表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導の探索者レギの冒険譚  作者: 荒野ヒロ
第一章 魔導を極めし魔女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/302

煉獄の蒼い館

今回の話はエロい展開を含め斜め読みで構わない内容です。

極力直接的な表現を避けて書いたつもりですが……


❇一部の表現を変更しました❇

 さあて、まだ日は高いが二重の意味で身が軽くなった俺は、羽ばたく様な足の軽さで歓楽街へ戻って行った。あまり浮つくのもいかんと思い直したのは、噂になっている魔物が潜んでいるかもしれないからだ。

 そう考えると、この歓楽街の裏通りの細い道は、襲撃者が人を襲うのには打って付けの場所であると言える。


 どこかに潜んでいる殺人鬼の恐怖よりも性欲が優先した連中、あるいは噂の事をまったく知らされていない連中は、夕方前だというのに売春宿や、酒場を梯子している強者も居た。

 俺は別段色男でもないが、鍛えられた身体と戦う男の雰囲気に引きつけられてか、娼婦共がひっきりなしに声を掛けて来る。


 しかし好みの女は見当たらない、こういう時は酒場に入り好みの娼婦が居ないか探すべきだろう。歓楽街の酒場には、入店料を払った客と娼婦が酒を飲み、そこで交渉が成立すると、売春宿や連れ込み宿へ向かう様式がある。

 あるいは評判の店や娼館を酒場の店主に聞くのも良い、情報料を支払う余裕があれば、これをお勧めする。


 思い立った俺は、あまり格式張っていない表通りの酒場に足を運ぶと、入り口に立つ男に入店料を支払い、店の中へ入って行く。


 薄暗い店内は男の姿は少なく、一目で娼婦と分かる派手な見た目の女から、化粧を控えめにした──若い身体を売り物にした女たちなど、通りに立っていた娼婦たちとは違う感じの女が大勢目に入ってきた。


 俺はまずカウンターに向かうと、中年だが締まった身体をし、洗練された格好をした店員の前の席に座る。


「ご注文は」


 なんだか聞き慣れない音調で喋る店員の声に内心(つまづ)きながらも、冷静さを保ち、彼の前に銀貨を二枚差し出しながら「あまり強くない物を」とだけ注文する。

 店員は恭しく頭を下げると、煎った豆を乗せた小皿と分厚い硝子ガラスで作られた器に蒸留酒と水で割った物を寄越した。


 店員に、この界隈で有名な娼館はと尋ねると、高級なのは「レムナンシアの蝶」という名の娼館で、様々な種類の美女が居ると噂されているのは「煉獄の蒼い館」という娼館だと語る。


「煉獄とは穏やかじゃないな」

「そこがいいのでしょうね、大抵の男なら尻込みする様な名前だけに、逆に興味が湧くのではないでしょうか。実際ここのお客の多くは、あの娼館で満足されて帰られますよ」

 そして何度もあの店に通われる方も多く居ます、と彼は付け足してにやっと笑う。


 俺は店員に礼を言うと、花と木樽の香りがほんのりと薫る蒸留酒を飲んで──強くない物をと言ったのだが、一杯で心地良く酔いが回ってしまった──店を出た。


 店内では女から声を掛けられる事はなかった、彼女らは声を掛けられるのを待っていたかもしれないが、一にも二にも「煉獄の蒼い館」に行きたくて、彼女らに目を向ける事も惜しんで歩き出す。

 教えられた場所に向かって歩いていると、青く塗られた壁が鮮やかな、二階建ての建物が見えてきた。掲げられた看板には「煉獄の蒼い館」と銘打ってある。


 建物の入り口は紅く塗られた木製の扉があり、曇り硝子からは仄かに明かりが漏れていた。館の中からはひそひそと話し合うような、女たちの声が聞こえてくる。

 重い扉を開けて中に入ると大きな板の間に出た。──そこには十名を越える女たちが壁際の長椅子に腰掛けたり、部屋の中央にある、なんだかいかがわしい石像の周りに立つ女などが見受けられた。


 噂通りここの女たちは皆、個性的な服装や肌の色、顔立ちや年齢もまちまちの美しい女ばかりが集められていた。ここの娼館の所有者は、相当に女を見極める目の肥えた者だろう。

 俺は妙な感心をしながら女たちを物色する、彼女らはこちらと目が合うと、にっこりと微笑んだり片目を閉じたりして、こちらの反応を窺ってくる。


 大きな部屋の左右は階段があり、右手の階段の手すりに身体を預けていた女が、こちらに手を伸ばしながら誘うように笑いかける。


 俺は部屋の奥にある、豪奢な腰掛けに座る美しい熟女を見つけると、彼女が手招きをするので会いに行く。周囲に侍らせている美女や美少女の様子から、この女がここの所有者であろうと思われた。


「ようこそ旅人──いえ、あなたは冒険者、あるいは傭兵? まあどちらでもいいわ。私の館へようこそ殿方、あなたの望む相手を見つけたら、どうぞ二階の部屋へ。旅の汚れを落としたいなら、一階の奥に浴場がありましてよ」


 俺は彼女の口上を聞いてから、この場所には美人が多く決めるに決められない、といった事を話すと、彼女は淑女然と微笑し「もちろんそうでしょうとも」とそばに居た少女らと共に品良く笑う。


「遠慮なさる事はありません、あなたのような立派な身体をした男を、ここの女たちは放っておきませんよ。断言しますがあなたは、後三十歩も歩かない内に誰かと共に二階へ上がるでしょう」


 その言葉通り、俺は彼女の前から離れて玄関前に戻ると、階段から降りて来た薄い絹糸の羽織物を着た、大きな胸と尻をし、くびれた腰を持つ褐色の肌をした女の手を取ると、二階へ上がって行ったのだ……


 階段を登り、二階の赤い絨毯の敷かれた通路を歩いて行くと、左右に通路が分かれ、正面には大勢が集まって休憩できる空間がしつらえてあった。柔かな厚手の毛織物が敷かれた台の上に、まるで獣の様に寝そべる全裸の女たちが居て、こちらを見やると揃って微笑み掛けて手招きをする。


 俺の腕に抱きついている薄衣を纏った女は、胸の谷間に俺の腕を挟み込むと、「早く」とでも言う感じで、彼女の目指す部屋へ向かう。

 どうやら各女に部屋が割り当てられており、その部屋で一泊できる仕組みのようだ。──もちろん泊まらずに女を抱いてから、別の女の元に行っても良い。……金さえ払えばの話だが。


 俺は彼女の隣を歩き、一つの部屋へ誘われた。ただベッドが置かれているだけの売春宿とは違って、この部屋には彼女の生活感が感じられる。

 衣服を入れておける箪笥や戸棚、食器の並べられた硝子戸の棚も置かれている。清潔感に満ちた部屋は、木製の床と白いシーツの掛けられた毛布などに表されているようだった。


 部屋の中に入ると彼女は、俺の背負っている荷袋をテーブルのそばに置かれた椅子の上に乗せるよう言って、悩ましげな動きで薄衣を脱ぎ去る。

 下着姿になった彼女を捕まえると、少し乱暴にベッドの上に押し倒すのであった。


 *****


 しなやかで、あらゆる角度に曲がる長い脚の間に身体を入れた時には、すべてのつまらない事を忘れて彼女の身体を心ゆくまで愉しんだ。彼女の魅惑的な褐色の柔肌に身体を重ね、時間を掛けてゆっくりと彼女の与えてくれる喜びに身を震わせて、彼女の胸に倒れ込む。

 彼女からは甘く、眠気を誘うような香りがした。


 *****


 気づくと心地良い気だるさに包まれて、ベッドで横になっていた。隣には肩から薄い絹のシーツを掛けた女が座って、本を読んでいる。

 俺が目覚めた事に気づくと、彼女は微笑み、良く眠れたかと尋ね、彼女の太股に甘える俺の頬を優しくつねる。


 部屋の中に降り注ぐ日の光はやや赤みを帯び、窓の外からは、さすが歓楽街というべきか──大勢の人々の話し声が聞こえ始めていた。


「汗を流しに行きましょうか」

 彼女は静かに言った。ええと──行為の最中ではあったが、彼女の名前を聞いた気がする──そうだ、ライカと言っていた。俺はライカに、そうしようと言って立ち上がる。

 彼女は着替えだけ持って来てくださいねと言って、自分の下着のみ用意する。上に羽織る薄衣は足を隠すくらい長いが、肌の多くは露出させたままだ。

 彼女のくびれた腰つきを見ていると、また彼女を抱きたくなる欲望が沸き起こるが、ぐっと堪える。


 今は浴場へ行き体を洗ってから、これからの事を考えるべきだ。──今日はここで泊まるつもりでいたが、ライカ以外を試してみても……などと考えていると先を歩く彼女が急に振り返り、にっこりと意味ありげに微笑み、内心を見透かされたかと、ぎくりとする。

「この階段の先です、行きましょう」


 そう言って階段を降りて行く、二階に上がって来た時とは別の階段で、こちらには青い絨毯が敷かれており、階段の幅も多少狭く、降りた先に浴場へ繋がる扉が目の前に現れた。


 いわゆる公衆浴場と同じ様な造りの浴場で、違う事と言えば、体を洗っている連中よりも、男女数人で集まって、乱交を楽しんでいる奴の方が多そうだというところだ。

 方々から男女の喘ぎ声や呻き声が響いてくるが、俺とライカは壁際に設置されたお湯の出る口──何故か真鍮製の馬の口からお湯が流れている──の前で体を洗う事にした。


「あれに参加してみますか?」

 ライカはそう言って乱交に励んでいる、()()()()()を頭の動きで指し示す。俺は即座に、他の男と女を共有するような楽しみ方はしないと断った。

 すると彼女はくすくすと笑って「そうだと思いました」と蠱惑的に笑う。


 なんだかその言い方に腹の立つものを感じ、背中を流している彼女の腕を掴むと、壁に彼女の体を押し付けるようにして、後ろから彼女の体をまさぐる。

 そうして彼女の肢体したいを力強く抱き寄せた──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
大抵のなろうモノってこういう描写は普通無いがこれは良いね 男の1人旅だしこれも楽しみだろう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ