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テイマーさんのVRMMO育成日誌  作者: ジャジャ丸
最終章 冬の訪れと最後のイベント
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エピローグ 再出発と終わりなき冒険

「澪~!」


 冬の寒さが和らぎ、桜の花がひらひらと舞う通学路。

 暖かな日差しを一身に浴び、鼻歌を口ずさみながら歩いていた私を呼ぶ声に、くるりと振り返る。


「あ、奈々ちゃん。どうしたの?」


「どうしたもこうしたもあらへんわ、入学式終わるなり一人で早々に帰りおってからに」


「あはは、ごめんごめん。早く帰りたかったから。今日から解禁だし」


 そう、今日は私の、高校の入学式。

 散々我慢してきたMWOも、今日からはまたやりたい放題だ。

 そんなことを嬉々として語る私に、奈々ちゃんは呆れ顔。


「いや、解禁も何も、全然制限してへんかったやん。受験シーズンもほぼ毎日ログインしおってからに」


「何言ってるの、思いっきり制限してたじゃん! イベントもクエストもやらず、ライム達を愛でるのも一日僅か30分で我慢してたんだよ!?」


「毎日ログインは否定せえへんのかい!」


 奈々ちゃんの鋭いツッコミに、私は歩きながらサッと視線を逸らす。

 いやうん、ほら、ライム達だって丸一日放置なんてされたらお腹空いちゃうでしょ? だからうん、毎日お世話するのは仕方ないんだよ、テイマーの義務だから!


 断じて、勉強ばっかりで気が滅入るから、気分転換と称して遊び呆けてたわけじゃないよ!


「はぁ、まあ無事高校入れたわけやし、それはええわ。それより、竜也と友里の二人はどうなったんや? ゲームん中で盛大に愛を叫んどったけど」


「うん、若干語弊がある気がするけど、二人とは相変わらずだよ。なんか、ちゃんとお互い決着をつけてから返事が聞きたいとかなんとか……」


「ほ、ほお……そうなんか。確かに、ミオがイベントに参加せえへんようになってから、あの二人はよう上位者に名前を連ねとったけど」


 奈々ちゃんにしては歯切れ悪く、そんな情報を口にする。

 どうもあの二人、あれ以来イベントの度に競い合って、今やMWOをやってて知らない者はいないってレベルになってるみたい。


 なんというか、随分差をつけられちゃったなぁ。いや、私がそもそもの原因なんだけど。


「ちなみに、決着がついたらどう答えるつもりなん?」


「それは内緒」


 いや、本当はまだ決まってないだけだけど。

 二人のことは大切だし、大好きだけど、恋とか、そういうのはまだよくわからない。

 だから、二人が頑張っている間に、私もちゃんと考えないとね。


「ほーん? まあええわ、ほなら、また後でな」


「うん、また後で」


 話し込んでいる間に分かれ道に到着し、奈々ちゃんと別れる。

 小さくなっていく背中を見送ると、私は急く気持ちを抑えながら走り出した。


「さて、それじゃあ急ぎますか」





 家に戻ると、早速MWOへログインする。

 コスタリカ村にあるホームに降り立った私は、顔を上げるなり目を丸くした。


「あれ? どうしたのみんな」


 そこに私のモンスター達がいるのは当然として、なぜかそこに、リッジ君、ネスちゃん、ユリアちゃん、フウちゃんが既に居座っていた。

 フレンド設定で出入り自由にしてあるから、居ること自体は不思議でもないんだけど、まさか待ち構えられているとは思わなかった。


 そんな私の疑問を受けて、みんなが口々に事情を話し始める。


「ミオ姉、今日から本格的に復帰でしょ? 早速みんなでクエストに行こうって、話してたんだ」


「先輩、自粛期間中はクエストもこなさないのにモンスター達に遠慮なくご飯をあげ続けて、また金欠になったんですよね~? だから、早く稼がないとまずいかと思いまして~」


「我は金欠どころか、ナナリーの奴に借金までしたと聞いたぞ。今年に入ったら返すからと言って、既に相当な額になっているらしいが」


「はう!?」


 私が今日という日まで、意図して意識しないようにしていた部分をグサリと指摘され、その場に崩れ落ちる。


 そう、私はこの一年、クエストやイベント等による収入がないまま食費だけほぼ横這いだったせいで、ナナちゃんへの借りが割ととんでもないことになってる。「ミオのお陰で大分稼がせて貰ったからな、利子は安くしとくでー」などとニコニコ笑顔で言われた時は女神様かと思ったけど、あれは金づるを見付けた悪魔の笑顔だったよ。ああもう、私のバカ!


「大丈夫、そのために集まった。みんなでやれば、借金なんてすぐ返せる」


「ユリアちゃん……! ありがとう!」


 優しく言葉をかけてくれたユリアちゃんに感極まってしがみつくと、ぼっ! と擬音がつきそうなくらい一瞬で顔を赤くして、それでも満更でもなさそうに抱き返してくれた。


「お礼なんていらない。ミオは私の嫁だから。私が養う」


「待った待った、まだ勝負はついてないんだ、抜け駆けは許さないぞユリア」


「ふっ、これも勝負の一環。ミオが復帰した今、今度はどっちがより気に入られるかが大事」


「それは……いや、そうだね、その通りだ。ミオ姉、実は資金稼ぎに向いた、二人一組で受けるクエストがあるんだけど、僕と一緒に受けない?」


「待ってリッジ、今日はみんなでクエストを受ける予定。二人一組のクエストなんて聞いてない」


「今日はそうだけど、明日以降は特に決めてないし。こういうクエストは一回限りで再受注不可の物も多いから、早い者勝ちだよね?」


「むぐぐ……!」


 バチバチと、二人の間で火花が散る。

 うーん、私の見ない間に、二人とも随分仲良くなったよねー、あははー。


 というか、リッジ君がこんな調子で、ネスちゃんは大丈夫なんだろうか?

 私が直接聞くのも躊躇われ、ちらりと視線を向けるだけになったけど、それだけで十分伝わったらしい。「大丈夫だ」と笑い飛ばされた。


「リッジとはこの件以外でも、最近はよく一緒にパーティを組んでいるからな。あの時は負けたが、今度はそうはいかんぞ」


 今度は、というのが何を指すのか。私もまた、そこに込められた意味を十分に察し、「そっか」と笑みを返す。


「さて、とはいえこれじゃあ時間無くなっちゃうね。ほら二人とも、あまり喧嘩しないの」


「むぅ」


「ミオ姉が言うなら」


 私が手を叩くと、二人共渋々ながら矛(?)を収め、息ぴったりに私に向き直る。

 なんだかんだ言って、仲の良い二人だよね。


「せっかく集まったんだから、ね?」


 そう言って、私はホームの外に向かう。

 そこで待っていたのは、愛しい私のモンスター達。

 その中から一体、代表するようにライムが私の胸に飛び込んで来たのを抱き締めると、くるりと振り返り――


 満面の笑顔で、手を差し伸べる。


「みんなで一緒に、冒険しよ!」

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この作品、『テイマーさんのVRMMO育成日誌』はこれにて完結となります。


元々はシリーズ物の練習として、当時嵌っていたとある作品をオマージュして書き始めたのですが、ここまでこぎつけられたのも皆さまのお陰です。本当に感謝です。


まだまだ拙い部分も多く、感想欄で山のようにツッコミを受けたり、作者自身調子に乗ってモンスターを増やし過ぎた結果、いまいち扱い切れなくなってしまったり……何かと反省点も多かったですが、この経験も次なる作品に繋いでいけるよう精進していきたいと思っております。


それでは皆様、現在執筆中の『神様の勘違いで女の子に転生しちゃいました(リメイク版)』他、また新たな作品等でお目にかかる機会がありましたら、その時はまたよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] (//∇//)面白かったです また、ネタが思いついたら、続編とか、閑話とか、期待してます~
[良い点] テンポが良く読みやすい。 [気になる点] 後半の盟約スキル 料理コンテストの際、すでに調教50で取得してるのに最終章で使役50調教50で新しく獲得した事になっている
[一言] 完結おめでとうございます~ 読んでて楽しかったです 体調に気を付けて執筆頑張ってください 後日談的なのも期待せずに待ってます
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