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異世界で現実的に生活する彼  作者: レノン
妖精の国① 獣人の村へ
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彼はまだ寝ている。

今回は短いです。


「ナナシさぁ~ん、って、あれ?」

 私は肉を食べ終わりこれからある用事について話そうとしていた。ナナシは見つかった。だが、彼は病室のベットで寝息も立てずに、死んだように横になっていた。

 そのベットの横で医者が椅子に座っていた。飛んできた私に気づくと、何か申し訳なさそうに口を開いた。


「すまんな。彼はおそらく当分このままだ」

「はい?」


 いっていることが理解できなくて聞き返してしまった。


「彼は今、記憶と向き合ってるんだよ。今の彼と前の彼は別人だからね」

「別人?」

「物事の考え方が違うんだよ。とりあえず、二人の彼が同化する間はこのままだ」


 医者の言ってる事を理解するのに少し時間がかかったが、そのままドアへ向かって行ってしまう。


「あんまり病室に長居は良くないよ。気分が悪くなる」



 医者はそう言って病室から出て行った。

 ナナシは大丈夫なのか。てか記憶戻す事にしたんだ……


 いつまでもナナシのそばでじっとして居るのも時間がもったいないので、私は新しく作った弓をいじくっていた。

 

 軽く魔力を流すと弦が光る弦に変わる。とりあえず弦は失敗してないな。本当は複合弓を作りたかったのだが、木以外の材料を採り忘れた。なので丸木弓の様になってしまった。

 そのうち、手を加えてカッコ良くしたい。その時はまたナナシに材料を集めさせよう。


 弦を引っ張り離すと、空気を裂く様な独特の音がした。良い。実に良い。


 矢は魔力で作り出せるし、これを改造しまくったら最強になるんじゃないか?



 そんな楽しい妄想を膨らませていても、直ぐに飽きてしまった。

 一人きりは久しぶりだ。ナナシに会ってからはずっと一緒にいた所為で、話し相手がいないと凄く暇だ。


 なので私はナナシの目を無理矢理開けてみた。


「わっ!?」


 ナナシの目は本来の黒色ではなく、七色に光っていた。これが記憶と向き合ってるという事なのだろうか。正直怖い。


 小さい頃からよく記憶を戻すという行為は危険だと言われていたのは覚えているが、何と無くその理由が分かった気がした。


 よくみればホントに死体の様にナナシは動かない。

 見ていてあまり気分が良く無かった。医者が言っていた事はこういう事だったのか。



 病室を離れ私は裏庭に出た。まだ肉の香りが残っている。さすがに食いまくったので香りでお腹が空く事はないが、やはり良い香りだ。私は薪を的にして弓矢の試し撃ちをすることにした。

 魔法で光の矢を作り出す。

 

 カンッ!! と、弦の音がし矢は薪に刺さるのではなく、薪を貫通した。


「おぉぉぉぉぉぉ!!」


 声を上げられずにはいられなかった。今まで作ってきた弓の中で最高傑作だ。自分でも最初は貫くだけかと思っていたがなんという威力なんだ……

 さすが私。


「ピル?」

 自分の作った弓にきゃーきゃー言っていた私の頭上から、私の名を呼ぶ声がした。

「はい?」

 聞き覚えのある声に私は即座に反応した。しばらく聞いていなかった声だ。声の主は私に向かって空から降りてきた。

 



「あ……ひさしぶり……」

 

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