130日目 yuka(前編)
【きまくらゆーとぴあ。トークルーム(非公式)(鍵付・招待制17:00-19:00)・[くるな]の部屋】
[吉野さん&別府]
ひとまず一件落着といったところか
少なくともこれでしばらくはブティックさんの尻尾踏むような真似はしないだろ
[マリン]
マジでほっとした
デートツアーのライブは終始ひやひやで寿命が縮む思いだったわ
[さなだい。]
けど委員長節操ないコロコロ人種だからなー
[yaki soba]
そのコロコロ小物ムーブを優しく見守りたいがためにこのクランにいるまであるのだ
[いした]
えー、胃が痛くてそれどころじゃないよう
委員長が可愛いのは認めるが
[三木泰]
最近いいんちょのみならず環奈ちゃんも推せる体質になってきたわ…
[マリン]
それな
こないだの黒白おそろコーデ見た?
髪色似てるのもあり、実の姉妹みたいで超可愛かった
[くるな]
あの服、委員長が環奈嬢にプレゼントして着てるんだって
てぇてぇが過ぎる
[Yuki4]
委員長環奈ちゃんのことだいぶ気に入ってるよな
たった一人の女子メンバー、嬉しいんだろうな
[いした]
わいを男にカウントするなや(´◉ω◉` )
[イズヤス]
いしたと焼きそばの立場が…
[yaki soba]
環奈ちゃん、属性に妹みが強いからね
いしたちゃんとうちって部下ポジとして委員長のこと担いでるから、仲良しポジとはまた違うんだと思う
その点環奈ちゃんは気持ちよくお姉ちゃんムーブができるっていうか
[さなだい。]
我々から見ると姉と妹の立場明らか逆だけどな
お姉ちゃん気取りな妹に付き合う腹黒姉…漫画化に期待
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ログイン130日目
現在私はレスティンの中央広場をうろつき中。たった今シエルちゃんとのミニ舞踏会イベを終えたところ。
本日きまくら。ワールドでは夏祭りが開催されてるんだ。それで各街の中央広場に来ると、自分との好感度上位3キャラクターと、ダンスが踊れるの。
まあダンス操作はコンピュータなので、言ってしまえば好きなキャラとのダンスムービー、スチルを獲得できるミニイベみたいな、そんなかんじ。
けど、賑やかなポルカに合わせてはしゃぐシエルちゃん、めっちゃ可愛かったなあ。
因みに他の二人のキャラは、私の場合シャンタちゃんとミコト君だったよ。私のNPC交友関係は、大体この三人で上位安定ってかんじがする。
最近カミキリ様のことも気になってるんだけどね~、カミキリ様は拠点がシロガネじゃないと来てくれないらしいんだよね~。
で、近くにいた他のキャラクターとのイベントトークなんかも楽しんで、ほんじゃそろそろ帰るか~、ってなったときのこと。
ふいにばったりと、見覚えのある人物と出くわしてしまった。
いや、『見覚えがある』なんてレベルじゃない。強烈に覚えている。
【銀河坑道】では颯爽と私の前に立ちはだかったかと思えば、なんかわちゃわちゃぐだぐだとお仲間に連行されてお帰りになった女の子。一週間ほど前のデートツアーではやけに私を敵視してきて、突っかかってきた女の子。
髪も肌もコスチュームもケモ耳も真っ白な彼女の名前は確か――――――そう、[yuka]さんだ。
しかもこのお方との関係について言えば、最近謎に進展があったりもする。
対面するのは今日がデートツアーぶりなんだけど、それまでの一週間、ショップ上のメッセージ機能を使って、彼女やたらと絡んでくるの。
[yuka]
先日はブティックさん並びにシエルさんシャンタさんに対し、大変失礼な態度を取っちゃって本当にごめんなさい!
私変な噂に惑わされて、ブティックさんのこと誤解してたんです。゜゜(*´□`*。)°゜。
武器商人とか、世紀の大悪女とか聞いて、ほんとにそういう正義に反した人なのかと思ってました
まさかあなたが…闇に扮しながらも弱き民草に寄り添い救いを与える、光の義賊だったなんて、知る由もなかったんです!
二度とブティックさんのお邪魔はいたしませんので、どうか許してくださいますよーに。・゜(゜⊃ω⊂゜)゜・。
そしてこれからは私、また私がクラマスを務める「きまくら。改革委員会」が全面的にブティックさんの活動をサポートさせていただきます!
なのでブティックさん、私たちがいるからには何も心配ありません!
勇気をだして、一丸となって悪と戦ってまいりましょう!
これが最初のメッセージ。そしてこれを皮切りに、異様にテンションの高い称賛を含むリクエストやら、クラン勧誘やらの文章が、何度も何度も送られてきている。
………………こわない?
いきなり態度が変わったことといい、『武器商人』だとか『光の義賊』だとか訳分かんないこと一方的に喋ってるのといい、『サポートさせていただきます』なんて言ってこちらへの接触・干渉を仄めかしていることといい、大分ヤバめな人に思えるんだけど。
ただまあ義賊云々は兎も角として、私の制作物へのリスペクトは純粋なもののようで、そこは嬉しくないといえば嘘になる。
メッセージの数からして想像に難くないと思うけど、彼女、こまめにうちの新作をチェックしてはこまめに買い物してってくれるんだよね。
で、ヤバめな文章の中に「〇〇シリーズがずっと欲しくてでもいつもすぐ売れちゃうけど、今日は買えてよかった~」とか、「この前買った〇〇使ったコーデ、クランメンバーにめっちゃ褒められました~」とか、割とまともな感想を混ぜてきたりする。
なのでブロックするまでには至らないものの、リクエストを受諾するなど私から関わっていく姿勢は見せたくないなー、このまま無視して彼女の興味も私から逸れてくれればいいなー。そんなことを思っていた今日この頃。
まさか、ばったりと対面してしまうとはね。ばったりと。
しかも、この時の私はアクティブモード――――フレンドでない人とも通話ができる状態――――に設定していた。
丁度さっき広場で[ゆうへい]さんと会って、流れで彼のお仲間らしき人ともちょっと話したんだよね。その時セミアクティブを切ってて、忘れてそのまま放置してたらこうなってたと。
まあ自分のせいなので、仕方がない。一応先のデートツアーでは同じ卓を囲んでいた者どうしなこともあり、私は愛想笑いを浮かべて会釈した。








