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父親視点

※誤字、脱字多かったらすみません。



いつも私は孤独だった。


周囲はいつも私に優しい。私の顔が非常に整っているというだけで、私が何をしても、何を言っても肯定と媚びる事しかしないのだ。


幼い頃からそうだった。周りの子供が叱られる様な事を私がしても、両親も、周囲の大人も、遊び相手である私と歳がそう変わらない子供達も、誰一人として私に叱るどころか注意すらしない。成長するにつれ、それはより一層酷くなり、まるで毒の中にいる様な感覚がした。

何故、どうして。私も周りと変わらないただの人間なのに。顔が人より整ってるというだけなのに。


誰も私自身を見ていない。誰も私自身を愛してくれてなどいない。私の顔だけなのだ。私自身を愛してくれてなどいないのに、私の愛を欲しがるなんて、なんと滑稽な様だろう。


憎かった。私を綺麗な愛玩動物であるかの様に扱う両親も、周囲の人々も。


私を本当に愛せるのは、私だけしかいない。


だから、私は壊す。

私を愛しているとのたまう人間を。


最初の妻であるアルマは、何処までも愚直に私の愛を求め続けた。だから、アルマの姉と関係を持ち、アルマを壊し続けた。


そのうちに、アルマは娘を産んだ。

私とそっくりな娘だった。


私はやっと見つけたのだ。私の気持ちを真に理解出来る存在を。アルマは娘の顔を通して私を見ている。娘を見ている様で見ていない。周囲も娘の美しさに、優しさという毒しか与えない。


まるで娘は昔の私の様で、歓喜に心が震える。


そのうちアルマが完全に壊れ、死んだ。

アルマは愛に狂い、娘を捨てたも同然だ。


娘しか私の孤独を理解出来ない。私にしか娘の孤独を理解できない。そのうち娘は気付くだろう。真の理解者は私しかいないのだと。


だが、娘は私が思っていたのとは違う壊れ方をしてしまった。


私を見ないのだ。私に興味を示さなくなってしまった。違う、私はこんな風に娘を壊したかったわけじゃない。


時が経てば、いずれは私の孤独と愛に気付き、理解するだろうと思っていた。だが、娘は公爵に取り入り逃げようとした。そんな事をするなんて今まで一度もなかった。


何故、私を見ない。何故、私に執着しない。

何故、私の愛を理解しようとしないのだ。


私には娘しかいないのに。


だから娘を閉じ込めた。

蝶の翅を針で刺す様に。 逃げ出さない様に。





ーーーーーーーーーー





「ーーーーっくそ!!」


テーブルに飾ってあった花瓶を、手で払いのけて壊す。公爵に娘を連れて行かれ、父に領地の屋敷に療養という名の軟禁をされてしまった。


まさか公爵が父に働きかけるとは思わなかった。アルマが死んだ事に自責の念を覚えたのか、今まで大人しく引っ込んでいたというのに。今更、アルマに対する贖罪のつもりなのだろうか。父達の偽善の行動に反吐がでる。


娘を取り戻さねば。あれは私のものだ。


だが、今は行動を起こさない方が賢明だろう。私は大人しく機を待つ事にしよう。いけ好かないが、エルヴェ・ブランセットがいるのだ。あの男はきっと私より上手く狡猾に動く筈だ。



それに、公爵にあの娘は手に余る筈。


あの娘は毒に塗れ、静かに狂った獣を心の内に飼っているのだ。


公爵ごときに、あの娘の闇の深さが分かるものか。






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