完成!
遅くなりました!
「「おぉ〜」」
みんな口を揃えて「おぉ〜」と言える立派な家がそこにあった……
「これは、いったい誰が?」
ピルの口から出た疑問はみんなも思っていただろう。だが、俺はもう検討が着いてた。
「検討は着いてる。この場にいるのは、俺含めて何人だピル?」
「えっと、いち、にー、さん……あ!? まさか!?」
「そのまさかだと思うぜ? こんな事するのあいつしかいない」
俺の知る限り、一日で家を作るほどの凄腕はあの男しかいない。先日俺は見た。あの男は約一日で自分の家を作り上げたのだ。
俺達は家を一日で完成させた男に会いに行くため、村に向かった。
村の中を適当に歩き回っていると、早速その男が現れた。
「よぉ~あんちゃん!」
「よぉ~コルグフ。聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「俺達が作ってた家が一夜にして完成してたんだが、何か知らないか?」
俺の予想ではコルグフだ。いやコルグフしかいない。俺の質問にコルグフは右手で頭をかいた。
「やっぱりバレちまったか」
「そりゃバレるだろ」
「そうですよあなたしかいませんよ」
やっぱり犯人はコルグフだった。
「んー、なんつーか、うん、ありがと」
一応お礼は言った。それにしても一夜で家を完成させるような凄腕が何で失業なんてしたんだ? 普通なら引っ張りだこなはずだ。
「なぁ、何で失業したんだ? 一日で家作るとか凄過ぎだろ」
「いや、確かに一日で家を完成させる奴は多くは無いんだ。いろいろあったんだよ。大人の事情だよ」
出た! 大人の事情!聞かれたく無いときよく使うアレだ。これ言えば何でも解決と思う奴は間違ってる。
が、今はそっとしておこう…何か顔が青ざめてる。
「でもまだあの家、中はすっからかんだぞ? どうせなら作ってやろうか?」
「お願いいたします!」
「おう! 任せろ!」
自然とコルグフに深く頭を下げたその姿は、周りにはどの様に見えただろうか。かなり礼儀正しいと思うのだが。
「まだコルグフさんに迷惑かけるんですか〜あなたは。たまには苦労したらどうですか?」
よし、後でこの妖精は握り潰そう。完全に助けて貰った恩を忘れてるな。
とりあえず完成した家に再び向かい、中へ入る。中は確かにすっからかんだが、ものすごく広い。部屋割りが多少変わっていたが、一階は談話室、キッチン、風呂、トイレ。階段を上がり、二階は部屋が4つ、 さらに広いバルコニー。そのうち二つの部屋には、なんとロフトがついていた。
何者だよあの男……
一階に降りると、キオとネルナが俺を呼びに来た。
「ねーねー、あの蓋なに?」
「あそこに下向きにドア付いてるんだけど」
「まさか……」
まさかと思い、キオの指差す方に向かう。一階の談話室の隅に下向きにドアが付いている。開けるとそこには、下に続く階段があった……
「地下室……コルグフの奴マジで作りやがったな……」




