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異世界で現実的に生活する彼  作者: レノン
妖精の国① 獣人の村へ
36/42

獣人族の村の診療所

ひさびさに予告通り(活動報告参照)に投稿です!

( *`ω´)ノ

あ、あと、どーでもいい事ですが、私、

もう1年以上病気にかかってませんw

 滝を越え、ようやく村の明かりが見えてきた。

 当然だが歩き方はめちゃくちゃかっこ悪い。ホントなら良い年した男(俺)が死に物狂いで膝抱えながら歩いてる様見たら女なら惚れちゃうレベルだが、この世界の女にはおそらく通用しない。通用するのは俺の中だけかもしれないな。


 そんな意味不明なことを考えていると、飛んでいたピルが俺の目の前に来る。

「先に行って医者を呼んできます」

「え、でもお前命狙われてるとか言ってなかったっけ? 一人じゃ危ないんじゃないのか?」

「故郷はもうちょっと先の方にあるので大丈夫です。ここはあくまでも妖精が支配、統治しているというだけなので安全ですよ」

「そ、そうか」

 獣人族支配してるとかどんな奴らなんだよ。ホント気になる。

 


 そういうことでピルは先に行ってしまった訳だが、ピルが来るより先に俺が村に着いた場合はどうなるんだ?

 絶対、「え、何この人?」とか「キモっ」ってなると思うんだよな。いきなり中腰で死に物狂いに歩いて来た人間見たらそうなるだろ。それだけは避けたい。

 思えば一人きりなんて久しぶりだ。この世界に来てすぐに鳥さんの巣に置いてもらっていたから本当にに久しぶりかな?

 

 


「連れて来ましたよーーー!」

「あれ、来るの早かったな?」

 ピルの後ろには毛深いおじいさんと耳に毛の生えた男二人を連れてきた。

 まだ五分くらいしか経っていないはずだが、医者ってそんなに暇なものなのか? それともピルのスピードが速すぎるのか。まぁ、早いに越したことはないか。

「サッと行ってサッと連れて来ました!」

「後者だったか」

「はい?」

「いやなんでもない、気にするな」


「君が毒にやられた人間かね?」

 毛深いおじいさんが話しかけてきた。民族衣装とでも言うべきか、この世界でも初めて見るタイプだ。両腕に赤い布を巻きつけている。医者の印なのだろうか、ほかの二人は左腕にだけ着けている。

「あぁ、俺、助かるかな?」

「見てみない事には、何とも言えないがな」

 そう言ってその医者は連れていた二人に俺の肩を担がせ、ピルと共に先に行ってしまった。

 俺と二人もその後をゆっくりと追う。


 村の入り口が見えてきた。木で出来た高い塀、二人の門番。武器は弓と剣。よく見れば門番の耳がキツネに似ている。門を潜るとそこは夜だというのにとても明るく、たくさんの屋台が並び、活気付いていた。中には人も混じってる。自然と笑顔になれるような所だと思った。俺のいた村とはまた違う平和がそこにはあった。

 

 俺は村の中心辺りにある診療所で解毒剤を作ってもらっていた。すり潰した何かに毛深い医者が魔法をかけて薬を作っている。この獣人はなんとなく熊に似ている気がする。耳は熊のように小さく、爪は熊のように鋭い。

「もうすぐ完成だ」

「ありがとな」

 毛深い医者が魔法をかけながら俺に言う。そういえばさっきからピルが見当たらないな? 


「礼には及ばんよ。だけどピルちゃんとどこで知り合ったんだ? てっきり死んだものだと……」

「……は?」

 何か嫌な予感がした。命を狙われている。確かにピルはそう言った。

 そして今現在ここにいない。村に入った瞬間殺されるかも知れないとピルは言っていたが、まさか……


「なぁ、ピルはどこだ?」

「ピルちゃんなら診療所ココの裏庭にいるよ。そこのドアを開ければ……って君!?どこ行くんだ!?」


 俺はすぐさまドアを開け裏庭に向かった。もし、今この瞬間にも殺されそうになっていたら……

 

「ピルーーーっ!!!」

「ふぁい?」


 焚き火の炎と香ばしい肉の香りが漂う裏庭で、ピルは自分の体よりも大きい肉を食べていた。





「あ、食べます?」

ピル「肉なら沢山ありますよ?」


ナナシ「……」


ピル「ナナシさん?」


ナナシ「……あとでで良いよ。俺薬貰ってくる」


ピル「そうですか。ならその間にナナシさんの分も焼いときますね」


ナナシ「心配して損したわ……」


ピル「ん〜?」

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