、甘さがさっぱりしていい感じになった。


 みんなにクリームを取ってもらって試食する。


「これは!!この世の物とは思えない!!」

「こんな美味しい物があるんですね!!」


 クトルとサラがかなり喜んでくれた。


「これはすごいっすね」


 カインも感嘆の声を漏らす。


「よし、これをケーキに丁寧に塗っていくぞ」


 水平に2等分したケーキの間に、生クリームとイチゴを敷き詰める。


 そして、なるべく滑らかになるようにしながら表面にクリームを塗っていく。


 最後にイチゴを上にのせれば


「よし、出来た!」


 ショートケーキの完成だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ