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戦闘力ゼロから始める曲がり曲がったVRMMO 。生産をしつつテイマーと弓の両立は欲張りすぎ……?  作者: kanaria
3章.VRMMOを遊びつくせ

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42.最前線の敵は強い

 それから薬草ダンジョンに籠ったり、ポーションを作ったり【釣り】をしたりして数日が経った。

 掲示板でボスにも【採取】を使えると知って以来、ダンジョンボスを倒すのも簡単だ。裏ボスには最初の一回しか当たっていないけれど、【採取】を使えば裏ボスも倒せるだろう。そのくらいダンジョンのモンスターは【採取】に弱かった。


 でも今日向かうのはダンジョンじゃない。ついにフィールドのモンスター情報が揃ったのだ。

 イメージトレーニングも出来ている。


「よし、今日こそは第3の街の方へ行ってみよー!」


「……ぷぅ」

「…………」

「ササ!!」


 薬草丸以外は微妙な返事だけれど、気にしてはいけない。ラテと岩凪のテンションが低いのはいつものことだ。


 毒消し薬OK。痺れ取り薬OK。食べ物も飲み物もポーションも揃っている。

 近々来ると言われていた第二陣もすでに接続を開始したらしい。なので狩場が混みあう前に第3の街に続く道を試してみたかった。


「人で溢れかえると戦いにくいもんね」


 召喚の儀式のムービーと共に現れた第二陣を嫌うつもりはない。プレイヤー数が増えるのは良いことだ。ただ、単純にプレイヤー数が増えると狩場が混みあいやすい。

 だから混む前に一度第3の街周辺を調べてみたかった。


 もう最前線の人たちは第3の街が見えるところまで攻略してるし、何とかなるよね。

 ダメそうなら引き返せばいいし。


 そう意気込んで私はギルド拠点を後にする。

 すぐに慣れると思っていた黄色いアヒル型の拠点はまだまだ目立っていた。


「第3の街ー。楽しみだな!!」


 実際に第3の街まで行けるわけではないけれど、行ったことのない場所はワクワクする。少し前まで戦うことにビクビクしていたのに、今はそれもない。全てテイムモンスターたちのおかげだ。


 本当にみんなが居てくれて良かったよ。

 ラテも戦ってくれるようになったし、薬草丸の回復技も大きい。誰が欠けても困ってしまうだろう。


 私は腕に抱えるラテを優しく撫でた。


 特にラテや岩凪がいなかったらまだ第3の街に続くモンスターに挑めなかったはずだ。

 ラテは心配につけ込むような形になってしまったけれど、一緒に戦ってくれてとても心強い。時折ツンツンした態度をとられても、一番私のことを考えてくれているのはやはりラテだ。本当に得難い相棒になっている。


 もちろん薬草丸や岩凪も忘れていない。岩凪のおかげで安心して戦えるし、薬草丸のおかげで攻撃に専念できる。

 タンクの岩凪にヒーラーの薬草丸、斥候兼タンクのラテ。3匹が揃っているからこその安定感だろう。


 私がほっこりした気持ちで鼻歌を歌っていると、ラテが急に上を向いた。


「ぷぅ? ぷぷ」


 専用のスキルもないのに敵の気配に敏感なラテが鼻をひくひくさせつつ警戒を促す。

 次の瞬間、何匹ものブルーモンキーが出現した。


「1,2,3……7匹はいる……」


 調べた中では少ない方だけれど、それでもこちらの数よりも多い。情報まとめサイトの情報によると、この大量に現れるブルーモンキーが第3の街に向かう最初の壁になっているらしい。

 7から9匹というフルパーティの6を上回る数は驚異的だ。それほど強くなくても数は力になる。タンクの居ないパーティにとっては致命傷になりえる敵だった。


 確かにこれは骨が折れるかな。

 昔の私では倒せなかったに違いない。


 長い手を使って木を移動しながら、こちらに向かってくるブルーモンキーはかなり怖い顔をしている。

 これだけでも少し前の私は隙をつくってしまっていたはずだ。


 でも、今の私はこの程度の敵に負けるほど弱くない!


 素早くスリングショットを引き、先頭のブルーモンキーの眉間を射抜く。変則的な動きをしているものの、このくらいのスピードなら狙い通りに射抜ける自信がある。

 判定は当然クリティカルで、当たったブルーモンキーは木から落下する。


 これだけで敵の数が1匹減った。ただ、代償に残りのブルーモンキーが私を睨む。一気に襲われたら間違いなく負けるだろう。


 今でも油断できる相手じゃないね。

 私はDEFが弱いし。


 幸いブルーモンキーのATKはそれほど高くなく、DEFも低い。群れているものの、冷静に対処すれば今の私たちでも十分対処可能だ。

 私は自信を胸に、こちらを睨むブルーモンキーたちを睨み返した。その間に岩凪が私の前に出てブルーモンキーたちを威嚇する。


「シャー!!!」


 蛇の方が鋭い威嚇音を出しただけで、私に向きかけたタゲが岩凪に向く。もう一匹として私の方を向いていない。

 相変わらず岩凪のタンクとしての能力は優秀だった。


 私は岩凪にタゲが移った瞬間を見逃さず、もう一体のブルーモンキーをスリングショットで倒す。

 ブルーモンキー戦で気を付けなければならないのはヘイト管理だけだ。


 これ以上倒すとタゲが私に来てしまうので、ブルーモンキーの動きに気を付けながら倒したブルーモンキーに解体用ナイフを突き立てる。解体用ナイフを刺すまでに時間がかかってしまうとドロップ品になってしまうので、ここは注意が必要だ。

 ドロップ品と【解体】では得られる素材に大きな差が生まれる。ただ、解体用ナイフを突き立ててしまえばあとは【空間収納】にしまうだけだ。


 着実にブルーモンキーの数を減らしていくなか、ラテの何とも言えない鳴き声が耳に入る。

 気になって見てみると、戦闘中とは思えない光景が見えた。


「……ぷぅ! ぷぷ!!」


 地面でぴょんぴょん跳ねているラテの攻撃はブルーモンキーに届きそうで届かない。本人は必死なのだろうけれど、とても可愛らしい状態になっていた。

 ブルーモンキーの攻撃もラテが避けるので、拮抗した戦闘になっているらしい。


 本人たちは真面目に戦っているのだろうけれど、私はつい口元がほころんでしまった。


 うっかり動きを止めてラテの戦いを見ている間も岩凪が3匹のブルーモンキーを引き付けている。削れてしまったHPは薬草丸が癒しているらしい。薬草丸はまだ癒す技の範囲が狭いのか、岩凪のすぐ近くで走り回りながらなんとかタゲが向かないように逃げ隠れしている。こう見ると薬草丸がただの薬草でなく、足が生えていてよかった。

 ……変なモンスターだなんて思ってごめんよ。


 つい和んでしまった気持ちを引き締めてこのまま戦闘に戻ろうかと思った時、私は妙な違和感を感じて辺りを見まわした。なんだか敵が変な気がするのだ。


「何が変なんだろ? おかしいようなおかしくないような気がする。攻撃スタイルも調べた通りなのに、どうして気になるんだろ」


 見れば見るほど違和感の原因が分からない。

 正しいはずなのに正しくないと思う理由が見当たらないのだ。


 私は焦りを覚えながら辺りを注意深く見まわし、ようやく原因に気づいた。


「……もしかして、1匹足りない?」


 私が倒したのは2匹で、岩凪が引き付けているのは3匹。ラテが1匹の相手をしているので、最初に数えた7匹から1匹足りない。

 慌てて探そうとした次の瞬間、足に鋭い痛みが走った。


「ぐっ、な、なに?」


 反射的に足元を確認すると、ブルーモンキーがふくらはぎに噛みついている。すべてのブルーモンキーのタゲを岩凪が取ってくれたと思っていたけれど、それは勘違いだったらしい。ラテが1匹と戦っていた時点で気づくべきだった。

 やはり敵の数が多いと対応しきれないのだろう。


 ブルーモンキーは踏みつけたり、足を振ったりしてもしっかり噛みついていて離れない。たった一撃でHPが半分以下に減ってしまった。

 噛みつきが外れないせいで更にじわじわとHPが減っていてとても怖い。このままだとすぐに瀕死状態になってしまう。


 こ、こんなことでやられてたまるか!

 何とかしてブルーモンキーを離さないと。


 解体用ナイフを突き立てることも考えたけれど、解体用ナイフだと火力に不安が残るので至近距離からスリングショットをかまえる。スリングショットは非常に火力が高いので引く前の指が震えてしまった。

 こんなに自分に近い距離で高火力武器を使うのは初めてだ。


 でも、やらないとやられちゃう!


 今の状況を抜け出す為には自分で何とかするしかない。

 私は今までで最も集中し、狙いを定めてからブルーモンキーを打ち抜いた。


「はぁ……はあ……。やった?」


 使ったのは普段の風の玉ではなく、水の玉だ。流石に風が刃のように渦巻く玉は怖い。そのせいで火力が劣ると思ったけれど、素早いスピードで放たれた水の玉も中々の火力だったらしい。

 心臓の位置を打ち抜いてクリティカルヒットがでた。


「ギギャッ!!」


 悲鳴を上げてブルーモンキーが倒れる。それを確認して素早く【空間収納】から下級ポーションを取り出した。

 倒したブルーモンキーに解体用ナイフを刺すことも忘れない。驚かされた分、しっかりと【解体】してやろう。


 私は下級ポーションを飲み干しながら妙に落ち着かない気持ちをどうにか鎮めようと試みる。

 何度も深呼吸をして大分戻った後、倒したブルーモンキーを手早く【空間収納】にしまった。


 そのまま風の玉を作り、ラテと奇妙な戦いを繰り広げているブルーモンキーを打ち抜く。一撃で倒れてくれるので、ブルーモンキーの相手はそれほど難しくなかった。


「…………ぷぅ」


 ラテがなんとも言えない顔で倒れたブルーモンキーをつつく。あれだけ苦戦をしていたのに、一瞬で倒されるのは複雑な気持ちになるのだろう。


 私はそのブルーモンキーにも解体用ナイフを突き立てて【空間収納】にしまう。残りのブルーモンキーは3匹だけだった。


 その3匹はすでに岩凪がヘイトを稼いでくれているので、スリングショットを連続で使うことができた。さすがに最後の1匹は私を意識したようだけれど、攻撃が向く前に風の玉を放つ。

 数が少なくなってしまえばブルーモンキーなんて脅威ではなかった。


「ふぅ、終わった……」


 倒した3匹のブルーモンキーに解体用ナイフを突き立てて【空間収納】にしまう。

 とてもやり切った感がすごい。


 私は途中で死亡フラグ発言をしたことを思い出し、密かに反省をした。

 


次回:2/18(木)更新予定

誤字脱字報告ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ブルーモンキーとイエローモンキーの2種類のモンキーがいるのですね 属性でも持っているのかと思いましたが‥‥
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