人数回帰 two to one
「やっぱり、一人になってる…… 」
「やっぱり、一人になってる…… 」
「俺様もよく分からんがその通りだ!!ハハハハハハハハッ!! 」
何をきっかけにしてか、二人から一人へと人数が減った槍使いが高笑いを始める。
『人数が減った=不利』じゃないの? なんで笑ってるの? ……と思いがちだろうが、そうじゃなかった。
「あれ……? コイツ…… 」
人数以外にも戻ったことがもう一つあった。それは圧倒的に敵へのメリットで、僕らにとって今までの戦いをなかったことしかねないデメリット……
「ハハハハッ !! まさか怪我まで治るとは思わなかったぜぇっ!!!! 」
「マジかよ…… ? 」
「マジで……? 」
なぜか足の細かい傷から、頬や目の大怪我まで。全ての負傷が一気に完治していた。
あの万全にしか見えない様子から体力までも回復している気もする。しかも所々が破れていた制服まで、元通りだ。
「なぜだ? ただどっちかの世界の一人が減ったわけじゃないのか……? 」
姉貴の言葉のおかげで一人に戻る、または0人になることは予想できていたが、怪我まで治るなんて聞いてない。
あの光は各世界へのゲートか何かだと思っていたんだが、治療や修繕機能があるとなると、どうもそうじゃないらしい。
「「実はそういうことじゃじゃないんだよねぇ〜 ♪」」
「あっ、場所教えてくれたマント女じゃねえか!! 」
いつの間にか着地していた姉貴達が後ろから声をかけてくる。
同時に敵の漏らした言葉でさっき彼女が認めた所行のさらなる証拠が出てしまったが、今はそこを気にしてる場合じゃない。
「え? 何か違うの? ただどっちか自分の世界に戻ったとかじゃないの? 」
女の僕もおそらく、人間以外が合体した二つの世界が引き剥がされつつあるんじゃないかと言う同じ仮説を立てていたようで姉貴の今の台詞には僕同様に驚きを見せる。
この超常と姉の昨日からの言葉を元にすれば、この程度の仮説はすぐに立てられていた。一人に戻る現象が世界中で起こり始めているのだろうと言う予想もできている。伊達にこのイレギュラーを16〜17時間も過ごしていない。
だが、全て知っているらしい姉貴は、この説もたった今否定したのだ。
「姉貴、じゃあ一体何が違ってるんだ? なんで人数が減ったんだよ?」
僕は否定の理由を本人に問う。
「「それは、どーせこれからわかると思うから大丈夫だよ。身を以て知りなっ♪ 」」
そんな気はしていたが、また勿体ぶられた。
でも身を以てって、僕らが戻る時ってことか? できれば今すぐ知りたいんだが……
「「そういう“身を以て”じゃないんだけどねぇ……でもまぁ、これも今じゃなくていっか。最後に光に包まれるのはトシリン達だから絶対にその前には気づくと思うよ? 」」
おい、今さりげなく結構重要なこと言ったろ。
「え? 僕たち最後なの確定なの? 」
「え? 私たち最後なの確定なの? 」
「「当たり前じゃん☆ 二人はこの世界になった原因となった力を持ってて、しかもその分岐点なんだよ? 最後じゃなくてどうするの? 」」
どうするも何も、そんな自覚が全くない。
しかもこのグローブがやっぱ原因らしいが……どうも、それにはしっくりこない。今よく考えれば、倍増と世界の合体って全く……
「おい!! 俺様をいつまで無視する気だ!!? 理由は知らんがこっちは超準備万端なんだよ!!!! 8人……いや、あのマント女は違うから、6人まとめて相手してやるぜ!!!! 」
放置されていた敵が僕らの思考を遮って、自らが不利な宣戦布告を始める。それでいいのかコイツ。
「「そうそう、言っとくけど私は味方じゃないからね? 」」
姉貴は自分のことを味方と思い込んでいたらしい槍使いに真実を突きつける。
「は? 俺様達の仲間じゃねぇのか? じゃあ、なんで情報くれたんだよ? 」
「「馬鹿っぽかったから、利用させてもらったの。」」
どストレートな告白だな。また馬鹿が怒り出すじゃねえか。
「……ってことは8人とも俺様に何かしでかしてくれてるってことか。」
まぁ、確かに俺たち6人もどこかしら一箇所には大怪我を負わせている。
「……いいだろう、全員まとめてぶっ潰す!!!! 」
やっぱ怒り始めた槍使いが僕らに槍を……ん? そういえばさっきから……
「さぁ!! 行くぞ疾駆……って、あれ? 疾駆どこいった? 」
槍使いが槍を持っていなかった。
「おい、女の奴!! また盗んだのかっ!!!! 」
多分、女版の僕のことを指している。
てか、あっちでどんな戦いしてたんだよ。
「いや、今回は知らない!! どっかに落ちてるんじゃ…… 」
「「鳥神槍技 旋風 ……!! 」」 ビュゥン!!
「えっ……何だあれ? 風!!? 」
「えっ……何あれ? 風!! ?」
またしても突然だった。
上空から知らない声が響き、その左右から二つの竜風がこちらに向かってきていた。
もちろん、お察しの通りただの気象による竜巻ではない。
当たったら無事で済むとは思えない、殺意塗れのドリル形状野風が僕らを狙っていた。




