16時間のナルシズム realise goodbye
「そんなわけ……あるかも。 」
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なんでこんな言葉が出たんだろう……
私はなんでこんな気持ちを抱いたんだろう……
まだ、出会って半日ぐらいしか経っていないのに……
なにより彼は私自身なんだから、別れもなにもないはず……
しかも、私自身である癖に可愛くもカッコ良くもないド変態で……
私とは似ても似つかないマイナス部分まみれの腹立たしい最低野郎で……
普通はこんなのが別世界の私だと知ったら、すぐにでも忘れたいと願う気がする……
それなのに……、 そうなるはずなのに……、彼との別れを悟った私は……
とても寂しい。
たった半日程度の付き合い。
睡眠時間を除けば、もっと短い。
感動するような素敵な思い出もない。
彼の姿を見て浮かぶのは、変態的な醜態。
会えなくなったとしても、なんの問題も起きない。
むしろそうなってくれれば、信じがたい真実から目を背けられる。
いなくなってくれれば、きっと清々する存在なのだ。
彼との別れによって失うものなんてない。
何もないはずなのに……
寂しいと思ってしまう。
出会った時も……
世界の仕組みを理解した時も……
家に帰った時も……
部屋を片付けた時も……
見損なった時も……
それで脅した時も……
照れながら祝ってくれた時も……
自分の身を挺して守ってくれた時も……
信頼し合って敵と戦った時も……
大切なことを思い出させてくれた時も……
全部とても刺激的で……、波長が合って……、面白くて……、楽しくて……、
そして何故か……
なにより暖かかった。
この暖かさを手放したくない。
今まで会えなかったことが悔やまれるくらいにそう思える。
そんな想いは、きっと限りなく愛に等しい。
でも友人に感じるものではない。
アユリが与えてくれるものとは違う。
恋の温度でもない。
オサム君に感じるものとは全く違う。第一、相手が自分だ。
愛の中なら、自己愛がおそらく一番近い。
波長が合うのは、きっと自分自身でありながら違う人生を歩んだから。
パズルのピースで言うなら、私の凹凸と彼の凹凸は完全に逆。でも山や溝の大きさはそれぞれ対をなして同じなのだ。だからこそ私たちは重なるのではなく噛み合う。オサム君だとしてもも私の溝は埋めきれないし、私もオサム君の溝は埋めきれない。
それだから余計自分に運命を感じてしまう。寂しいと思ってしまう。
だがそれは自分同士だからこそ成せること。
運命なんてロマンチックな表現よりも必然と言う現実味のある単語が合っているのは分かっている。
でも同時に、こんな存在が二度と現れないことも分かっている。
だからこそ、この原因不明の奇跡的な出会いを手放したくない。
恋をする必要も、友である必要もきっとない。
ただ話したい。
ただ笑い合いたい。
ただ遠慮なくからかいたい。
遠慮なく軽蔑したい。
遠慮なく殴りたい。
ただただ私の近くに存在していて欲しい。
そんな不思議な自己愛を私は私に抱いた。




