解けゆく絆 from……
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ビュンッ!!!
「えっ、なに……? 」
俯きながら走っていた私の横を何かがすごい速度で逆方向に通り過ぎる。
眩しさもあったから、おそらく光を放っていたんだと思う。まるであの時の……
ビュンッ!!!
「うっ……また?! 」
もう一つの別の光の塊が猛スピードで私とすれ違う。
一瞬で行ってしまったが、辛うじてその中に人影があることだけは認識することが出来た。
「もしかしてアレ……アユリとオサム君? 」
はっきりと姿を見たわけじゃないから確信はなかったが、来た方向や影の大きさ的にはその可能性は十分にある。もし本当にそうならあの二人は槍使いのように一人に戻って、それで……
「あの怪我、二人とも治ってくれればいいけど…… 」
タッ
私はそんな願いを胸に、進行方向を変えて二つの光の後を追い始める。
一人に戻るのであればその先にアユリ達がいるはずだ。
でも一人に戻るって事は、あっちのアユリやオサム君ともお別れってことなのかな……?
あの子達なら男の私と違って元の世界に戻っても同じ存在がいてくれてるんだろうけど、それでも何故だか寂しい。
いや、寂しいと言うよりは悔しいのかも知れない。たとえ違う世界でも、これからこのままの私と関わることないアユリやオサム君が他の世界に存在してると言う事実に少しジェラシーを覚えている、多分そんな感じ。
それでも、今の一連の戦いで私は世界が違っても二人が変わらず面白くて頼れる友達であることを知った。
その二人も会うはずのない女の子としての祇峰フタリが存在していることを知ってくれた。それだけでも十分満足すべきことなんだろう。ここで私がわがままを言えば、それは男の私の存在を否定することになる。だから、ここは割り切ろう。
でも、もしも全てを都合良く望めるなら私は……
「「あっ……!! アユリっ!! オサム君っ!!」」
しばらく戻った先にさっき飛んで行ったであろう二人がいた。
さっきお姉ちゃんと別れた場所で、両方とも気絶したように倒れ込んだ状態で、そして何より一人ずつで。
とりあえず近くにいたオサム君を抱き起こして呼びかける。
「ねぇ!? 大丈夫っ!!? 」
見たところ二人共、怪我をしている様子はない。大怪我も負っていたのにも関わらず本当に完治している。
「ううっ……ここは? 」
呼びかけに対してオサム君が目を覚ます。
「なんでこんな場所に…… 」
どうやら自分の状態がよく分かってないようだ。
「覚えてないの? 多分二人から一人に戻ったんだよ。でも良かった怪我も治ったみたいでっ。」
「……二人から一人? 怪我? 俺が? 」
ん? なんかおかしい。目覚めたばかりにしても状況を把握してなさすぎる。
あんな両腕とか肋骨の怪我はすぐ思い出せそうな気がするんだけど。
「本当に覚えてないのっ? 人類が二倍に分裂して皆が二人ずつになったり、その後に槍使いに襲撃されて一緒に戦ったじゃん!? 」
私は今までのことを分かりやすくまとめて彼に伝える。
「 人類が二倍になって、槍使いとの戦い? な、なにを言っているんだ? ゲームの話か? 」
「……!!? 」
戸惑うオサム君は全く私の言葉を理解できていない。
なんで? なんで忘れてるの? 確かにハタから見れば訳わかんない説明だろうけど、どちらも一緒に体験した出来事のはず。なのに覚えてないなんて、いったいなにが起きて……
「それより聞きたいんだが…… 」
「え……な、なに? 」
オサム君が何故か私の顔を不思議そうにジロジロとみる。まるで初めての物を見るような表情……まさか、まさかね。そんなことあるわけが……
しかしそんな心の中の心配は彼の質問ですぐに現実のものとなった。
「君は誰だ……? 」
……
………
…………
……………
………………
嘘……でしょ………?




