122話 リバース
少しずつ進めてようやく書けました
とても描写できないことは全く行わなかったことで、翌日には、ポーラは全快していた。
寝ている間に、腰に回復魔法をかけておいたのが功を奏したのだろうか。
それ以外にも、疲労が溜まっていたのだろう。
たまにはこうして、一日しっかりと休む機会が得られてよかったと考えるべきかもしれない。
修は体力オバケで、カファは隙あらばサボるので、その分ポーラが苦労しているのかもしれない。
休日には、しっかりとポーラは休ませよう。
36層に来た。
一言でいえば酒臭い場所だった。
酒に弱い人であれば、匂いだけでも辛いかもしれない。
修は余裕ではある。
「ポーラ、大丈夫?」
ポーラに向けて問いかけた。
最近お酒を飲み始めたポーラさんが悪酔いしないか不安である。
「はい」
ポーラさんも大丈夫なようだ
ヤバいときは言ってくれるだろう。
カファは聞くまでも無く、ケロッとしたものだ。
一度酒を飲ませたが、水と同じ様にがぶ飲みしおった。
カファもザルである事が判明した瞬間だった。
そして魔物と遭遇した。
「む」
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LV.36
ナイアガライオン
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ライオンだった。
ライオンが、壁にもたれ掛かって座っていた。
座っていると言うより、こっくりこっくりと舟をこいでいた。
酔いつぶれたおっさんのように。
ご丁寧に、鼻提灯まで膨らませている。
そして足の間に、瓶が置いてあった。
その瓶はラベルがついている。
『獅子殺し』と書いてある。
「えー…」
これはやっちまっていいのだろうか。
ある程度近づいても、ナイアガライオンは爆睡を続けている。
「ファイアバースト」
気の毒に思いながらも、火球を叩き込んでみた。
ナイアガライオンは幸せそうな寝顔のまま、燃え始めた。
たてがみが全て燃え尽きた頃になってようやく目を覚まし、慌てた様子で立ち上がろうとし、そのまま燃え尽きた。
『獅子殺し』に、見事に殺されているではないか。
「……」
修とポーラは、気の毒そうな顔だ。
そして落としたのは、『獅子殺し』。
帰ったら楽しもうと思う。
二匹目も爆睡していた。
鼻提灯はデフォなのだろう。
「では」
ポーラが進み出た。
「うん」
ポーラとカファが眠るナイアガライオンに近づいても、全く起きる気配を見せない。
良く見れば、涎もたれている。
ちょっと寝過ぎではないだろうか。
「カファはいつでも動けるように」
カファを少し離れた場所に待機させ、ポーラがメテオドラゴンの剣を抜いた。
ゴッドソード・改では一撃なので、戦闘訓練にはならない。
「……はぁ」
カファは完全にどうでも良い、と言う顔をしている。
が、ちゃんと盾は構えているので問題はあるまい。
そしてポーラが、剣を振りかぶった。
「ふっ!!」
振り下ろす。
素敵な攻撃力の一撃と、追撃の火炎でダメージは加速した。
カッ!とナイアガライオンの瞳が見開かれた。
覚醒したのだ。
「ッ!」
ポーラが油断なく飛び離れた。
油断なく構えるポーラの目前で、ナイアガライオンは四肢を地面につけた。
「えろえろえろ~~」と、ナイアガラリバースが始まった。
酔いすぎである。
「うっ!!」
足に飛沫が飛びかけたポーラは、慌てて飛び離れた。
その間にもナイアガライオンは逆流を続ける。
そして、ナイアガライオンはゆらりと二足で立ち上がった。
寝起きでしかも酔っ払いのはずなのに、突然底知れぬ気配を感じた。
「まさか…!?」
修は真っ先にその気配に気づいた。
「ポーラ!気を付けるんだ!」
気づいていないポーラに注意を送る。
「ッ!?はいっ!」
実に不快そうにナイアガライオンを見ていたポーラは、修の叫びを聞いて表情を引き締めた。
その瞬間、ゆらりとナイアガライオンがポーラの眼前に現れた。
「?!」
咄嗟にポーラの剣が唸る。
ナイアガライオンの首を刈るコースの剣戟が放たれたが、ナイアガライオンは首を反らし、ばかりか背中から倒れ込むことで回避した。
背中から倒れたはずのナイアガライオンは、その動きを途切れさせることなく、不思議な動きでポーラに足払いを仕掛ける。
ポーラが飛んで回避する。
そこからも、ナイアガライオンの猛攻は続いた。
決して速いわけではない。
しかし、予想もつかない角度から次々と攻撃が飛んでくる。
「くっ!こっ!のっ!」
ポーラは防戦一方になった。
速度の利で無理矢理防いでいるが、明らかに動きを予測できていない。
そこに、カファが飛び出した。
ガギーン!と音を鳴らして、盾でナイアガライオンを押し出した。
「やはり酔拳!」
予測不可能のあの動きは、慣れていないと難しいだろう。
面で防ぐカファにとっては、楽な相手だったが。
「くぅっ!!」
カファのサポートを受けたポーラが、慌てて離れる。
そして、ナイアガライオンの動きをじっと見る。
まさしく変幻自在だ。
直線的な動きが得意で、そういう相手ばかりと戦っていたポーラには初めての相手だ。
今度の訓練で酔拳を使ってあげよう、と修は考えた。
酔わなくても酔拳は出来るのだ。
しかし、受け続けるカファは本当に平気な顔だ。
しばらく動きを見ていたポーラは、再び攻撃を仕掛けた。
「…!」
が、当たらない当たらない。
見て覚えていたようだが、見ていた時とは全然違う動きで、ナイアガライオンはぬるぬると動いている。
ポーラの方が早いのに、不思議な動きに翻弄され続けた。
それどころか段々押され初め、攻撃を受けるのに必死になりはじめたくらいだ。
苦手すぎる。
「こっ、のっ!!」
業を煮やしたポーラは、全力で飛び離れた。
そしてゴッドソード・改を抜き放った。
「はああああああああっ!!」
エク○カリバー発動!
ナイアガライオンは光の中に消えた。
ズルしおったこの娘!!
あとでみっちり扱かねばなるまい。
次の更新は何時にできるのでしょうね。すいません




