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19※多分R15

※多分R 15だと思うのでご注意!!

誤字脱字報告ありがとうございます!



朝から降っていた雨が上がり綺麗な満月が浮かび上がる深夜、私は王宮から帰ってきたルゥの部屋に薄着で忍び込む。部屋に入りランプも灯らない暗闇を進む。そして寝室のドアの前まで来た。


音を立てない様、寝室に入り疲れた様子で眠るルゥの頬を撫でる。するとゆっくりとルゥの

目蓋が開かれ、寝ぼけているのか愛しそうに私に手を伸ばしてきた。その手に私の手を絡ませて離れぬ様握り込む。そのせいかルゥの意識が完全に覚醒してしまった。


「おまっ!?その格好はやめろ、薄すぎだ!!目に毒過ぎる!!」


「……私はそのつもりで来たのだけど?」


蠱惑的に微笑み軽く口付ける。ルゥは少し固まったが直ぐに頭を抱え唸る。何を思ったのかシーツを私にぐるぐるに巻きつけ、私を抱きしめ横になる。


「……何のつもり?据え膳食わないなんて不能?」


「……まだ婚姻前だろ。頼むから俺を試す様な真似はやめてくれ、あと俺は不能じゃない」


「別に婚約者との婚姻前の行為は禁止はされてないよ?避妊薬も飲んできたし、別にルゥを試してる訳じゃないんだけど」


「どうした?母上に何か言われたのか?」


「いや?言われたのは私の中の『お父様』。ねぇ、ルゥ……私の胸の穴を埋めて?滅茶苦茶になって分からなくなるくらい」


「俺はお前を大事にしたい。馬鹿なこと言ってないで寝ろ」


「ねぇ、私が狂わない様に繋ぎ止めて。確かなものが欲しいの」


私はぐるぐる巻きにされたシーツからするりと抜け出しルゥに跨がり全てを脱ぎ捨てる。


天使の様に微笑み、ゆっくりと抱きつくとルゥは何も言わずきつく抱きしめ返してくれる。私は悪魔の様にルゥにしがみつき嗤う。


「ねぇ?ルゥ、全部溶けて一つになろう?」


もう、言葉は要らない。


カーテンの間から見える満月だけが知っていれば良い。


ああ、あなたとの夜は暖かくて。


でも、心は冷えるのはなぜだろう?


このまま二人ずっと繋がったままでいいのに。


何故?ルゥが泣きそうな目で抱くの?


ルゥの中に私の心はある?


もうどれほど愚かと言われても良い。


私はただ優しい天使の様にルゥを抱きしめ、悪魔の様に心で嗤いながらしがみ付く。


このまま死ぬまで一緒だったらいいのに






ーーーーーーーーーー




「〜〜〜〜〜〜♪」


「……何の歌だ?」


「小さい頃、お母様がよく歌ってくれてたの思い出して。もう歌詞も覚えてないんだけどね」


「体は大丈夫か?」


「さあ……どこかの誰かさんが滅茶苦茶にしてって言ったのに、壊れ物を扱うようにしたから、半日で動けるんじゃない?」


「……俺は謝らないぞ」


「ふふっ、そんなもの要らない」


「ったく、母上と父上に小言を言われるのは俺なんだぞ」


「不能じゃないって証明出来たから、喜ぶんじゃない?」


昨夜の雰囲気もそぞろに、そろそろジェシカあたりが来るだろう。もう少しだけ昨夜の余韻を味わっているとルゥの寝室のドアをノックする音が聞こえる。


恐る恐るという声でジェシカが声をかけてくる。


「あの……ナディア様は此方にいらっしゃいますでしょうか……」


「ああ、いるぞ。入るのはちょっと待ってくれ」


二人とも何も身に纏ってないのだ。流石にこれではジェシカには刺激が強い。夜には分からなかったが、ルゥはかなり良い体をしてる。鍛えているのか逞しい腕に、綺麗な腹筋の筋肉を見つめる。


「……なんだ?」


「いやあ、良い体つきしてるなあって」


「無自覚に煽るのはやめろ」


「無自覚じゃなかったら?」


私はルゥに蠱惑的に微笑みかける。まるで蜜の滴る花の様に。その蜜は甘い蜜か、それとも毒か。


ルゥは頭をまた抱え、私に肩までシーツを上げて急いで服を着ていく。それはそうだろう、両親が来てる上に昨日の王宮での件、普段の執務があり、今日一日頭を悩ませるのだから。


そんなルゥに優しく頬に口付け私はルゥのベッドの上で微睡む。扉の向こうにいるジェシカに私を午後まで寝かせる様に指示をしているのが遠くで聞こえる。この心地の良い微睡に私は身を任せた。


夢を見た。嘲笑う様に私の前に立ち私の首を優しく締めてくる。私も嗤いながらもう一人の私の首を絞め、徐々に力を強くしていく。どちらが本当の私なのだろう。どちらも私なのだろう。


ルゥや、ルゥのご両親は優しいから分からないだろう。自分自身を呪う心地よさが。


認められたい、壊したい、愛したい、妬ましい。

早く、早く私を満たして欲しい。私が愛しているのはルゥ?それともこの狂った世界?狂っているのは私自身?


だからルゥに壊して欲しかったのに。





ナディアちゃんは天使か悪魔か、、、

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