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4 チュートリアルが欲しい

 ユリシーズ達がダンジョン入り口に着くと、そこにはトニアとカミロが待っていた。

「お待たせー」

「いえいえ」

「こちらも先ほど来たばかりですよ」

 5人は話をしながらダンジョンに入っていく。


「序盤の敵もまばらなまったりなこの感じ、慣れてくるとなんとも思わなくなりますねえ」

「本当に初めて挑んだ時はあんなに緊張したのにね」

「そうそう。ちっさい獣にびくびくしながら武器振り回して」

 トニア、カミロが話しながら出てきた小動物をさっさと片づけている。ユリシーズも、うんうんと同調している。


「でもさあ、間違って入った人はびっくりするだろうね。いきなり動物が襲ってくるんだからさあ」

「間違って?」

「ダンジョンと知らずにですか?」

 ユリシーズの言葉に、そんなことある? とカミロ達は虚を突かれる。

「ここのダンジョンができた時は派手に異変が起こったから領内の誰もが知ってるけど、後から来た人はそんなの知りようがないからね。ここがダンジョンですよという掲示は必要だし、うっかり入らないようにそれを止める人もできれば配置したい」

「門番だね。あと受付」

「そう。受付しないと入れないようにはしときたいよね」

 ユリシーズはダンジョンを探索しながらダンジョン運営に必要なものがなにかを確認していく。


「ダンジョンが危険なものだというのは周知しときたいよね。気軽に挑戦して死なれるのも困るし」

「そうは言うけど、最初はそういう事故が一個でも起きないと、危険だという共通認識ができないんじゃないかい」

 ユリシーズの言葉にバネサが続ける。

「犠牲を出したくないって気持ちはわかるけどさ。痛い目を見ないとわからないってこともあるさ」

「……そっかー」

 バネサの言葉にユリシーズは一度考えてみて、なるほどと納得した。確かに、どう危険なのかと口だけで説明しても、それが伝えきれるとは限らないのだ。


「でも、そういう無謀な奴ほど積極的に探索してくれるもんだしさあ」

「……うん」

 ユリシーズも探索したいという人を無理に止めたいとは思っていない。

「基本は、外からやって来る人に探索してもらうことになるけど、かと言って領内にいる希望者の挑戦も阻みたくないな」

「ダンジョン内には珍しいアイテムも多くあるからねえ」

「そう。そういうお宝を領外から来た人ばかりが得てると不公平感は出ちゃうし」

「探索したいと思ってくれる人は大事にしたいとこだね」

「やっぱり探索したいって気持ちは大事だよね。危険ばっかり宣伝してそれをくじくのもなあ」

「そうだねえ。でも、結局はダンジョン探索が好きじゃないと続けるのも難しいけどね。探索が楽しいと思えるのも才能さ」




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